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2011 4/12パワー・ブラウジング。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
地震復旧のための書架整理中に見つけた本。オープンアクセス運動について研究する上で、逆に商品としての科学について考えることも重要かも知れないよな、と思い借りてみた。
1983.5.2-3にストックホルムで開催された国際会議に基づくエッセイ集。
「科学と社会の関係の変化」あるいは「高等教育制度のなかに現在もなお生き長らえている開放的な学者共同体と、社会との間の関係の変化」(p. xi)について扱っている。
第1章が、未知のもの、ってわけではない(80年代の本なのだからそれはそうだ)が、多くは既知の内容であっても非常によくまとまっていて、後で引用したいような表現・文が多数含まれていた。
以下、メモ。
・1章:学術研究体制の役割の変化の話。現代科学(それは16世紀以降、学術研究が体制として成立することによって生まれた)は、当初より専門職業としての方向を目指し、社会に対する見返りを与えるひきかえに成立しているのであって、ギリシアの科学のような営みではなく実用性を志向するものである。開放的な学者集団などはじけあらない、という方向での議論。80年代のスウェーデンの会議での話なのに現代日本にも通じそう、ってあたりからして実に普遍的な話なのか。
・政治に対する科学者の態度・・・「慎重な黙従」
⇒・科学知識の生産と立証を支配する方法論的倫理に身を寄せ、知識の使用法に関する言明を避ける(p.17)
・2章:市場と科学の関係の話。
・知的な仕事の支援体制がパトロネージ⇒市場へ(p.43-45)
・3章:政策との関係
・日本の通産省モデルが海外から評価されていたことについて言及有り。80年代か・・・遠いなあ。要はうまくいってりゃあ真似すべき進んだ国っていわれるんだな。
・4章:産業の側の利害の関心の話
・5章:大学、政府、企業の話
・6章:経済の観点から見た科学の話
・7章:科学者個人と科学の話