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パブロ・カザルス喜びと悲しみ(朝日選書)

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紙の本

平和、平和と鳴くカタルニアの鳥を

2004/10/12 00:33

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろえ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 10月2日の朝日新聞のbeのカザルスの記事をきっかけに、積読にしていたこの本を取り出す。じっくりゆっくり数日かけて、音楽と人生、戦争と平和、歴史や個人史、ユーモラスなエピソードや深い意見や圧倒されるようなカザルスの経験の数々を知る。音楽のことばで語るだけではなく、戦争の世紀を肌身で感じざるを得なかったディアスポラと、平和やカタルニアへの強い思い、またそれを、偉大な音楽家として以上に、一地球市民として精力的かつ真摯に、ひとつずつ人間としてなすべきことをなしてきたことに感服した。
 といっても、偉いひとというよりは、カタルニアの土の匂いや親しんだ町並みが想像できるような「土地のひと」としての骨太さと、労働者=しごとを尊ぶ人=音楽を敬愛し、より大きく普遍的な精神性の前に、自分にできることをやる人、としての「あたりまえの」度量の大きさを感じる。王侯貴族から芸術家まですごい人たちとの親交があるのに、カザルスはカザルスで、カタルニアと平和を愛する自分自身であること…を大事にしていたのだなということが納得できた。
 それから、スペインというよりはカタルニアのひとであったカザルスだから、読み方はカスティリヤ語ではなくカタロニア語のパウ・カザルスをよりアイデンティティとしていたとか。言語はそれこそいくつも操り、音楽という普遍的なことばを知っていると同時に、その半面には、きわめてローカルな根っこがしっかりとあることもよく分かる。

「(前略)問題は才能をどうするかだ。才能という賜物を大事にしなさい。天与のものを汚したり、浪費したりしてはいけない。絶えず勉強して、才能を育てなさい。」もちろん、なによりも一番に大切にすべき賜物は、生命そのものである。仕事は生命への挨拶であるべきだ。(p.29-30)

(最初の師匠に)「パブリート、みんなが話す言葉を使いなさい。いいかな」万人の語る言葉を用いる! もちろん、そのとおりだ。芸術一般の目的に関してこれより深い示唆がありえようか。音楽、いや、どんな芸術も万人が理解できる言語を語るのでなければなんの役に立ち得ようか。(p.57)

子供たち一人ひとりに言わねばならない。君はなんであるか知っているか。君は驚異なのだ。二人といない存在なのだ。世界中どこをさがしたって君にそっくりな子はいない。過ぎ去った何百万年の昔から君と同じ子供はいたことがないのだ。ほら君のからだを見てごらん。実に不思議ではないか。足、腕、器用に動く指、君のからだの動き方! 君はシェイクスピア、ミケランジェロ、ベートーヴェンのような人物になれるのだ。どんな人にもなれるのだ。そうだ、君は奇跡なのだ。だから大人になったとき、君と同じように奇跡である他人を傷つけることができるだろうか。君たちは互いに大切にし合いなさい。君たちは——われわれも皆——この世界を、子供たちが住むにふさわしい場所にするために働かねばならないのだ。(p.268)

 20世紀前半の大戦時の亡命の窮乏生活や、それでも貫かれる信念や、1945年以後も、フランコの独裁政権が続くスペインに帰らなかったその生き方そのものを知ることで、こういうことばの重みがいっそう増す。フランコが死去して立憲君主制に戻ったのは1975年。カザルスは見届けることがなかったのだなあ、としみじみ。
 だけど、私も、こんなに偉大ではないけれど、足元の、今いる場所で精一杯良心の声を聞いて真摯に生きていくことはできるのではないか。そんな励ましまで得られたように思う。

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2006/06/07 07:48

投稿元:ブクログ

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