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オスマン帝国とは?
2016/12/01 03:19
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ももたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
イスラムは世界の政治・経済に大きく関わってきた。
特に近現代においては、戦争・紛争の種である。
イスラムと他の国々との間の争いも問題だが、
実は、イスラムの中でのシーア派とスンニ派との対立がその原因であり、
それを煽り立て、利用して、欧米などが利益を得ようと画策しているのが真実だ。
その、シーア派とスンニ派の対立がいつどのようにして生まれたのか、
オスマン帝国の歴史の成り立ちと変遷の過程を示す中で興味深かった。
「魚は頭から腐る」
世界中を征服しつくす勢いだったオスマン帝国も滅亡した。
原因は、後宮の女人と宦官の暗躍であり、それは清王朝の衰退など、あらゆる政権の衰退につながる腐敗菌であった。
日本ではあまり目にすることのないイスラムの世界を知ることができて、有意義だった。
オスマン帝国の繁栄の秘密をうかがわせる豊富な図版も魅力的だ。
紙の本
嫌でも多民族共生社会になってゆく
2022/02/04 16:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
600年に及ぶオスマン帝国の前半部分が読みやすい平易な文章で描き出されている。宗教も民族もバラバラな中近東やバルカンをどのようにして統治したのか大変に興味深い。著者はその統治方法を「 イスラム世界の柔らかい専制」と表現している。グローバル化が進み嫌でも多民族共生社会になってゆく世界で、どのように考えてゆくか、参考になる。
紙の本
オスマン帝国成長期の通史
2002/05/16 21:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MF - この投稿者のレビュー一覧を見る
オスマン帝国の通史であるが、主に14世紀(トルコ人のアナトリアへの進出期)から16世紀末までの、オスマントルコの拡大期についての記述が中心である。時系列にオスマントルコの変遷を辿りつつ、イスラム教とオスマン帝国の関係、多民族統治の方法など当時の経済大国の政治的経済的特徴についても解説している。
オスマン帝国を理解する為の最初の一冊として非常に良い本だと思う。
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西アジア史、とりわけトルコ史では有名な本ですね。学術という面ではなくオスマントルコ導入の本としても読みやすいです
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六百数十年におよぶオスマン帝国存続の秘密を、強靱な組織とゆるやかな共存のシステムがあいまって支え合う体制−「ゆるやかな専制」−にあるとして、それがどのようにして作り上げられ、どのような仕組みによって支えられてきたかについて論じている書籍です。
アナトリアに誕生したオスマン帝国が、スレイマン時代の君主専制的・中央集権的な支配の組織の完成期、16世紀末以降の転換期をどのように迎えていったかを分かりやすく描き出しています。
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ゼミの先生に貸していただいて読みました。
歴史についてもなかなか細かく書いてあり、法制度や経済、文化などふれているジャンルがひろいのがすばらしいと思った。
ただ、わたしは今ひとつ世界史が頭の中に入っているとはいえず、大まかにどの時代どこにどの王朝があったか、すぐにはわからないので、もう少し頻繁に地図なり図表なりがあってほしい。
イスファハーンは世界の半分!
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オスマン帝国、それは中世の闇を抜け、ルネサンスの光を掴み始めた西欧諸国には脅威であると共に、憧れの国であった。
10万を超す常備軍、素早い決断、開かれた人材制度、これらを持って行われていた、当時としては異例の「柔らかい専制」を概観していく。
話の中心はいわゆる発展期から全盛期のオスマン帝国という非常にメジャーで部分を扱っている。
個人的には「柔らかい専制」のプラスイメージというより、マイナスな意味での「脆い専制」という印象を受けた。後半にも「組織の帝国」の伝説とあるように。
塩野七生の地中海三部作を読んだ後に読むと理解がかなり早いと思われる。
(2009/4/21読了)
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この筋では大変有名な鈴木先生の著書
オスマン帝国最盛期にわたる文化と政治、帝国内の様子を分かりやすくまとめた
概説本の感じ。
代にも有るとおり、多民族、他宗教に寛容なイスラム的統治方法は
グローバル化の進む現代においても学ぶべきところが多いのでは
ないのだろうか
個人的に「赤ひげバルバロッサ」の項がおもしろかった
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「緋色のベネツィア」を読んで、オスマントルコの後宮のドロドロさに興味が湧いたので、検索して借りてみたのですが読むのが非常に苦痛でした。歴史を浅く順を追って行くだけの、学者さんの本でした。
私の少ない知識での判断では、この著者はトルコしか興味がなくて、他の国がキライなのでは?です。
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オスマン史の流れを追いつつ、当時の西欧との比較も随所で行われ、オスマン帝国の内部での視点と、世界の中のオスマン帝国という外部の視点と、2つの視点からバランスよく書かれていたと思う。
文章もわかりやすく丁寧に書かれ、とにかく読みやすく解りやすい。
オスマン・トルコを知るための導入として、とても良い本だと思う。
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多民族多言語多宗教のバラバラな広い領土をゆるやかに繋ぎ、今よりずっとうまくやっていたオスマン・トルコの「しくみ」について。
「異教徒」という言葉の使い方の正しさにほっとする。
西洋に偏った見方を批判し、仮想敵じゃないトルコを見ようとする姿勢が快い。
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[ 内容 ]
西欧人の見た「残虐な征服者」は、西欧をはるかにこえる先進国だった。
羊飼いでも大臣になれる開放的な社会。
キリスト教世界で迫害されたユダヤ難民を受け入れた宗教的寛容性。
多民族・多宗教の超大国を支えた「柔らかい専制」の秘密に迫る。
[ 目次 ]
序 「トルコの脅威」の虚像
1 戦士集団から国家へ
2 コンスタンティノープルの攻防
3 イスラム=共存の知恵
4 イスラム的世界帝国への道
5 「壮麗者」スレイマンの光輝
6 「組織の帝国」の伝説
7 人材吸収・養成のシステム
8 超大国の曲り角
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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オスマン・トルコ帝国の成立から、スレイマン大帝を経てレパントの海戦までの前期オスマン帝国を概説する。
黄金期であるスレイマン大帝の治世も、そこに到るまでの専制帝国システムの成熟があってこそのものであった。イスラームは宗教的に不寛容であり、またオスマンは残虐な征服者であるという、従来西洋諸国からの視点で描かれてきたオスマンは、実際にはそうではなく、宗教的にはキリスト教・ユダヤ教に対しても寛容であり、また専制とはいえ地方の実情と歴史に合わせた柔軟な支配体制であった。著者は「柔らかい専制」という言葉でこれを表現している。また科学技術的にも、西欧諸国よりはるかに優れていた。
オスマン・トルコについての入門書として優れた概説書である。ただし前述のとおり、近代まで続く後期オスマンについては触れられていない。
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どこまで妥協させるのか、為政者側はどこまで放っておくのかその線引きに成功していた頃の事が書いてある。
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中世はキリスト社会ではなくイスラム社会こそが先進国という記述を他の本で読みました。聞いた事はあったけどもっと知りたくなり、図書館で旧版を読了。
そもそものオスマン帝国の始まりからシステム崩壊の前までを解説。イスラムの大国でありながら他民族・多文化を内包し、それを認める緩やかさと、確固たる軍事・支配力の両輪により、当時としては非常に画期的なシステムで強大な帝国を作り上げたその姿を知ることが出来ます。
当時のキリスト教や十字軍と比べてみると、その思想や体制の広さに驚かされます。