紙の本
賢治と理系のセンス
2000/07/18 05:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴょん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「グスコーブドリの伝記」が好きだ。これでも昔は理科系だったから、賢治作品の中でも「理系度」の高いこの作品はとりわけ心に残っている。
この作品で僕が一番賢治の理科系的センスを感じるのは、ブドリが初対面の博士から質問をうけるシーンだ。人にとっては、クライマックスの「冷夏とそれを打破する作戦」とか、あるいはSF的ないくつかのガジェットにそれを感じるかもしれないが、僕はそうではない。
二人が初めてであったシーンで、博士はブドリに、煙突から出る煙がどのように振る舞うかを質問する。そして、ブドリはそれにとても簡潔に答えるのだ。さりげないシーンだけれど、レトリックとしての科学用語が目立つ賢治作品の中で、煙を分析してみせるブドリの視線はまさしく科学者のものだった。
賢治は生前、知人(か、弟の清六氏)に「あの質問を変えたほうがいいかな」と質問したことがあるらしい。ただ、その相手は「変えないほうがいい」と答えたとか。
僕もその返事に同意する。
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小学生のときに読んで、ショックを受けた。こんな生き方ってあるんだって涙が出た。未だに忘れられない名作です。ぜひ子供に読んであげてください。
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「生きる」ということ、「働く」ということの意味をブドリの生き方から学びました。とても辛い経験をしても決して落ち込まず、その中から人との出会い1つ1つを大切に、また限られた場所で「自分に今できることはなんだろう?」と考え行動したブドリの姿はとても立派だと思いました。私は誰かの為に何をしてあげられるのだろうか?また、知らないうちに誰かから助けてもらっていることがいくつあるだろうか・・・・?
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小学校の時にテレビで偶然見て、ずっとずっと心の中に焼きついてたのが「グスコーブドリの伝記」。
やっとこの作品が宮沢賢治の作品だと知って、原作とめぐり合えた時には感極まって泣きそうでした。
原作も賢治の世界らしく知的で色彩豊かで、でもどこか懐かしい香りが漂っていて大好きです。
けど、原点のアニメラストシーン…主人公ブドリが目にした白い鳥の場面が、もう十年以上経った今でも忘れられません。
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宮沢賢治の、生きた地と時代と頭の中が、
少しわかった様な気になれる話
有名作が難解ならば読んでほしいです
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もう3度くらいは読んでいる。
子供の頃から家においてあった。作者は宮沢賢治さん。
火山局で働いていたブドリは、
最終的に人のために自らの命を投げ出します。
10歳で飢餓により両親を失い、妹を奪われ、
その後はひたすら働き、勉強して、、
尊敬する教師に出会って、
最後は人の為に死んでいく・・・
こう書くと本当に可哀想な主人公という感じでしょうか。
でも、読んでいると悲惨な感じはしないの。
私の中ではブドリの生き方が、キラキラと光っている。
彼の知識欲と思いやりの深さ。 心に訴えかけるものがありました。
私がこう本の感想を述べた時、ある方が「賢治は仏教者でした。だから、その姿は菩薩であり慈悲のこころなのです。だから温かい。」と教えて下さいました。
そう考えると本当に、あらためて温かさが胸に湧いてきます。
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東日本大震災を経験した今こそ、読みたい本。人が生きていくために、科学の力が本当に必要だった。そのために命を懸けた科学者たちがいた。生きるためから幸福になるために科学は発展し、さらに利益追求のために、とどまるところを知らず発展を続けた結果が今。ブドリのような科学者たちの努力の上に寝そべり、彼らの祈りを踏みにじるような暮らしではいけない。一人ひとりが、生活を根本から見直さなければならない時期に来ていることに気付かされる。
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以前読書会で紹介されて気になっていた一冊。
宮沢賢治自身の人生が投影された自伝的作品といいますが、
まずやはり主人公ブドリの生き方に感銘を受けるとともに、大自然の破壊力に人間が科学技術をもってどう立ち向かうか?という姿勢について考えさせられます。
ストーリー全体から非常に強いメッセージ性を感じられるいい童話です。
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「グスコーブドリの伝記」と「オツベルと象」の二編を収録。「オツベルと象」は初めて読んだが、賢治には珍しく荒っぽい語り口調で新鮮だった…。人のためなら命を惜しんではいけません、人を陥れれば罰が下ります、といった賢治らしい教訓が割とダイレクトに伝わってくる二編。「ペンネンネンネンネン・ネネリの伝記」も読んでみたかったなあ
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人間社会の縮図を輪廻転生に描いており、美しくもあり哀しい。「雨にも負けず」や「注文の多い料理店」で描いていた宮沢賢治の世界観で読むと少しショックかも。
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冷害について私は知識はないのだが、物語に出てくる自然の脅威や人への影響は現実に沿った内容であるように考える 現在の安心した暮らしは、過去のブドリのような研究者が残してくれたものだと感謝をしたくなる また、人が困っているのを助けるため勉強したいと少し思う
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宮沢賢治の童話。
・雨ニモマケズ
・グスゴーブドリの伝記
・オツベルと象
が入っているが、宮沢賢治の描いたお話はやはり深い!
○"グスゴーブドリの伝記"
幼い頃に飢饉の苦しさから両親を亡くしたブドリは、いろんな人の下で懸命に働き、学び、最後は火山局の技師となるが、人々のために犠牲となることを選ぶ。
ブドリに取っては辛い人生だと思うが、当時の東北地方では災害によって、作物が取れないというのは、よくあることだったのだろう。現代の地球環境を予見していたかのような話自体にも驚いたが、自然現象を科学の力でなんとかしようとする発想を1932年時点で賢治が持っていたこともスゴイ!
グスゴーブドリと宮沢賢治が重なるように思えた。
○オツベルと象
自身の欲のために動物から搾取するオツベル。林にいた象の群れが、オツベルに囚われた象を助けに来るシーンは、象の連帯の強さを示していると思う。象に上手く逃げ出して、ハッピーに暮らしてほしい。