紙の本
名著ですよ
2022/12/15 20:02
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投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔の作品で版も新しくないので、字が小さくて読みにくいかと思いましたが、字の大きさなんて関係ない位読みごたえのある素晴らしい作品でした。
紙の本
あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史(角川文庫)
2017/05/14 18:10
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投稿者:n - この投稿者のレビュー一覧を見る
彼女らなくして、日本の近代化はあり得なかった。工場で昼夜を問わず働いた女性達が生産したもので今の日本が成り立っている子言っても過言ではない。
作者の山本茂美が足しげく、飛騨高山に通い元女工から聞いた実話である。
電子書籍
ぜひ一読を
2021/01/29 20:49
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投稿者:tam - この投稿者のレビュー一覧を見る
深い感動を覚える本である。明治から昭和にかけての製糸業の栄枯盛衰とそれに従事した工女たちの苦楽を淡々と感情に流されることなく、深い慈しみをもって書かれている。
哀史という題になっているし、哀情をこめて書かれているが、工女たちだけの哀史ではない。
製糸業の経営者も明日なき波乱の経営だし、岡谷全体も日本も生糸相場に翻弄された。製糸業の哀史、岡谷の哀史でもある。
それは当たり前のことであろうか。
どこかおかしい。工女の長時間労働。生糸相場の暴騰暴落。製糸工場の倒産と新たな創業。
いろいろな経営上の工夫は成されていたが、岡谷百年の計というものはどうだっただろうか。製糸業が生死業ではなく晴姿業と言われるための方策はなかったのだろうか。
考えてみれば現実は理想など吹き飛ばしてしまうほど厳しいということかも知れない。
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中学1年の時に読んだ所為か、記録のように淡々と書かれていたせいなのか、あまり悲劇性を感じなかった分、なにか頭に引っかかる一冊。私の中のこの時代に対するイメージは、この一冊がベースとなっているといいかもしれない。
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社会の教科書に出てきた富岡製糸場。
産業発展の象徴のように語られていたが、飛躍的に発展を続けた製糸業の裏にあった悲惨な事実が本書に込められている。
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映画化もされ女工哀史の代名詞となつた『あゝ野麦峠』。「アー、飛騨が見える、飛騨が見える」と口にして息を引き取つた女工・政井みねが有名になりました。
著者は数百人に及ぶ元女工に取材し、本書を世に問ふたのであります。
明治の文明開化を支へたのは、劣悪な労働条件に耐へたかういふ女性たちでした。
ではこれら製糸工場の親方たちは、女工たちをアゴでこき使ひ、自分は涼しい顔で楽をしてゐたのでせうか。どうやらさうではなく、親方も自ら水車を回すなどして、労使ともに額に汗してゐたやうです。
製糸工場の運営の実情はまことに心細く、女工たちの待遇が悪いのも「無い袖は触れない」といふのが正確なところみたいです。
世の中のどこかにシワ寄せが行かないと、あの驚異的な国力増強は無理だつたのでせう。昭和戦後の高度経済成長も、終身雇用を前提とした会社に忠誠を誓ふモーレツ社員が主流だつたからですね。無責任男なんてとんでもない! 滅私奉公。
さらに意外な話。著者による糸ひきの後日調査の結果を見ると、必ずしも女工さんたちは悪い思ひ出ばかりではないみたいです。
出される食事は「うまい」が大多数、労働も「苦しい」よりも「楽」を選んだ人が多く、賃金についても「高い」と評価してゐます。総括は「行ってよかった」が圧倒的でした。
しかし体調が悪くても働かされるとして、病気については「冷遇」が多いとか。
日常の労働よりも、冬の野麦峠の往復が辛かつたやうです。何しろ熟練の荷受家業の男でも遭難することがある危険な道程。女工たちは一年の給金を故郷の父母に届けるために、命がけで野麦峠を渡るのでした。涙。
間違ひなく当時の日本経済を支へた女性たち。わたしらもその恩恵を受けてゐると思へば感謝であります...
http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11144334453.html
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「ああ、飛騨が見える……」
故郷を前に野麦峠で死んだ若き製糸工女みね。富国強兵政策に押しつぶされていった無数の娘たちの哀しい青春を描く、戦後ノンフィクションの名作。
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雪と氷の峠を越えて生糸紡ぎに励んだ女工哀歌。壮絶な生き様が描かれるが、明治大正の飛騨の娘たちにとっては生きるための必然だった。現代で言えば残業過多のサラリーマンか、あるいは日本人のために魚の骨をとるアジア諸国の女工さんか、はたまたミニカー組立の。。。
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歴史の証言という意味では名作だろうが、純粋にノンフィクションとしてみた場合にはお世辞にも美文とは言えない、この辺が昔の社会科学およびその周辺の書籍の最大の欠点。
産業勃興時の弱者の惨状は産業革命時のイギリス然り、資本主義の本質が如実に表れているのだろう。昨今のアジアでの労働争議の本質も基本的には同じで歴史は繰り返されているように思われる次第。
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悲しい。でも約100年前の工女さんたちが今の日本の基盤を支えてくれたのだなぁとありがたく思う。
外部から見たら悲惨な環境に見えても、当事者たちは意外とそうは思っていなく、むしろ感謝しているフシもあるという点は、現代のサラリーマン生活にも似たようなものを感じる。(当時に比べて現代は格段に恵まれているが。。。)
現在の新興国からのニュースでも、本書と似たような状況が報じられている。近代化するのに通らなくてはならない道なのだろうか。
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正確な表題は『あゝ野麦峠 -ある製糸工女哀史-』
(1968)
山本氏の主張には共感できる。
製糸女工史を、単なる哀しい出来事として記憶してはならない。確かに、女工の中には辛い思いをした方もあっただろう。しかし、彼女達のその経験を悲惨な昔話として捉えてはいけない。むしろ、未来に対する重要な教訓として、彼女達の汗と涙に溢れる経験は積極的に語り継がれて行くべきだ。それこそが、当時を生きた女工さん達の努力を無駄にさせないための、私たちのやるべきことである。
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冷静な筆致で書かれていて、面白かった。
悲惨なんだけど、お涙頂戴ではなくて、女工哀史のイメージと違う読後感。
最初の25ページで泣いたけど。
また他の作品も読みたい。
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富岡製糸場が世界遺産に登録されて以来、気になっていたので読んでみた。
女工として働いていた人たちへのインタビューを重ねた、とても丁寧につくられた本でした。読む前は、人身売買に近い形で工場へ連れていかれ劣悪な環境で働かされる、というイメージだけを持っていましたが、貧しい村の生活から逃れるために自分から進んで家を出て働きに行ったものがいたことや、高額の報酬を得て誇らしい気持ちで故郷に帰った思い出など、想像もしなかったことが語られていました。また、経営者側の状況や、当時起きたストライキの様子など知らないことだらけで、もっと早く読めばよかったと思っています。
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大竹しのぶの映画のイメージが強くて(予告編のみ)、悲惨な境遇の女工さんの物語かと思っていた。
360人を超える聞き取り調査や、飛騨や信州へ何度も足を運んでのルポルタージュだったのですね。
資本家に搾取された労働者としての一面だけでなく、飛騨に残るよりはマシと考える、または是非とも製糸工場で働きたいと望む人達がいたというのは驚きだった。
それは飛騨という特殊性もあるかもしれないが、世界を意識しだした日本が置かれていた脆弱さが背景にあるのだろう。
残念なことに、紆余曲折を経ながらも、結局彼等の労苦を通して獲得された外貨が、最終的には海の藻屑となってゆく軍艦に姿を変えていってしまった。
自分はその歴史から何を学んで活かしていけるのだろうか?
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持たざる日本が外貨を稼ぐにはここまでしなくてはならなかったのか、と改めて。女工哀史は小学校の社会科で初めて知ったが、富岡製糸場を実際見たのはつい最近。峠を越えるという言葉を実感出来る話だった。