紙の本
SF基本図書の1冊
2001/03/06 03:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
マスターピースの一冊。SF基本図書。この作品はSF小説群の中でそういう位置を占めています。この作品をSF体験の原点として持っている人も多いのではないでしょうか。
科学者たちを満載し、宇宙の闇を突き進む巨大な調査宇宙船《ビーグル号》。そして次々と襲いかかる恐るべきモンスターたち。超絶的な能力を持つ怪物たちと人類の科学の粋が暗黒の宇宙に火花を散らします。
モンスターとは言っても、彼らはそれぞれに出自と意図を持つ知性体です。人類の尺度から見ると恐るべき外見、悪魔的な能力を持ってはいますが、それぞれに彼らなりの理由で《ビーグル号》を狙うのです。それゆえ、こ
の本はSF映画などでよくある怪物撃退アクションものとは一線を画しています。知力と知力の対決なのです。
一方、船内に目を移して見ると、この物語はあらゆる科学分野を総合した総合科学という新しい学問の徒であるエリオット・グローヴナーの出世物語でもあります。自分と総合科学を、他の伝統的な分野の科学者たちに認めさせるため、彼の孤独な戦いが続きます。
まだ読んでいないSF者はチェックされたし!
紙の本
テンポよい展開
2016/03/17 17:39
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投稿者:マック・ディオナー - この投稿者のレビュー一覧を見る
古典と言われた一冊。ようやく手に入れる機会があり、楽しませていただいた。球型宇宙船と聞くと、規模は違うがデス・スターやイゼルローン要塞を連想してしまった。いろんな知的生命体との遭遇に困難を極めながらも前へ進む冒険譚。もう一冊分ぐらいのエピソードが読みたいと思わせる作品でした。ただ最後のほうは、いつの間にか終わってしまった的な、さらっとしすぎかな。まぁそれを差し引きしても、手元に置いておきたい一冊になりました。
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涙が出てきそうに懐かしい。
総合科学部をどう訳すか悩んで、ネイチャリストとかいろいろ案を出した学生時代を思い出す。
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思い出深い作品です。主人公のグローブナーが総合科学を研究し、ビーグル号が遭遇する事件を解決していく痛快SF。沼沢さんの翻訳も良く、翻訳小説を読んでいる感じがしない。ヴォークトの代表作。今読んでも面白いと思います。
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Alfred Elton van Vogt; Voyage of the Space Beagle (1950)
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A・E・ヴァン・ヴォークトの作品です。
他には「スラン」や「非Aの世界」などで有名な作家ですが、実は読んだのは初めて。最近リバイバルというわけでもないのでしょうけれど、一部古典的名作を増刷しているので、その一環として平積みになっており、購入してきました。実は、前に書いた「吸血鬼ドラキュラ」も同じで、増刷平積みになっていたため、購入してきた次第です。
専門的科学者を多数乗せた宇宙船ビーグル号が、宇宙での冒険において、様々な生命体に遭遇する4つの中編からなるこの作品、最初の3つの作品は実に面白かったです。
登場するクリーチャーも魅力的で、強力な能力をほこる触手猫型獣ケアルや、映画「エイリアン」で映画製作者がヴォークトにペイをすることになった原因生物、超生命体イクストルなどは特に印象深いですね。
当初の3つの作品では、主人公にあたるグローヴナー博士が、船内で一目置かれていく過程も面白く、彼が専門とする総合科学を駆使した超生物や船内政治に対する立ち回りも面白いです。これはなるほど、古典的名作とされるのもむべかるかな。
しかし、冒頭から、3つの話は面白かった、と繰り返し述べているように、最後の作品だけは個人的には、面白みを感じませんでした。なんというか、企画倒れというか、慌てて作品を作ったようなちぐはぐ感が、中盤から最後までぬぐいきれないのです。それまでの3作が面白かったことの反動もあって、なんだかとっても残念な印象を受けてしまいます。
この作品がもっと練られていたら、言うことなしで好きなんですけどね^^;
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ありとあらゆる分野の科学者と、ほんの少しの軍人を乗せた巨大な宇宙船ビーグル号(なんと乗組員1000人全員が男性!)が宇宙を行く。
宇宙探検に旅立ったビーグル号が、様々な宇宙生命体と遭遇します。
その中でもやっぱり魅力的なのは猫型生命体のケアルです!
この本は多くの作家さんに影響を与えているのですが、この「ケアル」も高千穂遥さんの「ダーティペア」シリーズに登場する<クァール>の元ネタになっています。
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ものすごくかっこいい表紙ですね! クァールにビーグル号! 最強最高の生物。そして総合科学。
実は私がこの本を読んだのは小学校6年生です。今から36年ぐらい前のことです。その前にキャプテンフューチャーとタイムマシンの小学生向けの大きな絵の入った大きな文字の本を読んで、もっと大人びた本が読みたいと思い、今はもう無くなった小さな書店で買った鮮明な記憶が残っています。どの棚のどの辺りからその本を抜き取ったかも憶えています。それほどに大きなエポックとなりました。それからひたすら文庫本の文字を追いかけて読んだことを思い出します。また、高千穂遙氏のダーティペアシリーズでもここのクァールが引用されたことも、僕の記憶が鮮明に残った理由かもしれません。この小説を読んだために、漫画家になりたいなどと考えるようなったのですしね。
表紙も青色だったでしょうか。ビーグル号の丸い航宙船だけが描かれていただけのように記憶しています。と思ってググったらありました。ここではリンクを張れないので、ブログのほうで。
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ハードSFほど、読みにくくもないけど、
ライトな小説というわけでもない。
もはや古典的ともいえる作品だけど、
ヴォークトの作品の中ではおもしろいです。
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知性の限界か、理性の限界で紹介されていたので、読みました。そうとう古い本ですが、十分、現在も通用します
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・・・・・書きかけ・・・・・
アルフレッド・エルトン・ヴァン・ヴォークトは98年前の1912年4月26日にカナダに生まれたSF作家。
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確か高校生の頃に読んで、衝撃を受けた一冊だった。
個々の科学分野だけを深めても、実践では役に立たないことが多く、それらを横断的に連結する「総合科学」が重要なのだ、という概念を強烈に植え付けられた。
そう考えると、現在の自分のキャリアを形成するきっかけとなったかもしれない一冊。65年経った今読んでも、その発想スケールの大きさと面白さは色褪せない。
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BEMジャンルの古典。宇宙の暗さを描いて古さを感じさせない。主人公の「総合科学」はSFの夢。真珠湾攻撃前の「平和な」時代で、軍隊の役割が科学探査に転換されたような雰囲気。全4章のモンスターはいずれも超絶的に強力だが、単体。科学者を満載するビーグル号は組織力で立ち向かうが、意見対立から難航し犠牲が拡大したり…。徐々にスケールが大きくなって、ラスボスは「星団」大、人類のいる星域全体の侵略を企むが主人公は「本船にある全・星図、資料を破棄」「フェイク航路」を提案し可決される。島宇宙大にしてはアッサリと退治されるが
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1950年刊の古典SF。乗員1000名の巨大球形宇宙船・ビーグル号が宇宙探索で様々な宇宙生命体と遭遇する。
1000名のうち800名は科学者であり、各専門分野ごとの部長、すべてを統括する総監督、そして新しい分野とされる総合科学部長のグローヴナーが主な登場人物。冒頭の宇宙猫ケアルを始めとして、様々な宇宙生命体が船を襲撃し、船員は科学力を駆使して戦っていく。スペースオペラの古典として、後の多くの作品に影響を与えたとのことで、実際読んでみると、安易に思えるタイトルからは想像もしていなかったシリアスな展開に驚いた。「総合科学」ということですべての科学者を手籠めにしてしまう主人公には、今の我々から見ると苦笑いをしてしまうしかない部分もある。しかしケートとの対立など人間描写力は鋭く、推理小説よろしく敵の正体を暴いて対策を考える過程などは、SFとして以前に小説としてのクオリティの高さを実感させる。さらに独創的な宇宙生命体の描写には今でも読ませる力がある。SFの本源的な魅力がつまった名作として、今後も読みつがれるのだろう。