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紙の本
中国史の好きな方にもいいぞ
2001/11/02 22:02
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投稿者:アリス - この投稿者のレビュー一覧を見る
1989年に『後宮小説』で、第一回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作者は、中国史を踏まえながら奔放な想像力で描く作品群には定評がある。長編小説『陋巷に在り』など。
非攻の哲学を説き、『兼愛説』(己を愛すように他人を愛する相互的な愛が求められる)を唱えた墨子の墨子教団の革離が迫りくる大群にたった一人で城を守りとおす、というストーリー。想像を絶するものへの挑戦をこころみるという作者が用意した、軽快なテンポで意外なラストへ。とっても、面白いのでいっきに読める。
紙の本
軍師一人でここまでできるのか
2001/08/30 18:40
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投稿者:がんりょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国戦国時代の宗教“墨子”の一員が弱小の城を守る話。史実として分かっているのは“墨子”が篭城の技術に長けていたというくらいで,それ以外は作者の創作であるが実にリアリティがある。前作“後宮小説”とともに読み応えのある一冊。コミックス版もある。中島敦記念賞受賞作。
紙の本
墨子という人を知っていますか?
2002/02/23 13:21
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投稿者:あき - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国に実在した墨子という思想家の思想を掲げた墨子教団「墨家」。本書は、墨子の思想を土台に作ったフィクションですが、読み応えが有って、史実だと言われてもコロッと信じてしまいそうです。
主人公は、墨家の革離。これから攻められようとする小国「梁」に使わされた革離は、数千の兵力で、二万の敵から守るというもの。
勉強不足の私は、墨子という人を知りませんでした。本書は墨子の教えに少し触れているのですが、守ることで「勝つ」という思想には驚き、関心しました。攻めずに守ることで、少しでも流れる血を少なくしようという考えが根底にあります。もっとも、教団が拡大していくにつれて、その形を変え、好戦的な集団に変容させようとする人も出てきたことは、避けられない事としてあるようですが…。
この話の主人公「革離」は、墨子が伝えたかった思想を汲み取っての行動というよりも、ただただ、教団のルールにのっとって敵と戦う、どちらかというと好戦的な人物に思えました。女子供など、いわゆる非戦闘員をも動員させ、秩序を重きに置いたが故に残酷な処刑などをしている事などから、そういう印象をもったのですが…あまり好ましく思える人ではありませんでした。
とはいえ、城を守る方法や、本来の墨子の思想などは大変興味深く読めました。本格的な戦国時代の中国の話を読んだのは初めてですが、ナルホド、この時代を書いた作品が多くの人を惹きつける面白さに、人の思想論などがあるのかな〜と感じました。
紙の本
事前の大層な期待はかなえられなかったが…
2002/04/30 22:27
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投稿者:はや父(とう) - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国古代に題材を取った本を見るのは久しぶりだったが、タイトルと本のカバー裏の紹介を読んで随分そそられた。ただこの作者の著作で、始めて読むのがこの本で良いのかはよく分からなかったが。
とても興味を持ったのは、「墨守」という言葉の元になった古代中国の諸子百家の時代に活躍した墨子と言う思想に材を取ったということ、内容は不可能とも思える様な籠城戦を描いたものであること、それが主に非戦を訴える様な墨子思想によるものであること、などから。とても面白く、また独自の読後感を与えてくれる本なのではないか、と大層期待した。
しかしその期待はそれほど叶えられなかった。
まず籠城戦。この攻防が本編の中心な訳である。しかしながらここを書き切るためだけでもあまりに枚数が少なく、ほとんど突っ込み不足という感を受けた。作中でその肝と言っている人心掌握も、結局主人公以外の人物がほとんど書き込まれておらず、あまり迫力というかはっきり凄いことをしているという感を受けづらかった。そしておそらくこのような戦いの華ともいえる、その当時の最新技術を駆使する様にもあまり驚きを感じることはなかった。
また戦いの収束にしろ、その後の歴史の説明にしろ、どうもいまいち焦点が絞れていない感じがした。歴史の流れに消えていった墨子教団の存在と、その大きな流れに関与することの無かったこの戦いと。多分そこの感じ(無常感のようなもの?)も、もっと枚数をかければ具体的に伝わったのではないだろうか。
また作者はかなり長いあとがきを書いており、そこで「想像を絶するもの」について書いている。資料にしろ何にしろほとんど存在の痕跡がない墨子教団について書くことの困難さと、それでもこれからもそういうものに挑み続ける、そういう宣言であると思われる。その困難さに立ち向かう事、そのことによる成果が本作では残念ながら私には感じられなかった。
ともかく、ここで表現しようとしているものが、あっさり表現する事によって深く伝わるというタイプのものであるとは思えない。そのためにこちらに響いてくるものがほとんど無かった。じっくり長大な物語として書き込んで欲しかったと思う。
ただしそういう点からは長大なシリーズになっている様な作者の別の作品は、読んでみようかと思わせる、それくらいの読後感と、後に続く期待は残った。