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紙の本
痛快!将棋伝奇時代劇
2005/08/17 11:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代も実は末期近い、弘化年間を舞台にした痛快伝奇小説。書かれたのは昭和初期だそうで、畳み掛けるような展開が小気味よい。
主人公お絹は、仏の仁吉と呼ばれた岡っ引きの一人娘で花も恥じらう19歳、その可憐さで町内のアイドル的存在、江戸育ちらしいきっぷの良さに加えて、父親譲りの捕縛術を駆使して男にも引けを取らない立ち回りは、向こうっ気の強さだけじゃない。その上に将棋の腕前もちょっとしたものだから、湯屋の二階で町内の衆がふらりと現われた風来坊に賭け将棋のカモにされたところを助ける羽目になる。そしてそれがきっかけで、正体不明の義賊、流れ星の雨太郎と不思議な縁が出来る。
ちょうどお江戸を騒がしているのは、19歳の娘が次々に行方不明になるという事件、しかもその家には必ず毒虫サソリが現れるのだという。お絹も事件に巻き込まれて、謎の怪人、謎の美女と怪しい人物が次々に登場、舞台はあやめ屋敷、からくり屋敷とこれまた怪しい。超スピーディーな展開、どんでん返しの連続に、目が回るようで、先の展開を読むとか、伏線の意味を考えるとか、そんな余裕は読者に与えられない。そして蝦夷地からの因縁のある、将棋谷と呼ばれる隠れ里の謎と、治世の平和を巡って虚々実々の駆け引きとなる。ハラハラドキドキの連続、むろん切ない恋と人情もたっぷりある。
かつて坂東妻三郎、市川右太衛門、勝新太郎の主演(流れ星役)で3度映画化されたそうで、たしかにエンターテイメントの王道と言えるだろう。このスピード感は、舞台を現代、パリにしていたなら久生十蘭もかくやのノリだ。
読んでいるとBGMにテンポのいい三味線が聞こえてきそうな、気持ちよ〜く楽しめる大活劇。
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