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講談社文芸文庫
竹内好 「 魯迅 」
魯迅の人物像を「文学者→啓蒙者→永遠の革命者」と捉え、近代中国が自己革新を図る上で 重要な役割(思想史的に孫文を毛沢東に媒介する役割)を持っていたとしている。
外国からでなく、国内から革命者が次々と出てくるところが中国の凄さと思う
著者が上げた魯迅理解のキーワード
*寂寞
*文学の無力性〜文学と政治の関係
*魯迅の根本思想「人は生きねばならぬ」
*絶望の虚妄なることは正に希望と相同じ(絶望も希望も真実でない)
文学と政治の関係性について、文学は政治に対して無力としながら、文学による自己革新性を信じており、政治の変動が激しいほど、文学の純粋さが深まり、革命や抵抗を生むとしている
寂寞について
*人の主張は、賛成を得れば前進を促し、反対されれば奮闘を促すが〜一向反応を示さない場合〜手の下しようもない。自分の感じたものを寂寞と名づけた
*寂寞は、一日一日成長し、大きな毒蛇の如く、私の魂にまつわって離れなかった
*自分自身の寂寞は駆除しなければならなかった。それは私にとって苦痛であったから
永遠の革命者
*永遠の革命者にとって、あらゆる革命は失敗であり〜革命の成功は、永遠の革命を信じて現在を「革命成功せず」として破却すること
*革命とは当面の政治目標であるである。それは 抗戦にも救国にも変わりうる〜革命や救国に対して、文学は無力である
文学と政治の関係
*魯迅の文学は、現れとしては政治的〜その政治性は、政治を批判することによって与えられた政治性
*魯迅の得た自覚は、政治との対決によって得た文学の自覚
*文学は政治に対して無力なのである〜政治に対して有力なものは文学ではない
*文学を生み出すものは政治である〜文学は政治の中から自己を選び出す〜革命は「文学の色彩を変える」のである
*政治に迎合するのは文学ではない、真の文学とは、政治において自己の影を破却することである〜政治と文学の関係は、矛盾的自己同一の関係である
*文学の生まれる根元の場は、常に政治に取り巻かれなければならない。それは文学の花を咲かせるための苛烈な自然条件である
*政治の振幅が大きいほど、政治に自己破却を行う文学の純粋さが深まる