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ロッキーリッジの小さな家 みんなのレビュー
- ロジャー・リー・マクブライド (作), 谷口 由美子 (訳)
- 税込価格:1,815円(16pt)
- 出版社:講談社
- 発行年月:1994.9
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紙の本
ローラとアルマンゾ夫妻は、ミズーリの新天地にむかう--娘ローズが見た、続「大草原の小さな家」
2000/10/27 15:34
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投稿者:木村由利子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの有名な『大草原の小さな家』の続編です。つまりローラと夫のアルマンゾと娘のローズが、力を合わせて新しい町で、新しい「小さな家」を築いていく物語。作者はローズの養子になった、筋金入りの大草原ファンの男性。彼自身が開拓生活を体験したわけではないけれど、資料はこれ以上ないくらいにしっかりしています。また他人が書いているのでフィクションも適当にまざり、読み物としてはより充実しているのではないかな。
ーーで農場を手放したローラとアルマンゾは、新たに生活を切り開くため、住み慣れたダコタの大草原を去り、ミズーリの「大きな赤い林檎の土地」オウザークに旅立ちます。幌馬車にわずかな家具を積み込み、たどる乾き切った長い道のり。馬車が転倒しそうな嵐に遭いながら、なんとか川を渡り、ロシア人のコミュニティーで言語の不思議さに目を開かれ、大きな町で自分のみすぼらしさを恥じ……決して楽でない長旅が、7歳の娘ローズの視点で描かれます。ようやく着いたオウザークに土地は見つけたものの、本書の最後でも、薔薇色の未来はまだ見えてきません。
開拓物語の最大の楽しみは、日常生活のこまかな描写でしょう。主人公たちの衣食住をいろどる小道具を読んでいるだけでも楽しい。重労働に疲れ切って帰宅するアルマンゾのためにローラが特別に作る、塩漬豚肉と林檎と玉ネギの炒め物とコーンブレッド。貧しい食事に違いないのに、贅を尽くした料理よりおいしそうに思えてきます。
それに驚くのが、労働力としての子供たち。ローズはキルティングを縫い、林檎やジャガイモの皮を剥き、コーンブレッドのタネをこねます。共に旅するクーリー家の男の子ポールは、10歳ですでに馬車を御すことができるのです。遊べるのは、仕事を終えた少しの時間だけ。大人の会話に口をはさんではいけない。親の命令は絶対。ローラとアルマンゾは、当時としては破格にものの分かった親なのでしょうが、それでも子供であることの不自由さが、それだけに求めたものを得られたときの喜びが、ひとごとならず伝わってきます。
現代の子供は大変だと、たくさんの人が言います。深刻な問題を解決するため、深刻な本が山と出版されているようです。けれども「今」の本でしか、今は救えないのでしょうか。かつて実際に人々が経験した生活をゆったりと読む時間を持つのは、甘い白昼夢なのでしょうか。自分とはかけ離れたものだからこそ見えてくるものもあるのではないかと、この本を読むと思います。
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