紙の本
まずは文庫で
2001/10/27 11:37
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投稿者:Lady - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、バークリーの作品が単行本で続々と翻訳出版されていますが、よく知らない作家の作品を、いきなり単行本で買うのはちょっと、というあなた。まずは、文庫でバークリーの魅力を堪能してみてください。自分の命は長くないと知った主人公が、なにかひとつ大きなことをしてから死にたい、と願い、殺人を計画し始めるのですが、それがとんでもない騒動を引き起こします。ゆったりとしたミステリー、ユーモアあふれるストーリー。そして、物語全体が伏線になっているという驚愕の仕掛け。読まなければ損です!
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投稿者:猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
余命いくばくもない男が、殺人に手を染める。だが逮捕されたのは別人。男は必死に自分の有罪を立証しようとするのだが、自体は二転三転する。ミステリーの約束事をひっくり返す知的な喜劇。
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いやあ面白かった。ひねくれ方もここまで来ると痛快だね。一言で言えば、全部がひっくり返っているといった印象。最初は倒叙物なのかと思ってたら次は自分の犯罪を決定的にするための探偵行動、さらに法廷闘争。文の中身の皮肉った感じ。これだけでも面白いのに最後に仕掛けられた大どんでん返し!最高。最後の最後で全部に納得が行く感じは圧巻。
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このバークリーと、ドロシー・セイヤーズ、アガサ・クリスティーを三十年代イギリス・ミステリの改革者とする考え方があるそうです。(この本の解説より)
それまでの探偵小説の常識をくつがえすような作品を発表したという意味で。
確かにちょっと面白い発想で最後びっくりします。
終盤までは野暮ったく感じられる語り口がラストのオチに繋がっていく感じ。
面白いんですが、野暮ったい文章がじれったくなる人もいるかと。
時間があるときにゆっくりかみしめたいミステリーです。
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バークリーの到達点どころか、これはもうミステリの到達点のひとつ。
この作品を可能にさせたバークリーの作風。文体、キャラ付け、語り口、距離感、ユーモア、様々な要因があるのだろうけど、真似できないのは確か。
こんなのが一九三六年にあったなんてなあ……。
ハードル高すぎる。
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魅力溢れる登場人物、一筋縄ではいかない事件の構図、巧みなミスリード、どれをとっても一級品。特に笑ったのは、法廷で警官の揚げ足をとるとこ。やはりバークリーはおもしろい。
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余命数カ月と宣告された男が、残りの時間とその命をどう社会奉仕的に有意義に使えるか考えた結果、悪人の殺害という結論に行きつく。
が、逮捕されたのは別の男、自白するも証拠がなく信じてもらえない。
かくして冤罪の男を救う為、有罪になる為にてんやわんやの試行錯誤が展開されます。
主人公のトッドハンター氏がおもしろくてユーモア溢れる1冊となっています。
悪人の殺害というとんでもない企みを持つ男ですが、「殺人」とはかけはなれた厳格で常識人で楽しい人格者のトッドハンター氏。
故に彼がどんなに事細かく自白しても、誰も取合わないで狂人扱い。彼が地団駄を踏んでいる様が滑稽です。
途中、裁判になってからは事は彼の手をはなれ政界を巻き込んでの大騒動に発展していきますが、500ページ超のほとんどがトッドハンター氏の心情風景です。
このくどいくらいの彼の心模様がどんな意味を持つのか、試行錯誤の結末がどうなるのか、最後まで気の抜けないミステリーです。
ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バークリーの作品をいくつか読んでいるせいか、肝心の殺人描写がない点をはじめ、至る所でこれはトッドハンター氏が犯人ではないな、と感じます。
感付いたところでつまらなくなるでもなく、わたしとしてはこのトッドハンター氏の人物像の魅力こそ一番楽しめました。
タイトルの通り有罪になる為に試行錯誤、それこそ証拠捏造までやってしまうわけですが、真相が分かると事は複雑でもっといろいろな試行錯誤がなされていたのだと気付きます。
ファローウェイ夫人との微妙な会話などはうまいです。パーマーがトッドハンターを鬱陶しがって噛み合わない様子なのにも合点がいきます。
アーネスト卿については最後にチタウィックが言及していますが、真相なんてどこへやら、裁判にノリノリな様子が楽しかったです。
トッドハンター氏の最後も彼らしくてよかったと思います。惜しむべきは、トッドハンター氏にはもっと日本旅行を楽しんでほしかった。
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動脈癌であと数カ月の命と宣告されたトッドハンター氏が人類のため有益な殺人を犯すが、別の人間が逮捕されその人物を救うために自分を死刑にするべく奔走する。笑えるミステリー。
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黄金時代の巨匠アントニイ・バークリーが1937年に発表した長編ミステリ。傑作『毒入りチョコレート事件』で見事な推理を披露したチタウィック氏が再登場し、意外な真相を暴き出す。
余命宣告を受けた資産家のトッドハンター氏は、残り僅かな命を有効活用するべく、社会に害をなす悪女ーー舞台女優ジーン・ノーウッドの殺害を決意する。だが、事件の後に逮捕されたのは無実の人間だった。トッドハンター氏は容疑者を救うべく犯罪研究家のチタウィック氏に捜査を依頼するが……
主人公が自らの有罪を立証するため、弁護士や探偵とチームを組んで奔走するという展開が面白い。本作はトッドハンター氏が〈利他的な殺人〉を決意してから驚愕の結末を迎えるまで、「悪漢小説風」「安芝居風」「探偵小説風」「法廷小説風」「怪奇小説風」とスタイルを変えて展開する。無実の他人に濡れ衣を着せてしまったトッドハンター氏の葛藤が丁寧に描かれており、心理描写を重視したサスペンス小説としても楽しむことができるだろう(「善良な資産家が殺人を計画するまで」を描いた第一章はやや冗長だが……)。
ジーンの死以降もチタウィック氏が積極的に捜査に乗り出すような場面は少なく、普通の探偵小説を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。だが、バークリーらしいユーモラスな語り口によって、読者は哀れなトッドハンター氏をつい応援したくなってしまう。また『毒入りチョコレート事件』で見られた〈どんでん返し〉も健在。本格ミステリというジャンル遊戯的に破壊した怪作である。
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第108回アワヒニビブリオバトル「年越しビブリオバトル2023→2024」で紹介された本です。5ゲーム目。チャンプ本。オンライン開催。
2024.1.1