紙の本
仏教と人間の哲学
2023/06/05 23:39
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投稿者:ちひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
明恵(みょうえ)という鎌倉時代の僧侶が残した日記をもとに考察する。
出家者でありながら、人間であることの葛藤を生き抜いた。
善悪の判断をするのではなく、どのように感じどのように生きたかが問題ということか。
紙の本
夢と信仰
2022/10/04 10:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
鎌倉時代の僧明恵は『夢記』を書き残した。精神科医がユングの夢の分析を手がかりに、明恵の夢を分析する意義を明らかにする。明恵の生き方も面白い。信仰と夢の関係は奥深い。
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「夢占い」でもお仕着せの「夢判断」でもなく、今、自分のことが知りたいんだ、ってときに夢から自分を見つめ直してみる。そのためにはうってつけの本だと思います。
心理学ってあんまり共感できない・・って人にこそおすすめ。河合氏は学者じゃなくて実践のひとなので(中沢新一談)。
それとは別にしても、明恵(みょうえ)という魅力的なお坊さんがいたことに感動すら覚えます。かっこいいですよ。親鸞とはまた違うかっこよさなのです。
読むのはちょっと体力がいるけど、読んでよかったなあと思う本です。
もっとこういう本を出してほしいので星五つ。
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実生活で夢を活用する、研究がジワジワ進んでいます。この書は、鎌倉時代に自らの夢を記録した明恵の夢記を、かの河合隼雄氏が詳説。夢を生き方に活かすヒントがたくさん。
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明恵上人(鎌倉時代初期の華厳宗のお坊さん)の夢日記を河合隼雄先生が夢分析する、というもの。
河合先生は湯川秀樹先生に「河合さん、夢やってるんやったら明恵上人の夢記やらなあかんで〜」みたいなことを言われて、その存在をはじめて知ったとか。その時は「そんな抹香臭いモン・・・」という感じだったらしいが、心理療法の現場に長年身をおくうちに、仏教に自然と近づいていき、とうとう明恵の夢記にとりかかることになったとか。
それにしても、湯川先生もカッコイイ!物理学者がなぜそんなことを知っている?!
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自分の夢を生涯記録しつづけた僧明恵の『夢記』を手がかりに、河合隼雄氏が夢を分析。夢とはいえ、ヒトが考えだすもののすべては、人間が生きるうえで大切なことにつながってゆくのかもしれない。夢で生き方が変わること…あってもいいんだ?!人間の深層に迫る目からうろこの名著。
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夢は、僕が思っていたよりも大きな意味を含んでいるみたいだ。
それは夢に向き合う態度によっても変わってくる。
夢と共に行こう。
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『明惠 夢を生きる』
一ヶ月かけてなんとか終いまで読んだ。 結果
お手上げ ちんぷんかんぷん 降参
この本を読んでいる時期にテレビで東大寺の番組が入って明惠上人に触れた。
40cm位の両耳が垂れ首をかしげる木彫りの犬を愛でていたそうな。
そして紹介された歌を耳にして驚いた。私好みで手帳にまで控えたその歌が明惠上人作だったなんて…
まだ明恵上人は私の中では生きてこないけど、いつの日か血が通う突破口とどこかでめぐり会えるでしょう
あかあかや あかあかあかや あかあかや
あかあかあかや あかあかや月
まがうことなき 明惠上人作です
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勧められて読んだ本。鎌倉時代の日本に、夢を分析して生き方の参考にしていた人がいたとは驚きである。また、明恵上人自身の生き様も知ることができた。仏教とはなんなのかについても深く考えさせられた。
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河合隼雄先生の著作の中でラスボス的な様相を呈してくる書物だと思われる。
箱庭や対談などの実際的なおはなしを普段大切にする彼にとっては珍しく(?)、この著作は「夢」という曖昧なものを800年も前の名僧、「明恵上人『夢記』」を軸として、彼の生涯とともに紐解いていく。
それほどまでに現代人であれ曖昧に語りだす「夢」というものに、~800年前の明恵上人の語りを軸に~著書が思いを巡らせたかったことは一体なんなのか。
これが読み解けない(・w・;
気が向いたら読み返してきます。
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夢を記録する態度の模範として参考になる。
冷静に、夢は夢とする面(予言の成就に一喜一憂しない)と、
純粋に、夢での出会い・出来事を喜ぶ面(仏が夢に現れる。悟りの位を上る。といった奇瑞を記録する)を持ち合わせていた。
バランス感覚が大事。
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この本は、鎌倉時代の華厳宗の高僧、高山寺の明恵上人についての本です。
明恵上人は、19歳の時から60歳で無くなるまでの間、夢日記を書きました。散逸したのもありますが、現代にも多くが残っています。この夢日記を、河合隼雄が解読したのが本書です。
河合隼雄は、残念ながら亡くなってしまいましたが、存命中には日本でとても人気のあった高名な心理学者で、日本におけるユング派のパイオニアなので、今更紹介する必要もないでしょう。
かなり昔のことですが、岩波書店から彼の著作集が全14巻で公刊され始めた時、僕はそれを発売される度に買い求め、最終的に全巻を読みました。その時に、この本を初めて読んだのです。
この本は、ちょっと不思議な本です。
フロイト派であれユング派であれ、夢分析をする時は、分析者が好き勝手に解釈するのではなく、夢を見た本人の連想を聴いて、それを元に解釈をしていきます。
ところが、今回分析対象となる明恵上人は、鎌倉時代の人ですから、本人の連想を聞くことはできません。
現代の人間が明恵上人が見た夢を解釈するにあたって、得られる情報源は4つしかありません。それは、明恵本人による解釈、明恵の伝記や逸話、華厳宗の教義、当時の時代状況です。
しかしそれだけでは、夢分析はできません。
ではどうするのか?
なんと、連想は河合隼雄自身が行なうのです!
明恵の夢を分析をする上で欠けたピースを埋めるのは、河合隼雄自身が明恵の夢記を読んで感じたこと、考えたこと、彼の学問的蓄積、そして何をおいても、臨床心理学者としての臨床経験です。彼は本質的に「臨床」心理学者であり、クライアントとの「全存在を懸けた個性と個性のぶつかり合い」(p.35)を一番大切にした人物です。
この本には、クライアントに対するのと同じく、明恵上人に対して河合隼雄が「全存在を懸けた個性と個性のぶつかり合い」を行なった軌跡が書かれているのです。
したがってこの本は二重構造を持っています。この本は明恵のこころの分析であり、同時に河合隼雄自身のこころの分析でもあります。明恵上人と河合隼雄は、この本の中で微妙に重ね合わされているのです。
明恵上人は、ユングと同じく、「ビジョンを見る人」です。
また、彼は長年修行を積んだ高僧ですから、神通力があります。
つまり明恵上人は超能力者でもあり、この本にも超常現象や幻像が沢山出てきます。
明恵上人は、日本のユングと言っていいでしょう。
『ユング自伝』は、ユングが見た夢、幻像、思想が書かれた本です。
『明恵 夢を生きる』もまた、明恵上人が見た夢、幻像、思想が書かれた本であります。
そしてまたこの本は、明恵上人に託して書いた、河合隼雄の心象風景でもあるのです。
河合隼雄がスイスのユング研究所に行ったのは、1962年、34歳の時です。それから脳梗塞で倒れるまで40年以上の間、彼が自分自身の夢日記を書いていたことは、確実であると考えられます。しかしそれは公開されてません。
いつの日か河合自身の夢が公開される日が来るのでしょうか?
もしその日が来たら、その時、彼自身がどの様な夢、幻像を見て、どの様な個性化、自己実現のプロセスを経て死んでいったのかが、そこに書かれていることを、読んだ人は見出すでしょう。
僕にとっての『明恵 夢を生きる』は、そんなことをとりとめもなく想像させる本なのです。
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たまたま歴史的に興味があったので読んでみた。
鎌倉という時代は 稀有な仏僧たちが 生まれている背景
など 臨床心理士という立場で 日本民族の精神構造等々
形成していく過程で 大きな役割を担ってきたのではないか…
という ところに 触れているのも 関心が持てた。
あまり 明恵のことについては 知らなかったがこれを機会に
明恵のことなども 知りたくなった。
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これは、明恵の夢に対する著者の考察をまとめた論文のようだ。鎌倉時代に生きた僧、明恵の夢記を紐解き、夢とともに(ユング派でいうところの)個性化を成し遂げて行ったであろう論を展開している。転機においては判断のヒントを、完成に至っては華厳の世界の実現を夢と現実とにみたであろうと。深層心理の幕開けが、20世紀初頭であることを考えると、この時代にこれだけ夢に真摯に取り組む人がいたということに、著者がいだく驚きと尊敬の思いとが随所に感じられる。ただ、時代を追ってはいるものの、個別の夢ごとの説明と、夢は現代語訳されておらずすぐにイメージがわかないために、明恵という人物像を読者が全体的に捉えることには失敗している。明恵の人物伝といったストーリー性を求める人にとっては、期待外れの本といえよう。
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生涯にわたって自分の夢を記録しつづけた名僧・明恵の『夢記』を手がかりに、夢の読み方、夢と自己実現の関係、ひいては人間がいまを生きるうえで大切なこと等をユング心理学の第1人者、夢分析の大家が実証的に説く。夢で生き方が変わることもある……。
第1回新潮学芸賞を受賞した、人間の深層に迫る名著。