紙の本
生きて行く私
2001/10/13 02:16
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シロヤマ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本が出版されたとき、宇野氏はお元気で、毎日を快活に生きておられた。そして何より、素敵な着物を楽しみ、周りの人を楽しませておられたのだと思う。
死ぬ気がしない、とおっしゃられていた宇野氏が亡くなられて幾年もたってしまったが、この本によって、宇野氏の生き様を少しでも垣間見れるのが、何より楽しくさせてくれる。
恋多き女性として有名な彼女だが、その実、それは一途な思いであったことが著書によってわかる。
「生きていく私」
彼女は本当に人生を生きてこられたのだと思う。私達はどうだろう。安穏な人生を過ごしてはいないだろうか、と思い、悔しくて涙が出そうになる。私自身安定した生活の為に日々働いている訳で、社会からはみ出す、後ろ指を指されることに極端に怯えているのが現状だ。
時代が彼女をそうさせたわけではなく、彼女が時代を利用してそうなったんだろうなぁ、としみじみ感じてしまうに違いない。パワフルな女性はいつの時代でも、歴史に名を残すものなのだ。また、そのような宇野氏でも老いについて語る場面は切ない。
過去に恋仲だった人物が先立つのも忍びない。その語りを読むと、これから先に確実にやってくる老いが漠然とした不安になって心に焼き付けられる。どのようにして生きていくのがいいのか。私にとっては「生けて行けるのか私」の心境になってしまう。皆さんもそうではないだろうか。
人生の喜びや悲しみを、そしてこれからやってくる老いを考える材料として著書を読むことはとても有意義な時間を過ごすことができると思われる。
宇野氏の大好きだった桜の花(彼女は桜が好きで年がら年中桜の花がモチーフになった着物をお召しになってたそうだ)をあしらった装丁も切なく愛らしくてとても素敵である。
生きてく為に手元に一冊置いておくのを私はお勧めします。
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治生まれで、4回の結婚離婚、波乱万丈。最後の夫は10歳年下、結婚式に招かれた作家が、是非次の結婚式も呼んでくださいと言ってしまうほど。とても読みやすいですが、内容には圧倒されます。
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スゴイ人です、千代さん。たまたま自由な生活が出来た女性の半生なんかじゃなく、切り拓いた自由の中を悠々と生き抜いています。今の時代にしても、彼女のような生き方ができる人はそうそういないでしょう。ロストバージンのくだりは、なんだか共感できるものがあったり、なかったり・・・。
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なんという逞しさ!なんという運命!いまだって昔だって宇野千代先生のような人はきっといない、多分これからも。あまりのいさぎよさに心打たれます。
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智恵の塊のような人だった。あらゆる困難を笑顔で乗り越えていく気質は一言でいえば「楽天的」だけれど、影の覚悟と涙さえ女らしい人だった。瀬戸内晴美とよく似ている。「私は辛いと思うことがあると、その辛いと思うことの中に体ごと飛び込んでいく」。生きてきた私ではない。「生きていく私」は「死なないような気がするんですよね」という名言を残している。
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明治、大正、昭和、平成と時代を生き抜き98歳で亡くなられた。この本は生まれた時からのことを振り返り85歳の時に執筆されている。読み終わった時、メキメキ力が湧いてきた。
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パワー不足を感じるとき、取り出してきては読みます。いつも手元において、活力をもらう、そんな本です。宇野千代さんのように自立して、奔放で、一途な生き方に憬れます。
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明治、大正、昭和、平成と生き抜いた作家、宇野千代さんの波乱万丈の自伝。
この人はすごいね。何がすごいって、思ったらまっしぐら、行動せずにはいられない。朝、テレビを見ていると青森の五戸で、おばあちゃんが温泉を発見したことについて放映されていた。この話を見たとき、宇野さんはたちまち身支度をして山口から新幹線に乗って、上野で乗り換え青森まで行ってしまうのである。
これはなかなか真似出来ることではないが、本書を読むと行動を起こすことの重要性を感じる。
他にも、『生きて行く私』には上手に生きるためのエッセンスが詰まっているように思う。
尾崎士郎、室生犀星、川端康成、梶井基次郎、谷崎潤一郎、山本陽子さん、徹子の部屋、瀬戸内晴美(寂聴)さんとのエピソードなども興味深い。
本書で一番素敵に描かれている人は宇野千代さんのお母さん リュウさんではないかと思ったが、それは多分、千代さんに対して最もよくしてくれた人なのだからだろう。
本書は、文庫で5ページずつ話が分かれているので、持ち運んでちょっとした時間に読むのもいいだろう。
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とっても素敵だった!!
読んでいて一体彼女がいくつなのかわからなくなった。
友達が有名な人過ぎて驚いた。
出てくる舞台がご近所だったりして驚いた。
彼女の考え方はすきだ。
是非是非全部の作品を読みたい。
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自分の人生とあまりにもかけ離れていて、びっくりの連続だった。ドラマみたい。宇野さんの行動力は本当にすごい。友達も著名人の名が次々と出てきて驚かされた。
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地元出身作家の自叙伝(?)大物作家などが数多く登場してくる感慨深い作品です。幸福を伝染、という件が好きになりました。
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何と人間性豊かな人なことか。
こんな老人になりたいと切に願う。
波乱万丈な人生も独自の哲学で乗り越えていく。
最初から最後まで引き込まれる内容であった。
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辛い事に体ごと飛び込んで慣らす。という淡々と言ってのけるすごいおばーちゃんだと思う。一日一日大切にしたい。
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毎日新聞に連載されていたという自伝的エッセイ。特に半生を語った前半部分はほとんど小説を読んでいるかのよう。時代は大正末期から昭和中期。複雑な家庭環境、地元での教員生活、上京後の文士たちとの交流、焼け野原からの雑誌発行、その成功と没落等々、どれも当時の風俗が垣間見えて興味深い。後半は時代も現代に近づき、エッセイ色が強くなる(それでも30年ほど前だけど)。
まず文章が読みやすい。新聞連載なので一話が短く、テンポよく読める。まとまった読書時間がなかなか取れない人(私です)に特におすすめ。恋愛遍歴が有名だけれど「恋愛」部分の描写は多くはない。恋愛好きというよりはただひたすら、自分に正直な人だったのだろうなあと思う。その正直さ、そして「鴉が空を翔ぶように」の一文は、やっぱり素敵。
【注】私は中公文庫版(476p)を読みました。角川版は100pほど少ないようなので内容に違いがあるかも?
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宇野千代さんの自伝。恐ろしいほどの行動力と自然体の生き方に感服。自由奔放といえばそうだけれども、その自由さには強さと責任が感じられ、天心爛漫さと強さを持つ女性だった事を強く感じた。もし、「女性としてのおすすめの本は?」と聞かれたら、この本をすすめるかも。本の中に登場する大物文化人(川端康成、梶井基次郎、谷崎潤一郎、東郷青児などなど)とのエピソードもおもしろい。