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「母の縮小」「母の発達」までは歪んだ愛がグロテスクで切なくて可笑しみがあるなと思っていたが、「母の大回転音頭」までくると、あっけにとられるばかり。
しかし、縮んで分裂して回転するのが「母」でなければ成り立たないのだろうなあということはわかる。
個人的には「つ」のお母さんに笑った。
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何じゃこりゃ。おぞましく荒唐無稽でありながら会話がむちゃくちゃ日常臭を放っていてかえって怖気を振るう。母親のすさまじいまでの抑圧についに精神に異常をきたした娘の、分裂した手記、と解釈すればいいのかも知れないけれど、この作品はもうそんな風に一歩引いて分析したりなどせずに、最後まで「何じゃこりゃ?」と振り回されながら「ふうわけわからん」と巻を閉じるのが正しかろう。多分、こんな作品はこの人の他は筒井御大にしか書けまい。そういう意味ではなかなか面白かった。とは言え……何じゃこりゃ。
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こう言っていいのかわからないけど、狂っている!!!!狂いながらも、話が大団円を迎えていく巧さ、作り話の醍醐味。笑いあり。
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この著者は精神を病んでいるのでは?と思わずにいられないほど、ぶっ飛んだ話。正常な状態でこんな物語を書けるとしたら、恐ろしい才能だと思う。読み始めはそれほどでもなかったが、途中からはもう、とてもついていけなくなってしまった。ラストに向かう怒涛の盛り上がりは圧巻。
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50間近の主人公が、ずっと自分を支配してきた母親を殺す。
「母」は再生し、変化し、増殖していく。
世間のイメージをぶっ壊すような沢山の「母」が生まれ、歌い、踊る…
圧倒的なユーモアと想像力に溢れた作品。
気楽に読むこともできるが、作品の根底にはとても重いものが流れている。
いくら「母」を変化させても、その支配から決して逃げ出そうとしなかった主人公が怖い。
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殺しても死ななかったお母さんが、「あ」から「ん」までのお母さんに分裂・増殖して、最後に再構築される、ちなみに分裂したお母さんを発達させ、再構築したのが娘のヤツノ、というお話。
SFでもないし、シュールリアリスムでもないしマジックリアリスムでもないし、コメディでもないし、ホラーでもない。
「ギャグ」。
それもただの「ギャグ」ではなくて、深くて凄くて真面目な「ギャグ」。
この単語が最もピンとくる。
解説を読むと「社会性・批評性のまさった作品」ということらしく、確かにそういう側面はある(と思う)。
女性が読んだらそういう側面が強化されるような気もする。
僕はもう、最初から最後まで、支離滅裂で崩壊一歩手前で踏みとどまっている物語の展開と、意表を突くような組み合わせや、もはや意味があるようでないような言葉の洪水に溺れそうになりながらも、しかめっ面の裏でニヤニヤしながら読み終えたって感じ。
「何がなんだか訳がわからない。思いつきだけで書かれちゃった小説みたい」と思う方も大勢いるかも知れない。
でも、これ、思いつきだけでこれだけの作品を書くことは無理。
ロックに例えて言えば、あのキャプテン・ビーフハートの「トラウト・マスク・レプリカ」における、全ての楽器と声が自分勝手に思いつくままにがなっているように聴こえて、実は何か月も入念なリハーサルを繰り返した末の楽曲だった、というのに似ている。
そういうのが好きな人(僕がその一人だ)にとってはたまらなく面白い作品。