紙の本
出版社からのオススメ
2003/02/05 03:20
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投稿者:太田出版 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハリウッドと日本オタク文化が繰り広げてきた鮮烈なパクリ合戦、インターネットもコミケ化している今、日本史上かつてない世界的繁殖力を持つオタク文化とは何か?東大「オタク文化論ゼミ」の教科書でもある、フツーの人のためのオタク学入門書。
紙の本
オタク学入門
2000/07/18 22:19
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投稿者:藤津亮太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
96年に出版された本だが、今読み返しても、オタクの審美眼を分かりやすく解説したその内容は古びていない。
その理由の一つは、この本が挙げたオタクの3つの眼「粋の眼」「匠の眼」「通の眼」が実は、極めてオーソドックスな方法論だったからにほかならない。本書のキモはそこにのみあると、言ってしまってもいいかもしれない。
3つの眼の分類は以下の通りだ。「粋の眼」は、作品の美をどこに発見するかという視線。「匠の眼」は職人の技巧を評価できる視線。「通の眼」は、作品の背景にある作者の事情までを見通す視線。本書は、それぞれが作品鑑賞に際して具体的にどう活用されているかをイラストなど交えながら、特撮、アニメ、ゲームを題材に縦横に紹介している。そこにはさまざまなジャンルを黎明期からウォッチしてきたオタク第一世代ならではの、説得力がある。
その影響を受けた読者のとる行動は二つある。
一つは、本書が示すとおり、よりスキルの高いオタクを目指しアニメや特撮に精進すること。そして、もう一つは、この本そのものを「粋の眼」「匠の眼」「通の眼」で味わうことだ。この原稿は基本的に、初めて読んだときの驚きをベースに「粋の眼」のつもりで書いてみた。
では、あなたの「匠の眼」「通の眼」では、この本はどのような姿を見せるのだろうか? そこがまた興味深い一冊でもある。
(藤津亮太・ライター兼アニメ評論家)
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書き方がそこまでオタッキーじゃないから読み易い。
オタクというよりクリエイター志望の人は是非読んでみて。
オタク文化万歳。
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めっちゃおもしろい。
オタク学といっても、オタクにしかわからないコアな話ではなく、「オタクは作品をこう見る」といった解説書的作品。
有名作品ばかりを例に挙げているので、アニメや映画に詳しくない人でも楽しめると思う。
読めば、映画やアニメの見方が変わるよ。
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久しぶりに読んだ活字がこれ。。。
プロデューサーらしい目線でスタッフワークを見つめて書かれている。
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作品や物事を見るには、特有の視点がある。
それは分野によって違ってもくるが、大体似てくるものでもある。
このオタク学入門では、
粋、匠、通の目で見ることが、オタクであるとしている。
粋=自分独自の視点で作品中に美を発見(主観性)し、作者の成長を見守り、楽しむ視点
画風や煙・光・水がかなでる美しさを発見「アートの文脈」を読む。見えてくる尽きることのない興味の目線。
匠=作品を論理的に分析し、構造を見抜く科学者の視点(客観性)、同時に、技を盗もうと見抜く職人の視点
ハリウッドスタイル:30分で主人公動機付け 60分で事件一旦解決。主人公は納得いかない。90分状況から逃げるのをやめて解決へ向かう。(映画も固定として見るのではなく、本のようにアタリをつけて見れるようになる。)作品としてではなく、人工物であることを自覚して、分析すること。ポリゴン数、スプライト数
通=作者の事情や作品のディテールを見抜く目(歴史性、社会性)。作品内にスタッフたちの情熱や葛藤といったドラマを見出す。作品の社会的位置を把握する。
前知識として、予算の少ないものと知っている。すると、使いまわしのあるものが映ってくる。これを見逃さない。宮崎駿の紅の豚は批判していた松本零士の「戦場マンガシリーズ」にそっくり。権威を否定したものが権威になる皮肉な歴史を感じる。
アルビン・トフラー
=『未来の衝撃』、『第三の波』(The Third Wave)、『パワーシフト』(Powershift)
。「全体の中心テーマは変化である。すなわち社会が急に、予想もしなかったまったく新しい姿に変容するときに、人々に何が起きるかだ。『未来の衝撃』は変化のプロセス、つまり変化が人々や組織に与える影響を取り上げる。『第三の波』のテーマは変化の方向であり、今日の変化がわれわれをどこへ連れてゆくのかに焦点を当てる。『パワーシフト』では今後起こる変化のコントロールについて、つまり誰がどうやって変化を形成するかを扱っている」
未来の衝撃=個人や集団や社会全体が変化の波にのまれたときに経験する方向感覚の喪失、混乱、意思決定機能の停止を定義する語(現在使用)
第三の波=第一の波は、農業の導入によって、人類が狩猟採集生活から定住農耕生活へと革命的な移行を遂げたこと、第二の波は産業革命で、工業化世界の基盤としての製造方法や労働力の組織化における大革命、第三の波は、情報を基盤とした脱工業化革命で、1950年代の数々の技術的、社会的な大変革とともに始まったものだとしている。
パワーシフト=過去の産業社会のパワーシステムに取って代わる新しいパワーシステム。権力の性質そのものが根本的に変容すること。権力の基本的な源となる暴力、富、知識という3つの要因を再認識 ビジネス活動は、トフラーが「パワーフィールド」と呼ぶ、これら3つの「権力のツール」が恒常的に機能している場所で行なわれている。そして、知識がますます重要になって、あらゆる機関は既存の権力から葛藤を経て、知識に依存していく。また、「速い」経済と「遅い」経済の差が大きくなり、そこにも���たな葛藤が生まれる。
大量生産からカスタム生産へ=「非大量化」
アドホクラシー=官僚制のような硬直的で非効率な組織と対比てきで、流動的なコミュニティ 例 仮想企業(バーチャル企業) アドホック=「特定の目的のための」「限定目的の」
プロシュマー=生産する消費者=オープンソース、フリーランス
経済理論『知価革命』堺屋太一=知恵の値打が経済成長と資本蓄積の主要な源泉になる
○近代工業社会の3大仮説1.価値普不変の法則「近代工業社会では「価格」は需給によって変動するが「価値」は変わらない」2.需要は近似的に予測可能である。3.規格大量生産は有利である。 → 「生産手段は常に有価値であり、需要の予測が近似的に可能であり、そして大量生産を行う大企業は有利である。この3つの仮説が成り立てば、近代工業社会においては大型の生産手段を持つ大企業に対する融資は「安全な金融」であり」得た。
○知価社会における金融の特徴1.大企業に対する金融もリスクがある2.生産手段や在庫の担保価値は小さくなる3.金融業者は、仲介者(ブローカー)よりも胴元(ディーラー)が主になる金融ブローカー → リスクテイカー4.金融には、「馬券」と「入場券」がある。今後、「馬券」部分が拡大する。*馬券=リスクマネー 5.金融には、インシュアランス、ヘッジ、デリバティブが必要。
知価の特性 可変的、不足性、貯蔵が難しい。
本格的、正統的な文化=文学、科学、歴史、アートなど アカデミックかつクラシック(大学で研究したもの)=教養=大人の文化=ルーツ:ギリシャ哲学「物事は論理で存在して、賢くなればあらゆることを解決できる」=キリスト教はっきりとした秩序「コスモス」(神)はっきりとしない「カオス」(悪魔)魔の世界に光を当てて、秩序だったものにしていく(神の世界を広げていく)これが科学のルーツ。メインカルチャーは秩序立っていて、科学的。感情のままの子供はカオス、だからコスモスにすべき=メインカルチャー備えるとは、育ちのいい「階級」の証=立派な市民になるための、大人が作った子供文化
カウンターカルチャー=大人に反抗する文化=階級社会の抑圧に対する反抗(ヨーロッパ)
サブカルチャー=立派な大人になりきれないオチこぼれの若者が作る文化=(アメリカ・日本)階級がない分、「大人になる」ことに反抗=メインカルチャーでは「カオス」の部分を評価するもの「カオス」の代表選手の「子供」の文化が前面に出ている。戦後、「アメリカ的かっこいい」という文化的ヒステリー運動は「文化的植民地」に仕立てられた。ただし、大量消費社会を前提としたサブカルチャーには今後は、限界もある。
日本のサブカルチャー=大人に反抗するという思想が欠如→表面の真似だけ=思想なきカルチャー=世界に評価されない。
この例外が「オタク文化」
オタク文化=幼い子供たちにも楽しいように形を整えて、その上で本質的なテーマを入れた文化(資本主義社会の中で翻弄されるクレヨンしんちゃんなど)=子供文化から進化したもの
日本文化=江戸時代に成立した消費文化、子供むけ文化 茶道=視点の変化��よって価値を作り出した。作り手と受け手の間の切磋琢磨をして文化が進化。目利きが説明することで、見えなかった部分が見えて、確かな美が見出せるようになる。四書五経に集約=東洋文化 茶道、禅を頂点とする日本文化。
クリエーターが偉いように見られるが、受け手との相互作用のないものはオタク文化と言えない。
子どものまま大人でも良いオタクと反抗のサブカルチャーとの対決。
結果、自由競争社会から、自由洗脳社会へ。(一部によって独占されていた洗脳行為が、一般大衆に広がっていく)デジタル化で加速。
そして、超ネットワーク社会へ
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オタクが生まれたのは、アニメ映画やSF映画の特撮に対する好奇心からだというのが岡田氏の論である。どうでもよい知識を沢山知っているのがオタクというのは間違いらしい。
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1996年発行で、やや古さはあるが、内容はとても面白い。
著者 岡田氏は別名オタキングといわれたことだけあって、アニメ、特撮のサブカルチャー全般についてよく知っているとともに、それを歴史的に、視点的に論じることができる稀有な存在である。
ほとんどの内容を知っているか、もしくは年代的にかすっていたので、知らなかったことも知ることができてよかった。私にとってはとにかく面白いの一言に尽きる本だった。
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萌え系こそがオタクの定義の様になってしまった昨今。
純粋で興味の対象をとことん追求する、本当のオタクの性質を解説。
いつも観ているものも様々な視点で見つめ直すと、新たな発見があるだろう。
この本では、SF・アニメ(板野サーカス)・スーパー戦隊・ハリウッド映画・少年漫画誌などについて知ることができる。
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オタクの基本技能(粋の目、匠の目、通の目)についての解説があり、勉強になった。巻末の「オタク文化論」が特に興味深い。メインカルチャー(ヨーロッパ,階級社会)、カウンターカルチャー(アメリカ、階級への反抗)、サブカルチャー(アメリカ、大人への反抗)。オタク文化(日本)は,何かに対する反抗にすぎないサブカルチャーとは別物である。その具体例として、歌舞伎とバレエの子役の扱いをあげている。こういう説明は、本当にうまい。岡田氏の芸風が96年に完成されていることに驚いた。
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○パクリ合戦
○オタクのもつ三つの眼
1「粋」の眼
→日本文化の「見立て」と特撮、
世界(戦隊者は5人!というルール)と
趣向(その戦隊は虫をモチーフにしている、などの独自性)、
2「匠」の眼
→合成の大変さ、それを見る楽しみ、ハリウッドのシナリオ学
3「通」の眼→少年漫画の売り上げ合戦、手塚治虫と宮崎駿
○(西洋)メインカルチャー→カウンターカルチャー→サブカルチャー
○(日本)西洋から輸入→さるまねのサブカルチャー←(対立)→オタク文化
→オタク文化は日本文化の発展だ!
1996年に書かれた評論読み物。
わかりやすい図式と、けっこう優しい目線。
この図式やハリウッドと日本の対立などは、読み物として面白かった。
自分のオタクとしての立ち位置がわかる、というのが嬉しいところ。
エヴァOPをコマ送りしていたのは私だけではあるまい。