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「六の宮の姫君」青空文庫版読了。名作が手軽に読める青空文庫はとても素晴らしい。というのは置いといて。
公家の姫って普段なにしてんの?というのを垣間見ることができる短編。原典は今昔物語の1エピソードとのこと。
まったくもって社会に無力で男に頼らざるをえない「女」が描かれており、それに比べたら頑張り次第で女性でも生活していける現代は、なるほど恵まれていると思うが、女性の一方の本質はやはりこれだなとも思う。
これは個人的な精神作用になるが、ハムレットに出てくる「弱き者よ汝の名は女なり」というセリフが、自分の無力感を感じる時に毎回思い出す。つまり、現実でも物語でも、今回の作品のように女性のこういうところをみると、「どうしてもう少しだけ強く生きれなかったか」という激情と、「たとえその場に自分がいても所詮部外者」という反動の感情に襲われ、結局行き着くところはもやもやとした諦観になり、前述のセリフを自分が納得する為の解釈を加えて、念仏として唱える。
基本的人間愛としての叱咤激励を女性にむけても、有効性はなく、女性にとっては主観的個人愛による想い人からの一言だけが特効薬であることを承知している、要は非モテ系人間なので、「なんだかなー」と呟かざるを得ない。
長くなってしまったが、物語自体は非常に短く、平安風景を容易に想起させる天才・芥川の流麗な文章だけで4つ星を上げても良いと思ったが、オチと解釈を求めてしまうと、日本史人物の基本的知識が必要となってくるのでマイナス1の3つ星にしました。
青空文庫で無料で読めるので15分時間を潰したい方には損はさせません。
え?菊池寛版もあるの?解説付き?
え?これを題材にした北村薫のミステリーもあるの?
そもそも今昔物語読めって?
(読書・知識の広がりはチェーンコンボ)