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鈴木いづみコレクション 1 ハートに火をつけて! みんなのレビュー

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紙の本

絶望の痛み

2002/07/05 04:13

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る

鈴木いずみの小説は、いつでもとても切なくて、そしてとても痛い。代表作とも云えるこの長編小説は、「虚無」に恋いこがれながら「絶望」に生きた当時の感受性鋭い若者たちを、その真っ直中で生きた著者の感覚そのままに描かれた陰惨な青春小説だが、松浦理英子が正しく指摘するように、その風俗的な側面の抽象化がふじゅうぶんで、心理描写があまりにも客観視されていない思い入れの強さによって、小説になり損ねてしまったように思えるのだが、しかし、それゆえにこそ当時の絶望感の深さが、ラスト・シーンに横溢する「静寂」への激しい渇望として胸に迫る。
その意味で、この小説はむしろ鈴木いずみの作品としては「文学」として読むことも出来るように思う。僕としては彼女が最盛期に書いた(書き散らしたとも云える)ポルノ小説やSF小説の復刊を希望したい。それらの作品のビニール袋につつまれたような「軽薄さ」にこそ、本当の絶望の「痛さ」が隠されているからだ。

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2004/10/10 02:24

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2006/08/15 05:54

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