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紙の本
二十世紀初めのリゾートの世界へようこそ
2001/05/31 21:19
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投稿者:mau - この投稿者のレビュー一覧を見る
旅の案内役が、また良い。
帝国末期、二十世紀初めに出版された三冊の旅行案内書の勧める保養地・観光地を元に組み立てられた10の旅行ルート。大衆化しつつあったとはいえ、当時の旅行者の中心はある程度裕福な階層に絞られる。それゆえ今では人気のない、あるいは日本人に知られていないリゾート地をも巡る旅となる。そのギャップが面白い。
第一次大戦の敗戦、ソ連支配による東西の分裂などで、国境は住民の思惑無視で勝手に線引きされる。道一本、川一本隔てて人や物の交流が途絶え、生活様式が変えられる。国交が回復した今も、その後遺症はまだ痛々しい形で残っていたりする。
反面、国境を越えて共通の文化を守っている人達がいる。周りの意志に反して固有の文化を守る事は、争いの火種にもなる。そのバランスをとるのは、本当に難しい。
著者は人文地理学の教授。ことさらに強調してはいないが、人為的に定められた国境への空しさが本文中に埋め込まれている。
余談だが、これを読んで映画「去年、マリエンバートで」のバートはこっちで言うところの「Bad=温泉」だったことに遅まきながら気がついた。そうか、あの倦怠感は、登場人物が優雅なリゾート族だったせいか…。
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