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小林秀雄とベルクソン 「感想」を読む 増補版 みんなのレビュー

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紙の本

小林秀雄のアクチュアリティ

2001/03/07 21:23

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小林秀雄と理論物理学とのつながりはアインシュタインの来日以来のことであり、山崎氏は「小林秀雄の批評は、古典物理学の危機とその克服としての相対性理論や量子力学と同じ意味を持っている」と書いている。

《古典物理学においては、観測者は、観測の対象を、対岸から、客観的な第三者として観測するということが前提されていた。これに対して量子論においては、観測者自身が観測対象の中にはいりこみ、観測者の行動をも観測対象に入れなければならなくなった。ある意味では、客観的な観測は不可能だということである。
 小林秀雄が「観測者」としての「作家」を問題にしたということは、以上のように考えるならば、きわめて画期的なことだと言わなければならない。つまり、作家は「人間」という対象を観測する古典物理学的な観測者である。これに対して、「観測者」としての「作家」を観測する批評家の誕生は、世界観、ないしは存在観の変換を背景にしている。》

 本書を読んで私が想起したのは、「現実の分裂」をめぐる小林秀雄の発言だった。——それは、赤間啓之氏の『分裂する現実』に紹介されていたことなのだが、小林秀雄はある座談会(1937年)で、ジイドの『ソビエト旅行記』が最初ソビエトの民衆は非常に活発だとしながら、後に無気力だと書いているのは描写の上で分裂しているという指摘に対して、「それは現実が分裂してるんだよ、ロシアの現実が。描写の分裂ぢやないんだよ」と発言している。

 ついでに赤間氏の文章も引用しておこう。

《たしかに、「現実の分裂」という言葉を発明した小林秀雄には、言葉のハイパーインフレーションに陥っている面があったことは否めない。しかし彼は、ある意味で今日的なヴァーチャル・リアリティの問題を先取りしていた。そしてそのことが、彼の言葉の価値の目減りを防いでいるのである。彼にとって、言葉は現実を現実たらしめていた地位を奪い取るほど強力であった。それは、彼の思考のなかで、言葉固有の力、言葉の象徴的機能が、遡及的に現在のヴァーチャル・リアリティと呼ぶしかない何ものかと密接に結びついていたからである。》

 このたび新しく刊行されることになった全集には、未完・未刊のベルクソン論「感想」が含まれるという。小林秀雄は再び、いや今こそアクチュアルな存在になりつつある。

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