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ぺりかん社の「なるには BOOKS」シリーズの一冊で、その名の通り「日本語教師になる」方法をまとめた本である。
海外で日本語を教えているひとや、日本国内で親子二代で日本語教室を開いているひとなどへのインタビューがあって、実地の面からどういう問題点や難しい部分があるのかがよくわった。
「日本語を教える」というのは、ことばの対応表を暗記させるだけでは終わらない。
たとえば「アイラブユー」というとき、日本人でも愛の告白はするけれど、日常的には「好き」を使って「愛してます」とはあまり言わない。では「愛してます」の代わりに「好き」を使うのならば「好き」には「ライク」と「ラブ」のふたつの意味があるのか? それはどういう局面で使い分けるのか?
いやいやそうじゃないよ。日本人はオブラートに包んだ軟らかい言い方を好む傾向があって、ラブでもライクと言うことがあって……と説明を始めると、これはもう言語だけでなくて文化論にまで踏み込んで説明しなければいけなくなる。
日本語を教えるということは、ことばを越えて文化や風俗、考え方までも含めた「日本」をまるごと教えることになるのだ。
すごいぞ日本語教師。
おみそれしました。
本書の後半には、さまざまなデータが載せられている。
ひとくちに日本語教師といってもどういう形態があるのか。日本国内で留学生を教えるのか、海外へ出て行って教えるのか。海外ならば学校で教えるのか社会人に教えるのか。という基本的データからはじまって、各国の日本語教育状況やもっておいた方がいい資格なども紹介されている。
日本語教師をめざすなら、まず最初に目を通しておくべき入門書である。