サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

戦艦大和 改版 みんなのレビュー

文庫

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー8件

みんなの評価3.7

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (3件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本

「大和」とは日本にとってなんだったのだろうか。

2004/04/04 15:05

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

白洲次郎という男は自身について多くを語らない人物のようである。
 没後に関係者が寄り集まって出版されたのが『風の男白洲次郎』という物語りであるが、この中で興味深い事実の一つに一面識もない小林秀雄が鶴川に住む白洲次郎を訪ねてくる件である。
 敗戦後、吉田茂の片腕としてGHQとの交渉にあたっていたのが白洲次郎であるが、GHQの検閲をパスさせて欲しいと小林秀雄は『戦艦大和の最期』の原稿を持ち込むのである。
 その時の様子や白洲次郎がGHQと交渉した内容は詳らかではない。
 しかし、熱血漢でGHQに対しても一歩も退かない交渉をした白洲次郎のことである、その場面を想像するだけでもわくわくしてくる。
 日本海軍の象徴でもあった「大和」の最期を記した本書はGHQに軍国主義を呼び覚ます戦記文学として捉えられたようである。本来の主旨とは異なる内容、大幅な削減という屈辱を呑み、多くの人々の支持を経て、ようやく出版されたという誕生秘話を本書は持っている。

 文語体で書かれた「大和」の出撃、米軍の猛攻撃の様子は臨場感を感じさせるものであったが、著者は意識して文語体にしたわけではないとのこと。何かに憑かれて書いたとしか思えない描写であった。悲劇も苦悶も全てに仰々しい感情が入っていないだけに、傍観者としては弾が飛び交う戦闘現場にいる感じがした。
 世界最大級にして不沈戦艦といわれた「大和」が轟沈した後、漂流者を狙い撃ちする米軍の艦載機の理不尽さを著者は幾度か憤る。ここではネイビーとしての仁義も何も無い憎悪の世界でしかない。
 巻末には戦後の平和な時代に著者が赤裸々な思いを綴った文章があるが、戦争の是非について悩む気持、戦わなければならなかった感情が表現されていて、戦後派の人間からみればそこまで過酷に自分を責めなくてもと同情してしまった。
 運命の「大和」に座乗したばかりに起こった身辺の煩わしさ。『戦艦大和の最期』の英訳本がアメリカで出版されるにあたり、GHQの検閲を担当し出版に難色を示したアメリカ軍人が中間マージンをせしめていたとは。
 いったい、これらの怒りをどこにぶつけていいのだろうか。

 世界最大級の戦艦がどれほどの大きさであったかは想像もできないが、福岡市の天神地下街の端から端までの長さが「大和」の全長に相当するといわれている。
 また、紀尾井町のホテルニューオータニにある回転レストランは「大和」の主砲の台座と同じ大きさ、構造であるともいわれる。
 いかほどの大きさかが少しでも理解できるというものだが、いまでもどこかに日本人は「大和」と同じものを当て嵌めたがるのはどうしてだろうか。
 悲劇の美しさに心惹かれるからだろうか。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。