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天皇と接吻 アメリカ占領下の日本映画検閲 みんなのレビュー

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紙の本

検閲と日本と戦争

2002/01/18 22:05

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:メル - この投稿者のレビュー一覧を見る

 天皇と接吻という、このタイトルの組み合わせは、アメリカの行った日本映画の検閲の二つの主要な点をうまく象徴している。「天皇」が登場する検閲で問題になる箇所であり、一方「接吻」の登場するような映画、民主主義を啓蒙するような映画は、逆に積極的に映画にするように奨励されたものだ。本書は、検閲が日本の文化や社会に与える影響を考察した研究書の一つである。
 例えば「天皇」であるが、占領軍の天皇に関する政策が影響を与えた映画として、亀井文夫監督による『日本の悲劇』が取り上げられる。この映画が問題になったのは、天皇の描き方だ。天皇が戦犯であるような示唆的なところがある。しかしながら、この映画は、一度は検閲を通り上映にこぎつけているように検閲方針に従っていたにも関わらず、再度の検閲によって上映禁止になっているのだ。
 亀井文夫監督といえば、戦中に治安維持法違反の容疑で逮捕されている。たとえば有名な映画に戦意高揚映画に関わらず、疲れた兵士や侵略された中国人をリアルに撮影した『戦ふ兵隊』などがあり、当時の軍部によって上映禁止にあっている。亀井監督の特異な点は、このように戦争中は日本から、戦後も占領軍によってからも結果として抑圧を受けたということだろう。
 《この件が示唆する最もアイロニーに満ちた点は、戦時中の日本の軍国主義のもとで投獄まで体験した岩崎や亀井が、民主主義を旗印にして解放軍のイメージさえ日本人に与えた戦後の米国の占領政策のもとでも検閲の被害者になったことである。この二人に比較すれば、大多数の日本の映画人は日米両方の政策下、重大な摩擦も問題もおこさず、映画を撮りつづけたといえよう。》
 引用文にあるように、大部分の日本の映画人は、戦時中は戦意高揚映画を撮り、戦後は占領政策に合わせて仕事するように、身替りの早さというものがあった。こうした行為に対しては、もちろん批判もされている。だが、筆者は後から歴史の高みに立って、こうした映画人を断罪するには気がひけると言う。
 《死をも恐れず主義主張に殉ずることは、西洋文化では高く評価される。同時に西洋では、伝統や因習にとらわれた価値観や権威に対抗して、新しい視点や価値観を生み出すために闘うことこそ、芸術家の使命と考える。それゆえ、戦争中の日本の軍国主義政府と戦後の占領軍の両方にあまりに安易に協力した日本の映画人の姿は、主義主張を欠くと西洋人たちには映る。(略)しかし、日本人の感性としては、亀井のように例外的に主義主張を貫いた映画芸術家は賞賛できるけれども、だからといって他の者を権力に与した「協力者」であると真っ向から批難するのも、躊躇するところがあると思う。》
 この文章は、日本及び日本人それぞれの戦争責任を考える上で非常に示唆的だと思う。特定の人のみ責任があるのだ、という態度は結局は無責任な態度と通じているのかもしれない。著者は伊丹万作の態度は立派だと思うと書いている。
 伊丹は、戦中、軍国主義政府に協力して映画を作らなかったが、戦後に左翼系の映画人が戦争協力者をリストアップして声明を出す際に協力を求められたが、断っている。伊丹は、<だましされていた>といって責任が回避されるというのは間違いで、<だまされた者>も<だました者>と同じくらいの責任があると断言した。
 検閲を通じて、アメリカは日本の「父」の地位に就こうとしていたではないかと本書を読んで感じる。しかし、この政策が今の日本を作り上げたのだ。とすると、この政策によって誰が一番利益を得たのだろうか?

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2013/08/24 18:00

投稿元:ブクログ

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