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100年を経て出たウエルズの遺族も公認の『タイム・マシン』続編。もちろん前作を読んでから読んだ方が良いと思います。
ハードSFの名作の中にも人と人との関係性その他のストーリィで読ませる作品が多い中、この作品では、SF的には古典的でさえある時間そのものの概念を深く広く全ての方向に展開させることでエンタテインメントが実現されていきます。この作品の前ではすべての「タイムマシンもの」がかすんでしまうんではないか?と思うくらいクラクラしました。
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過去に行ったり、未来に行ったりとまったく先が読めないストーリーだがよくまとめられている。すごい!後半は作者の想像力が豊かすぎて着いていけなかった。おもしろいよ!これ。
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超壮大! サイエンスなファンタジーに感動囹
参った。タイムマシンの公式な続編ということでさほど期待せずに読んだ。期待しなかった理由はかんたんだ。初代タイムマシンには平行宇宙論が薄いからである。しかし、バクスターは今回もすごかった。
初代タイムマシンで、時間旅行者は「ある物質」を得ることでタイムマシンを完成させる。そして未来へ行き、過去=出発時の現在へ戻ることになる。そんなことあり得ない。いったん時間旅行に出かけたら、エントロピーを無理矢理にでも減少させないと同じ未来なり過去に戻ることはできるわけがない(エントロピーの話を持ち出したのは私の独断)。
このタイムマシンの続編はこの辺を十分に考察している。時間旅行者は、未来に残してきた負の遺産を精算すべく再び未来に出向く。しかし、そこに待っていたのは全く異なった未来だった。当たり前だ。
このオープニングで一気にはまった。これが量子力学では当たり前の展開だろう。しかも未来像はまさに超壮大なサイエンスなファンタジィだ。
地軸の傾きは修正され、自転すら改変される。太陽エネルギー確保のために太陽の周りをシェルターで覆う。しかもそのシェルターは金星軌道を飲み込む大きさだ。人類は進化し、多種多様化する。それでも好戦的な種の保存欲は変化しない。ここまで読んで打ちのめされた。壮大すぎる。
しかも、その未来はこの作品の一断面に過ぎない。未来人類と時間旅行者は過去へ、しかも全く異なった過去へ飛び出す。また、その過去から全く異なった過去や未来へ飛び出していく。どんな世界があるのか。その期待だけで次の頁を読み進むことができる。こうして時間旅行とは平行宇宙の間の旅行であることを何度も繰り返し表現していく。
しかし平行宇宙論も食傷気味になってくる。なんせ上下巻の長い小説だ。そのころを見計らって、平行宇宙の閉鎖が宣言される。唐突に輪廻の輪が閉じるのだ。もちろん閉じるのは高エントロピーの《観察者》である。
時間旅行者は、過去の自分に「ある物質」を手渡すことになる。ここで輪廻の輪が閉じられる。元の宇宙に戻るのだ。そこで終わると思うと、実はそこから真実の話が始まる。まさに《ジーリー》に通じる話である。
圧倒的なスケールとアイデアに満たされたこの作品は初代タイムマシンをも超えるファンタジーだ。個人的には絶賛である。2005年の最後を飾るのは、もちろんバクスターのプランクゼロだ。
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最近読み進めていたジーリークロニクルから離れて、同じバクスター作品ですがなんとあの古典的名作H・G・ウェルズの「タイムマシン」の続編です。タイムマシンの続編の形を取りながらも、タイムパラドックスの理論付け?に挑んでいたり、悠久の時間である過去と未来、有限と無限の気が遠くなるような話など、バクスターらしい考察に富んでいて終始飽きさせません。ジーリーシリーズで少し地味な印象もあったバクスターですが、このタイムシップはオリジナルのタイムマシンを凌駕するとも言える素晴らしい作品ですね。
下巻のあるところで、バクスターの宇宙観を思わせる肉体から遊離した意識(精神)の存在が宇宙を支配しているような描写があります。ジーリーシリーズでも度々出てくる描写なので、彼の宇宙への考え方の原点を垣間見ることができます。それでも本書タイムシップはウェルズへのオマージュとして、ラストも心地よい希望に満ちたエンディングで、本当にSFの中でも屈指の名作だと思います。
そういえばバクスター自体の著名度もそうですが、本書も含めてハヤカワでの彼の著作が結構な数で絶版扱いなのは何とも解せません。これだけの名作なのですから、もう少し内容に見合った対応をハヤカワ文庫にはお願いしたいものです。バクスターの次回作?恐らくはジーリーシリーズになるのでしょうが、早く邦訳して出版して欲しいものです!
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http://shinshu.fm/MHz/67.61/archives/0000434933.html
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作品解説(帯)
時間航行家は、エロイ族の少女ウィーナを救うべく、ふたたび未来へと旅立った。
時間旅行を描いたH・G・ウェルズの名作『タイム・マシン』の公認続篇
英国SF協会賞
ジョン・W・キャンベル記念賞
P・K・ディック賞
クルト・ラスヴィッツ賞
英米独の四賞を受賞した話題作
ストーリー上、不必要と思われる要素が多いため、個人的に第4部まではあまり楽しめなかったが、第5部(下巻の中盤ほど)からの、ひときわ異彩を放ったSF展開が面白く、これだけでも一読の価値はあった。
しかし、それだけにとどまらず、第6部のラスト「円環は閉じられた」から第7部「二億九二四九万五九四○日後」そしてエピローグへと続く一連の流れ。これこそがまさに読者の求めていたものであり、『タイム・マシンの公認続篇』の謳い文句は伊達ではなかった。
スケールが壮大すぎて、人間なんてちっぽけなものだなあと再確認できる作品。
あと、これはどうでもいいことが、ネボジプフェルが脳内で萌キャラっぽく変換されていた点は謎が残るところである。
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イギリス人作家は暗いのが玉にきず
表紙 6点
展開 5点1995年著作
文章 5点
内容 500点
合計 516点