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調香士。世の中にはいろんな職業があるんだなあ、とありきたりな感想を持ちました。どんなに近い人でも知らない部分がある。すべてを知りたい私はきっと満たされることはない。
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表紙がイイ!
同じ形・大きさのガラス瓶に鳥の羽や花や紙片、なんだかよくわからない物が収められて暗い棚の中に陳列されている。
要は「薬指の標本」の標本製作所のイメージです。じっと見ていると一つ一つが意味ありげで、でもどうして大切だったのか今となっては誰もわからないほど昔のものばかり、という感じ。
この話は、恋人の男性が突然自殺してしまい、その理由を追求する女性の視点で進む。
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2009.08.18. 表紙が、やはり素敵。前よりは、冷静に読めた。こう書くと変な感じがするけれど。プラハの旅で右往左往する気持ち、切羽詰まった気持ち、恋人への想い、生きていた頃の幸せな思い出。いろいろ錯綜するのを、淡々と引き受けられたとでもいうか。死んでしまった恋人の、知らなかった別の顔が次々と現れてきて、それがとても魅力的であるというのは、どんな気持ちがするのだろう。
2006.12.20. 切ないような、冷たいような不思議な空気が漂っている。死んでしまった恋人の足跡を辿るためにプラハへ行く主人公、そのストーリーと錯綜していく静かな話たち。死んでしまった恋人が、香水を作る技師で数学がものすごく得意だったというのも興味深い。小川さんの小説には、標本と数学がよく出てくる。★5つ
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突然自殺してしまった恋人。
その生きてきた跡をたどる物語。
死んでしまった恋人弘之があまりにも繊細で、見ていて結局は自殺か心を病むしか行く先はなかったんじゃないか、と思えてしまう。
でもきっと、この人が現実に側にいたら、あたしも惹き付けられるかも・・と思った。
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小川洋子の本はすごく不思議だと再認識。
この本はなんとなく音読したくなった。
プラハに行ってみたくなった。2006.11
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相変わらず不思議な小説。
主人公は涼子。恋人の弘之が自殺した。自分が全く知らなかった弘之の過去を探しに、プラハに出かける。物語は、プラハに出かけるところから、戻ってくるまでを中心に、そのあいだに日本での過去探しや弘之との思い出を回想する。プラハでの旅行で、弘之の残した謎が徐々に明らかになってゆく。さらに、プラハから戻ってきてもう一つ、弟の彰も知らなかった弘之の過去に触れる。
涼子と、彰と、プラハでのガイド、ジャニャックの不思議な関係と、ファンタスティックな物語が面白い。
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再読。
2008.12
タイトルに魅かれて手に取った。はじめて読む作品だと思っていたのに、学生時代辺りに読んだ本だった…。最初のスケートのシーンやルーキーの実家は全く覚えていなかったけれど、洞窟のシーンで「あれ?」と思い、パーティのシーンではっきりと思い出した。
お母さんが壊れていったのは、少しでも罪悪感があったせいなのかしら。
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レビューはブログにて。
http://tempo.seesaa.net/article/114609014.html
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彼女らしい、理系のちょっとひんやりする感じがする本。
ラブストーリー…なんだけど、ひんやりする感じ。
冷めてるわけじゃないんだけどね、ひっそりとした感じ。
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この世に謎なんてないのだと思っていた。弘之さえそばにいれば、この世のどんな謎でも解いてくれると思っていた。弘之が死んでしまうきざしなど、どこにもなかった。
(P.111)
私の知らない十六歳の弘之が渡った橋を、彼を失った私が同じように渡っている。彼はもういないのに、どうして橋はそのまま変わらずにあるのか、そのことが不思議でならなかった。
(P.201)
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調香師だった恋人弘之が突然の自殺を図り、過去を辿るためにプラハを訪れる涼子。数学とスケートが得意だった弘之。どことなく不思議で綺麗な文章だった。2009/8
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ある日、涼子の元に恋人・弘之が自殺したという
電話がかかってくる。突然のことに呆然とする涼子。
弘之が運ばれた病院の霊安室には、職場の上司と、
見慣れぬ男性が一人―。男性は弘之の弟だった。
弟と弘之の遺品を整理するうち、涼子の全く知らなかった
弘之を知る事になる。
ついに涼子は、過去の弘之を追って、単身チェコに渡る。
そこで涼子は、弘之から捧げられた香水「記憶の泉」の
香りを漂わせる温室に迷い込み…。
「香り」がお話の根底に漂い、悲しさを鎮静しているような
静かなお話です。特に涼子が温室で孔雀の管理人と
話しているところがお気に入りです。
弘之は調香師だったわけですが、弘之が残した
レシピで、香りのイメージとして書き綴った
「凍ったばかりの明け方の湖」や、「締め切った書庫。埃を含んだ光」
なんかは、共感できるというか。好きな香りかも…。
ツンと冷たい、鼻がすすがれるような雪に似た匂い。
お昼の温かい光にきらめきながら舞う埃。古い書籍の、甘いような匂い。
香りは記憶を呼び起こすもの。しかし儚くもあるそれを頼りに
弘之の真実を見出そうとする涼子が切なかったです。
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主人公の恋人は、突然死をした。
恋人の過去をめぐって次々と明らかになる嘘と増える謎。恋人にうりふたつな弟の存在。
真実を求めて主人公はプラハへ行く。
最近の小川洋子の作風に迫ってきてるころの作品。
愛情は人を変えるし残酷でもある。彼を愛するあまり狂った母親の存在がリアルだ。そして何も語らない静かなルーキーの死がとても美しいと思った。
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図書館にて。
こういう小説には答えを求めてはいけないんだろう。
でも、どうしても答えが欲しくなってしまう。
どうして自殺なんて。
最後に少しだけ見えた希望の光が救い。
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著者は、天才を理解することが可能かを試みる。主人公の女性は、同居人の突然の自殺に戸惑い、彼をあらためて理解しようとする。読後、彼はなぜ死ななければならなかったのかわからなかった。数学的才能の表現は『博士の愛した数式』に通じます。数学や香りへの天才的才能は、なぜ生きることへの能力を生み出さないのか。