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「しっぺ返し(互恵主義)」最も単純で最も強力な生き残り戦略。
権謀術数の限りを尽くした戦略もしっぺ返し戦略にはかなわない・・・というのは意外な結論でした。
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反復囚人のジレンマでの選手権を行い、その結果と考察について書かれた本。
長期的にみたときに協調関係を継続していくことが結果的に良いということが本書では示されている。
また、集団においてどのように協調関係を維持していけばいいのかもわかりやすく書かれている。
国家や企業などの組織から、生物における関係まで、様々な分野において適応されうる理論がわかりやすく書かれているので、そういったことを学ばれたい人にはお勧めの一冊。ちょっと古いですが今の人がみても十分に価値があると思います。
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もう古い本だが、反復囚人のジレンマゲームにおいて協調関係をうまく引き出す「しっぺ返し戦略」について、さまざまな角度から論じた本、とくに第一次世界大戦の西部戦線における塹壕線で「殺しも殺されもしないやりかた」の出現と崩壊をとりあつかっている所は興味深い。囚人のジレンマゲームで、相手とくり返しつきあう確率が低い場合は、つねに裏切り戦略が優位を占めるが、くり返しつきあう確率があがると、5%ほどの「しっぺ返し」戦略どうしの内輪づきあいができる確率でも裏切り戦略のなかに足場がきづけることを論じている。「しっぺ返し」戦略の有効性は1、自分からは裏切らないこと、2、相手に裏切られたらはじめのうらぎりで怒りをしめし自分も裏切ること、つまり、相手のやったことを次ぎにそのままお返しすること、3、すぐに水にながして協調のきっかけをあたえること、4、明確なメッセージで相手がついてきやすいようにすることである。文章じたいはくり返しが多く少し辟易するが、相手をやりこめるのではなく、うまく協調をひきだした方がうまくいくということをコンピュータによるシュミレーション(簡単なものだが)で論じていてわかりやすい。
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R.アクセルロッドが書いた人間社会の「付き合い方」を囚人のジレンマの法則に従ったゲーム理論を使って論証していく本。
<提言>
将来的に、協調関係理論がもたらす結果を、先見の明がある当事者に知らせれば、協調関係は急速に進化しうる。
<詳細>
・囚人のジレンマを使ってゲームを行った結果、未来係数wが大きければ、相手の取る戦略に関係なく最善の結果を引き出せる戦略は存在しない(=いかなる戦略も安定するのは未来係数wが高いときである)
・未来係数wが低い場合はあらゆるタイプの協調関係が不安定になる(p136)
・行動パターンである「しっぺ返し」(相手のやったことを次回そのまま返す)はどんなその他の戦略よりも高得点を取ることが出来る
囚人のジレンマで当てはめられる設定
①互いに価値を比較できないもの
②プレイヤーの点数は対等でなくて良い
③損得は相対的
④協調が好ましいものでなくていい
⑤プレイヤーが理性的とは限らない
⑥意識的な講堂でなくてよい
・協調関係の進化
裏切りの中で協調(互恵主義)→協調輪の発生→他の非協調的戦略の進入阻止=逆行止めの爪(ラチエット)の発生
・先の見通しが不明瞭でも協調関係は生じうる=個体関係による利益は安定する
ex遺伝と最適者生存の進化機構=互恵主義は生物社会でも安定しうる
・中央権力の介在なしにエゴイストが協調し始める
・狭く深い付き合いは協調関係の安定と共に協調関係を作りだしやすくする
・政府は囚人のジレンマのポイントを法令などで操作することで協調関係を作り出す
・しっぺがえしのデメリット=争いが始まると際限がない
・協調関係の基本は信頼関係ではなく関係の継続189p
得点の積算値 協調R(Reward) Sお人よし(sucker)誘惑T(temptation)P(punishment)懲罰
R+wR+w2R・・・=R/(1-w)
<覚える例>
・アメリカ上院のケース
共和制はじめの40年間は2年に1度の改選期に4割の議員が入れ替わっていた。これが2割にへった現在、2人の議員の付き合う可能性が増えてきた(Youn1966 p87-90 Polsby 1968; Jones 1977 p 154; Patterson 1978 p143-44)
・第一次世界大戦 塹壕戦 Live and let live(殺しも殺されもしない)
戦闘中の前線兵士はしばしば相手の兵士も気兼ねしてくれるのを見込んで、相手を狙撃するのを控えた
→長期間にわたる相手と膠着することを知っている=敵である相手との協調関係の発生
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殆どが反復囚人のジレンマゲーム選手権の話。
あとは実際の社会現象を実験結果を元に考察したりとか。
「しっぺ返し」戦略が強かったことを知っていると真新しいことはそんなに多く無い。
新しい実験もやってるんだけど、そこまで深く触れてない。
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ゲーム理論で扱う最も基礎的なパタン「囚人のジレンマ」に焦点をあてる。シンプルで論旨が分かりやすく、得られた知見はおそろしく応用が利く
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反復する「囚人のジレンマ」をシミュレートしてみたら、最もタフな戦略は「しっぺ返しだった」という話。ゲーム理論解説の草分けだそうです。このシミュレーションの解析から、長く続く交渉を成功させる作戦として、「先に裏切らない」「裏切りには罰を与える」「根に持たない」「策に溺れない」という4つを導き出します。僕としては、「先に裏切らない」ではなくて、「まず相手に協力する」と言いたいところですが、いずれにしても、「協力」について考えさせられる、たいへん面白い本でした。
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有名な囚人のジレンマの選手権の解説。「しっぺ返し」戦略がどうして、どのように強いのかを丁寧に語っている。アクセルロードは政治学者なので社会への応用、具体例が多く一般向けでもある。
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これは面白かった。「つきあい」を理論化し、いろいろなつきあい方をするモデルを作ってつきあわせ、結果を数値化することで、どんなつきあい方が有利かを調べるという実験の面白さ。囚人のジレンマにおける、片方が搾取するよりは協力して利益を分け合った方が全体の利益は高くなる、という点は本書の中で証明されていないが、自明の理ということなのかな。いずれにしてもそいう環境の中では、「しっぺ返し」のアルゴリズムが強い、という事実はいろいろなことを考えさせられる。現実のひととひと、国と国の「つきあい」にも応用ができそうだ。たとえば尖閣諸島の件では中国側が「しっぺ返し」のアルゴリズムに沿って行動しているように見える。
科学って面白いなあ。’=
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コンピューター・プログラムによるゲーム理論対抗戦で、2度とも優勝したのは「しっぺ返し」戦略だった!そして「自分からは裏切らないが、一発やられたら2度やり返せ」戦略も効果的だった。この結果を人と人、国と国とのつきあいにどう応用できるか、という示唆を与える本。でも「長い付き合いになるほど、最適戦略というものはなくなる、とも書いてある。
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『複雑さに挑む社会心理学』社会的交換
『進化と感情から解き明かす社会心理学』協力的な人間関係
『サイコパス 秘められた能力』
『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』第2章自分は変えられるか?
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コンピュータ上のシミュレーションから得られた関係構築のためのもっとも有効であろうと思われる戦略―しっぺ返し戦略―が、バクテリアから国際関係まで応用できそうだという話しが実に興味深い。譲歩し続けるだけにしか見えないわが国の外交戦略にも示唆を与えるのでは?
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生物界に見られる多くの「つきあい」には、いろいろな利害対立がある。そのなかで「協調か裏切りか」というジレンマ状況を、ゲーム理論でとりいれた進化生物学の視点から解く。
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「安心社会から信頼社会へ」に続き、個人・組織の付き合い方について学ぼうと購読。全般的に「囚人のジレンマ」に基づいた対人戦略について語られており、この考え方の重要性は理解できた。結論から言うと、協調戦略を前提に、相手の裏切りには裏切りを、強調には強調で応えるのが、双方の利益を最大化することになる。競争も、国家戦略も、生物の生き残りも同様ということで、大変勉強になった。
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協調関係を永続させるためには、そして、もし相手が裏切った場合どうすれば良いかということについて書かれた本。
国際政治を見る際にも生きるし、身近な世界(ものの売買など)において、本書の大筋が頭に入っていれば、かなり有益になると感じた。特に、裏切られた場合、即座に怒りを表明し、すぐ協調関係に戻ることで、相手に裏切ると良い結果を生まないことを植え付けるという考えが、非常に説得的であった。