紙の本
グレートジャーニーの生き証人
2002/07/27 10:59
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:沖 海明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を翻訳した星川氏と同じく読後の感想はなんとも言えない不思議な感覚にとらわれる。本書はアメリカ先住民、ネイティブ・アメリカンのイロコイ族に世代をこえて語り継がれてきた口承史である。今の我々は文字文化のなかにいるがそれまでは言語文化だった
言葉で考え、意思を伝え、それを記憶し、人から人へ世代をこえて受け継いできた。著者のポーラ・アンダーウッド氏は一族の歴史をなんと数万年前に遡り語りはじめる、そこにはアフリカと思われる場所から旅立ち、中東からアジアをえて、当時陸橋だったベーリング海峡を渡り、北アメリカにたどりつく、人類史の壮大なグレートジャーニーがみてとれる。もちろん、脚色はあるだろうし、古気象学からみれば矛盾するところもあるが、それよりも様々な困難を一族が力を合わせて乗り越え、そこから「教訓」を「学び」、「知恵」とゆう武器にして生き延びてきたかがわかり面白かった。近年、先史時代の研究によると当時の人々は我々が考えるより遥かに知的で優れた人達だったと推察されている。彼らから我々が学ぶことは少なくないと思う。本書はイロコイ族の口承史であると同時にグレートジャーニーの証言でもある、また生きた教訓に満ちた一冊とも言える。
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ベーリング海峡が地続きだった最後の時代に、歩いて渡って来たというアメリカ・インディアン「イロコイ族」の1万年の口承伝。ホンマカ?という気持ちよりもヤッパリの方が多いのは、デジャヴーに近い記憶が自分の遺伝子にもあるから?
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アフリカ大陸からユーラジア大陸を渡り北アメリカへと辿りついたネィティブアメリカンの口承史。一万年前から(まだマンモスがいる頃?!)の本物の知恵が詰まっている。人類よ…(物質面はさておき)このころの民よりも進化してるって言えるのか、ほんとに?と疑いたくなる一冊…かつては「魂の言葉(テレパシー)」も使えたようです……
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ぜひぜひ読んでください。ここには「知恵」があります。冒険物語としても楽しめます。読み終えたときに私たちが何者であるかをきっと考えるでしょう。
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これは過去最大級におもしろい本だった。
科学的ではない、トンデモ本だという指摘をする人もいるだろうが野暮というもの。
神話とは客観性を別にして人の営みにおいて大事なことことが物語として残されたものだとおもう。
アフリカでうまれて紅海にすみ、ユーラシアを横断して日本近辺にすみ、ベーリング海峡をわたりアラスカ、カナダを南下してアメリカに到達し五大湖周辺にいったイロコイ族の1万年にわたる口承伝承の記録。
特に印象てきだったのはベーリング海峡を渡る際に強いものが弱いものをまもるシーンと、バッファローをみつけた際にまず観察をして7代先の子孫に迷惑がかからないようにしたこと、こういったことにすさまじい智恵を感じた。
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一万年前、モンゴロイドは住み慣れた土地を離れ、浅くなったベーリンジアを越えアメリカ大陸を目指した。多くの土地を渡り歩きながら、五大湖の畔に永住の地を見つける。壮大なネイティブアメリカンの口承伝。学びを大切にする一族は、終始言う。「子どもたちの子どもたちの子どもたちがなおも学べるよう。」私が好きな言葉です。
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イロコイ族に伝わる口承のお話。
文字でなく、一万年前から人から人へ伝えられてきたお話。語り部が途絶えたら終わり?そんなロマンあふれるお話。
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ネイティブ・インディアンの口頭伝承の物語。
その部族に生まれたわけじゃないけれど、
人間でいることが誇らしくなる。
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厚さ5センチに詰まっている、祖先の軌跡。
口承で語り継がれていくことは
今まで重要視していませんでした。
ネイティブ・アメリカンの文化や呪術、癒しの方法が
ブームとなっていますが、
ちょっとまて、
彼らだって人間で、憎しみや苦しみも沢山あって
全部を善とするのって勝手じゃないか?
と解釈に苦しむ時もありました。
この本を読んで
ほんとうに、なにもかも、一歩一歩で作り上げてきた「真実」があって
この本に書かれている真実、ですらどんどん改善していっていいんだよ、
と、生きていく力強さを感じました。
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一気に読みました!あるネイティブアメリカンの一族の来歴を記したものなのですが、その長さがすごい。推定一万年以上。これも、はっきりと伝え始めてからの年数で、その前の飛び飛びの古いエピソードもあって、最古のものはアフリカで樹上生活をしていると思われるものです。
ネイティブアメリカンの神話集だと思って手に取ったのですが、違いました。神は一度も出てきません。何か分からないものがあったら、徹底的に考察し、学ぼうとする態度を持つ人々だったからです。どうして、そこまで学びと伝承に執着したかというと、一族がどんな状況に会ったとしても過去から学ぶことによって生き延びることが出来ると確信していたからです。そして本当にそのとおりで、アジアの東側からベーリング海を渡り、北米大陸を横切り定住するまで旅の間、過去からの智慧は一族を助けます。
物語としてとてもおもしろく出来ているのは、楽しくワクワクするものならみんなが耳を傾け、話の中の智慧も広く心を打つからです。話の脚色は真実を伝える手助けとして認められてたんですね。でも、出来事全ては嘘ではなく真実だったと私は思います。読むと分かるのですが、本当にまじめな人たちだったから。
神も精霊も信じていなくても、宇宙と生命全てに畏敬の念を持ち調和して生きることが可能だということを知ることが出来て感動です。
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ここ近年、耳にするネイティブ・アメリカンの伝承は精神世界系のお話に属するように思う中、
イロコイ族の、この口承史はより現実感がありました。歴史的検証が待たれます。
また、現在の私たちにとっても生き方のヒントになるような先達の知恵に溢れた物語です。
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ユーラシア大陸からベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へと移り住み、様々な困難を乗り越えてきた一族に伝えられた壮大な物語。こんなにも長い歴史が口伝で残されてきたことにも驚きますが、その内容もすごい。世界各地の民族に伝わる神話・民話のおはなしではなく、とてもリアルに感じられました。リーダーが不在となっても全員で話し合い知恵を出しあって問題を解決していくルールを作っていくところや、それぞれが自分の役割を果たし、より安全な土地を求めていく過程、南太平洋から船でアメリカ大陸にたどり着いた一族の示唆など、とても長いですが読んでおくことをおすすめします。
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なんにもない、
道路もない、鉄道もない、船もない、
水道もない、電気もない、ガスもない
なんにもない
一万年前に 人類はいた
固有名詞で語られる有名人などいない
それでも、その知恵ある人々の風貌が
まざまざと浮かんでくる
具体的な地名も全く出てこない
それでも、一万年前はきっとこんな
地形、風景だったのだろう
と脳裏に描かれる
その時の生きていた
その時に存在していた
人たちの息遣いが伝わってくる
ネイティブアメリカンの
イロコイ族の人たちが
人から人へと
語り継がれている
今も生きている物語
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人間の愚かさをしみじみと感じる。口伝で1万年以上昔の話を伝える能力はすごい。が、結局のところ、暴力に感化され、それを取り込み、自らの力にしてしまう。もったいないけど、生き残る為には仕方が無いのか。
アイヌの口伝(伝承)も読んでみたい。
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自分が何者であるかを知りたいヒトには、ぜひ一読をお勧めします。
我々の現代人の生活には、こういう人たちの努力と叡地によって
成り立っているのだと、あらためて考えさせられます。
彼らの努力を無駄にしないためにも、いまこの人生で何をすべきか
一人一人が問われている時期なんだと思います。