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紙の本
子供心の「怖いもの見たさ」に大アピール
2004/08/04 02:34
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投稿者:べあとりーちぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
親戚の女の子(関西在住・小学校1年生)に妹が誕生した。出産祝いと一緒に「お姉さんになっておめでとう」プレゼントをしようと思ってリクエストを訊いたら、「そうべえシリーズ」のどれかがいい、という。『じごくのそうべえ』、『そうべえごくらくへゆく』、『そうべえまっくろけのけ』の3部作のことらしいと判ったのだが選ぶに選べない。結局3冊贈ることにした。表紙も赤・黄・青と揃っているのでセットにするとまとまりがいいし。
そしてご当人が一番気に入ったのが本書だそうである。上方落語をモティーフにし、インパクトがあって大評判の『じごく』でも続編の『ごくらく』でもなく、3部作の中ではちょっと毛色の変わった本書。どうも子供心にタイトルの「まっくろ」という語感に惹かれるものがあるらしい。そういえばこの子、ラスカル&エリオットの『まっくろヒヨコ』が大のお気に入りだったっけ。
じごくとごくらくへ行って帰って来たそうべえたちが今回乗り込むのはなんと宇宙。お月様の具合が悪いと迎えに来た月のうさぎに案内され、ヤブ医者のちくあん先生やインチキ山伏のふっかいと一緒に大きな豆のつるを伝って…。ところがお月様のところへ行ってみると、星座たちは大喧嘩しているし暗黒星雲は大暴れ。お月様の不調はその騒ぎから来るノイローゼ(!)だったのだ。
前2作同様、軽快な関西弁のやりとりが楽しい。ネイティヴ関西弁は使えない筆者が読んでもなかなかテンポがいいのだから、関西在住の人間にはたまらないノリかもしれない。絶対に音読、それも感情表現を多少大袈裟なくらいに演出する読み聞かせがイイ。
純和風だった前2作とはちょっとテイストが異なり、星占いに出てくるような星座たちとか、ちょっとSF的な暗黒星雲とかが登場するところも面白い。とはいえそういう異色キャラクターたちもちゃんと「そうべえ」風の味付けで、お月様とうさぎなんか関西弁でしゃべったりしている。ホンマかいな? と突っ込みたくなるところだけれど、この絵柄でドーンとお月様が描いてあるのを見ると、そういうこともあるかもね、などと不思議と納得してしまうのだ。
暗くて広い宇宙空間に浮かんだおしゃべり文には、誰のセリフか判るように顔マークが付いているのも面白い。読み聞かせをする時には大変便利な工夫だと思った。
さて、事件を無事(?)解決して、そうべえたちがどうやって地上へ戻るか。えーっと驚いてしまうような仕掛けが最後に待っている。不気味だったり怖かったりちょっとビロウだったりするお話が大好きな子供たちには、こういうところも魅力なのだろう。ユーモア際どくもお下品になっていないあたりは見事である。
親子でわいわいと読めるオススメ絵本。楽しゅおまっせ〜。
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