紙の本
漢詩をカタカナで
2002/06/17 00:42
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投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
しかし、この本には驚いた。普通、「漢詩」といえば四角い漢字が行儀よく並んでいるものと相場がきまっている。しかし、この本に関しては違う。「四角い」ではなく、「白い」。つまり、全部、かながき。人名や地名などの固有名詞がカタカナで、あとはひらがな。
これは、かなりすごい。
なぜ日本語が漢字かな混じりの文章で表記されるかというと、それが判読しやすいため。他の言語に比べると、同音異義語が多いのだ。それを全部かなで、それも、「詩」という音韻が非常に大きな比重をしめる文章を書くとなると……とんでもない困難をともなうであろうことは、容易に想像できる。
それを(外見上は)軽々とやっちゃうんだもんなぁ。
紙の本
じっくり読みたい
2023/11/10 17:43
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
白楽天の詩が、分かりやすく解説されていてよかったです。じっくりと読み味わうことができそうで、楽しみです。
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「どうせ平安時代のお貴族さま好みの詩ばかりでせう」などとあなどつて読み始めると、諷喩詩に唸る。「新製布裘」は今も昔も my favourite だ。翻訳は須くかくあるべし。
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詩は苦手、と言いながら結構読みました、今年の後半。
しかし、漢詩は難しい。
詩の心以前に、決まりごとが多すぎる。
とりあえずは原文のまま詩を味わうのは無理なので、日本になじみのある詩人の詩を翻訳で読むことにする。
白楽天は、不幸な人々の友だちであろうとして、誰にでもわかる言葉で詩をつづることに努力をし、詩ができあがると女中のばあやに読んで聞かせ、意見を求めたのだそうです。
つまり、とっつきやすいのではないでしょうか!?
本人によると、白楽天の詩は四つに分類されるそうだ。
1.諷諭詩 社会風刺の詩
2.閑適詩 「或いは公より退きて独り処り、或いは病に移せて閑かに居る時、足るを知り和を保ちて」吟じた詩。
3.感傷詩 「事物の外に牽かれ、情理の内に動くもの有り、感遇に随いて嘆詠に形わるる」詩。代表作は「長恨歌」
4.雑律詩
白楽天自身は諷諭詩を第一に推していたようなのだが、あまり受けいれられなかったようである。
けれど、これはわかりやすい。
庶民の苦しい生活を見て見ぬふりをするどころか、追い打ちをかける役人や大尽たち。
窮状を訴えるも、聞く耳を持たない。
そんなことが切々と、時に激しい調子で詠われている。
西暦700年の中国と、2014年の日本。
世の在り様に、なんの違いがあろうか。
閑適詩は、多くを望まず貧することもなく、その日その日を書を読み琴を奏でて過ごす心の豊かさを詠う。
これも、わかる。
しかし、全ての人がこのような生活を送れるわけでないことは、白楽天自身がよく知っていることで、読後になにか苦いものが残るものもあった。
一番評価されているのは3の感傷詩なのだろうか。
玄宗と楊貴妃を詠った「長恨歌」は、さすがの私でも知っていたくらいだから。
漢詩は、中国の歴史を知らないとわからない部分も多いのだが、漢字と訳文を見比べながらなんとか読んだ。
形にこだわると心が見えず、心にこだわると形を無視してしまいがちになる。
やはり漢詩は難しい。
本当なら原文の一部を紹介したいところなのだが、漢字がまた難しいのでやめておきます。
ひらがなだけの訳文は却って読みにくいような気もするが、自分のレベルを考えると、これがちょうどいいのかなとも思う。