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比叡山に入り、仏の道をあゆみつづける最澄は、克麻呂や妙姫、和気広世らの後押しを受けて、桓武天皇の信認を得ることになります。いよいよ日本天台の立宗が実現される日も近づいてきますが、最澄は天台法華の教えをより深く学びたいと願い、みずから唐へわたることを望むようになります。克麻呂たちは、最澄自身が日本を離れることに反対するものの、妙姫が桓武天皇に働きかけたことから、一年間の還学生として唐で学ぶという彼の希望がかなえられます。
唐の地で最澄は、あわただしい日々を送りながらも、天台智顗の足跡をたどり、天台の受法を受けます。また、最澄とともに留学生として唐にやってきた空海も、恵果から密教の秘法を授かり、最澄を追って帰国を果たします。しかし、最澄の後ろ盾となってきた桓武天皇が病に倒れ平生天皇が即位すると、朝廷の動揺がひろがり、最澄を敵対視する南都仏教の勢力による策動もしだいに活発になっていきます。
唐への留学を終えて、最澄の青年時代は終わり、壮年時代へと入っていくことになります。物語のテンポも、第一巻にくらべるとスムーズに進行しているように感じました。