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人体のみならず社会の構造も腑分けし、その快刀は正に乱麻を断つが如くである。自分を勘定に入れつつ、万象をここまで客観的に語れる人も珍しい。脳に従い脳化されるのは止むを得ない。しかし常に脳を疑うことも必要だ。
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「続・涼しい脳味噌」3
著者 養老孟司
出版 文春文庫
p196より引用
“自転車に乗れる、スキーで滑れる、泳げるようになる。
それを、なぜだと尋ねても、本人にも返事ができない。”
解剖学者である著者による、
独自の視点から世の中を見た雑誌連載をまとめた一冊。
昆虫標本のカビふきから戦争の話まで、
世の中の事柄を幅広く取り上げ解説されています。
上記の引用は、
学生に解剖を教える事についての一文。
物事を繰り返し身体で覚える、
これが身体知というものなのでしょうか。?
後半は書評なので、
読みたい本を探す為に活用されるのも良いかもしれません。
少し変わった視点で世の中を見たい方に。
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初養老さんで期待したが、年寄りの愚痴でがっかり。昆虫、社会の愚痴、学生への愚痴で、書いてある意味はわかるし大事なのだが、困ったことに全く頭に入ってこない。文の書き方が変である。接続詞が接続していない。読点だらけで文がコマギレ、主語述語以外バラバラである。油断すると4ページのエッセイの最後の1文のオチが理解できない。評価が難しいが、みんなこの文章で楽しんでいるの?
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解剖学者であり虫の収集家である著者の、独自の視点からの鋭い観察が綴られたエッセイ集。扱われているテーマはさまざまですが、思いもかけない視角からものごとを見ることを教えられます。
巻末の「解説」で中野翠が、本書を読むときの感触が、橋本治の本を読むときのそれに似ていると書いていますが、たしかに同じような読書の楽しみが感じられます。ただ、著者がこういう問題を考えるには、こういう視点もありますよと、さりげなく考えの切り口を提出するのに対して、橋本はそこから見える風景を徹底的に詳細にえがき出すといったようなちがいがあるようにも思えます。
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初めて読んだ養老孟司氏の書籍。
その後、『唯脳論』をはじめとして、彼の著書を多く読み、講演会などにも参加するファンになってしまった。
今でも、この本を初めに読んで良かったと思う。
短文、短文、短文で作られる文章は、とても理系的。
文章家ではないので飛躍も多いが、それはそれで心地よい。
というか、そのテンポの良さが、養老氏のおもしろさだと思う。
そこにハマってしまったからか
『バカの壁』など、彼が直接書いていない書籍はどうも苦手。
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変なおじさんです。60歳を過ぎて虫ばかり追いかけています。自宅の裏山をかけずり回っている。変わった虫を集めるのではなくどこにでもいそうな虫を集めてくる(実はその中にすごく珍しいものが混ざっていることもあるそうなのですが)。家中、昆虫の標本だらけ。それと本の山。書庫をつくって少しは整理ができたそうですが。定年前に東大医学部を勝手に辞めてしまわれた。自分のやりたいことをする時間がほしかったからだそうです。医学部にいながら健康保険証を持っていない。手続きが面倒だからだそうです。この本は、こんな養老先生のエッセイ集です。痛快です。こんなものの考え方があるのかと、眼からうろこが落ちます。続という以上は前に同じタイトルの本が・・・あったのです。そちらもあわせて読んで下さい。テーマは身体から見た社会。心は脳のはたらきである。脳は身体の一部である。だから社会の出来事は身体を通して見なければならない。別の言い方をすると、社会は脳がつくり出したものである。脳がなければいろいろな社会の出来事があるということを知ることもできない。そして「唯脳論」へと話はつながっていく。
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私が理想と考える表現は、表現形式と、表現の内容が一致することである。むずかしい内容は、同じむずかしさの程度をもって、表現されるべきである。むずかしいことを、やさしく言う。それは、表現の正確さから言えば一種の詐欺である。やさしい表現とは、要するに見合い写真ではないか。(p.52)