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紙の本
リアル
2001/04/12 02:16
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投稿者:なぐ - この投稿者のレビュー一覧を見る
クーデターを題材にした小説としては、久々に一気に読んでしまいました。真に迫った、いつ起きても不思議がなサスペンスである。
戦争(クーデター)の血のにおいまで想像させるような「リアル」さを持っています。又、主人公の川瀬雅彦の恋人への愛し方も魅力的です。
ぜひ読んでみてください。お勧めです。
紙の本
迫真性とスケールの大きさを兼ね備えた、日本の自衛権の矛盾点をつく快作。
2021/11/17 21:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
迫真性とスケールの大きさを兼ね備えた、日本の自衛権の矛盾点をつく快作。狂信的宗教団体のクーデター計画が進行する中、突然、米原潜が事故に遭い、北朝鮮領海近くで浮上したまま漂流を開始。内外の危機が同時発生することで、“クーデター”という危険性が隠蔽されてしまう構図が秀逸。加えて他の小説と大きく異なってるのが自衛隊の防衛出動をすぐさま決断するところ。<まあ、クーデターがテーマなのでそうしないと話は続かないけど。>しかしこの首相の英断によってクーデターが成功する直前まで進行する危機感が凄い。この狂信的宗教団体のモデルが“オウム真理教”であることは疑う余地はなさそうだが、テロの規模に比較してその理念や計画があまりにも幼稚だった“オウム真理教”とは異なり、その政策・計画の緻密さが段違い。正に秘密政治結社であるところが怖いのだ。だがこのような高い理念を兼ね備えた秘密政治結社が実在したとするなら、作中でも実行部隊の人間が感じるように、一般の人間を殺してもよいのかという疑念が生じもう少し異なる手段による世直しを考えると私は思うのだが。性善説すぎるか。著者もこの辺の矛盾を準主役と思われた美貌のニュースキャスター:野上由紀を無残にも殺してしまうことで象徴的に描いて見せたとも思われる。
あと狂信的宗教団体の教主が直接権力の座に座るのではなく、隠された信者たちに政権を取らせてそれを裏から牛耳ろうという緻密な構想も巧み。
紙の本
徹底したエンターテインメント
2000/10/16 00:29
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投稿者:ひで - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の広告文では、氏をアメリカの誇る人気作家トム・クランシーとフレデリック・フォーサイスになぞらえている。本作は、そんな広告文通り、人気作家二人を向こうにしても負けることのない作品の大きさとスピード感を持っている。正の主人公川瀬雅彦の初登場作である本作は、ハリウッド的な大きさと日本人的な緻密さを兼ね備えた小説となっている。
CIAが掴んだ重火器の密輸事件。武器は政官財界の腐敗を嘆く龍陽教の信者へと渡る。彼らが仕組んだのはテロ事件。着々と進む準備の中、日本海ではロシア船の爆発に巻き込まれたアメリカの原潜が航行不能になる。この期に併せ動き出したテロ事件は能登で始まった。向かった機動隊は全滅。取材に当たった川瀬の恋人は死亡する。そして東京でも警視庁とアメリカ大使館が爆破され、ついに自衛隊が動き出す。すべての真実を探るため川瀬は動く。果たして事件の結末はどうなるのか。
日本は軍事的観点から見ると面白い国である。平和憲法を掲げながらも、その一方で世界でも上位にはいるほどの軍事力=自衛隊を持つ。沖縄を始めとする各地に他国の軍隊が駐留する。そしてまたマスコミや政治家は、北朝鮮だ、中国だと何かと仮想敵を作り出し、国民に危機意識を持たそうとしている割には、本人にももちろん国民にも危機意識は全くなく、平和ボケなどと称されている。そんな日本にここ最近少し変化があるとすれば、オウム真理教の事件、阪神大震災、北朝鮮のミサイル発射など、ぼけた頭に渇を入れるかのような事件が連続して起きたからだろう。もちろんさめやすい国民性からか、事件直後と比べれば危機意識はかなり低くなってるが、日本だけが世界で例外ではないことは日本人の心理に深く刻まれたことだろう。
本作では、そんな現実を背景に、宗教団体のテロ、自衛隊の緊急出動、日韓米の三国対北朝鮮の構図を中心に、ヒステリックにわめく一部の人間と、何事もないかのように生活を続ける大多数の日本人という状況を浮き彫りにしている。その中を戦争を体験した川瀬が動き、真実を暴いていく。川瀬の姿は日本人的ではない日本人であり、この点は日本にありながら日本ではない外資系企業につとめた経験を持つ楡氏だからこそ描けたのだろう。
少し難しくなってしまったが、ともかく本作はエンターテインメントを十分に熟知した楡氏の手によって、多くの情報を盛り込まれ、それでいて情報過多に陥ることなく、物語のディテールを豊かにしてくれている。エンターテインメント性とメッセージ性の両者がうまく噛み合い、徹底したスピード感は最後まで落ちることのない本作はまるで映画を見ているかのようである。
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