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環境が人を作る。
巨大企業トヨタの礎を築き、戦後の発展を担った豊田 英二の人づくり、モノづくりの経営学。
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これもトヨタ本の一種。
章男社長から遡る事5代前(かな?)の
社長を努められた英二氏の語録を
まとめた物。
この本については、まさに自分も
技術者として肝に命ずべき言葉ばかりで
会社の机の上にももう1冊おいてあります。
何かにつけて読み返してます
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1.豊田氏; 氏は、トヨタを世界レベルの自動車メーカーに育てた”トヨタ中興の祖”です。氏は、"寡黙な技術屋”、”気骨の経営者”と言われ、常に第一線でトヨタを陣頭指揮しました。経営スタイルは、豊田佐吉(伯父)の経営哲学(雑談に益なし)に倣い、実行・実践を重んじたそうです。大企業のトップは、ともすると、踏ん反り返ると見られがちです。しかし、氏は社長になっても、工場をよく見回り、観察しました。現場をこよなく愛した孤高の経営者と言えるでしょう。
2.本書; トヨタの基礎を築き、戦後の発展を担った豊田英二氏の人づくりとモノ作りついて、氏の考え(想い)を集大成した語録集です。内容は、「第一章 強い会社、トヨタの原点~第五章ひとつのことにかける、信念の研究」です。編集した豊田英二研究会によれば、「氏の語る言葉は優しさに満ち、その姿勢は謙虚でさえある。その為、英二氏の言葉は多くの人の胸を打ち、"英二さんの為なら・・・”とトヨタマンを奮起させた」と言わしめています。
3.個別感想(参考になった書中の記述と私の感想⇒3点);
(1)第二章 「経営実学の研究」より、「日本だけが繁栄をきわめていていいわけがない。富める国は貧困にあえぐ貧しい国に手を貸すべきだし、富める国同士でも互譲の精神を発揮しなくてはならない」
●感想⇒私は、これを読むと、森嶋教授(経済学者;故人)の言葉を思い出します。「貿易戦争の宿命は、勝者も存続できなくなる」、つまり相手国が倒れると、その需要も止まるので、新たな需要を掘り起こさない限り、存続できないという事です。こうした経済優先思想では無くて、人道的にも、共存共栄の世界を作りたいものです。
(2)第三章「人間的強さの研究」より、「どんなに社会が進んで便利になっても、モノづくりの過程で問題を発見し、解決する。また、新しい真理の道を探るのは、人間以外にはあり得ない」
●感想⇒コンピューターの発達によって、膨大なデータの蓄積が可能になり、多くの選択肢を作れるようになりました。しかし、氏が言うように人間が最終の意思決定者です。今後重要になるのは、哲学や形而上学といった数値で表せない分野かも知れません。
(3)第五章「ひとつのことにかける、信念の研究」より、”お客様第一”というのがわれわれの創業の原点であり、今でも経営理念の基本である。”お客様第一”は、何よりもまずお客様の満足を第一に考えよ、という事だ」
●感想⇒”お客様第一”と聞くと、私にはある体験が蘇ります。某大手スーパーで買物をしていた時に、大名行列(本社の支店監査)に出くわしました。ダークスーツの一団は、家来のように支店の人を引連れ、お客様に遠慮することもなく傍若��人に歩き回っていました。この会社はどうなっているのだろう。トップも現場を見ていないのでしょう。現場の苦労知らずに良いかじ取りが出来るはずがないと思います。
4.まとめ; 巷では、トヨタ本が飛び交っています。トヨタ生産方式、カンバンシステム、ジャストインタイム等々、枚挙に遑がありません。私もそうした、ハウツー本を読みました。私は、テクニックを批判するつもりはありません。読んでみての感想は、やはり経営哲学の重要性を再認識しました。自動車産業は100年に一度の変革期にあるそうです。トヨタへの期待は、自動運転のような便利性もさることながら、先ず第一に、安全安心な車づくりを期待します。蛇足です。豊田英二氏は社長になっても一時期、黒塗り高級車では無くて、ヴィッツ(コンパクトカー)を自分で運転し、通勤したと聞きました。巨大企業のトップでありながら、ベンチャー企業時代のポリシーを持ち続けた稀有の人です。氏のDNAが後継者に引継がれると良いですね。