0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミスマープルものですが、最後の方になってやっと登場します。「蒼ざめた馬」に登場したカルスロップ夫人もあいかわらず変わっています。平和な村だと思っていたのにそこに潜んでいた悪意が興味深かったです。
紙の本
アガサ・クリスティー自伝によれば、お気に入りの自著のうちの1冊。アガサの祖母がモデルだというミス・マープル登場。小さな村のゴシップに隠される真実を分析。
2001/08/15 18:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
『アガサ・クリスティー自伝』によると、女史お気に入りの自著は『ねじれた家』『無実はさいなむ』、そしてこの『動く指』がつけ加えられている。あれ、『アクロイド殺し』は? 『そして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』だってあるのに…と思える地味なラインナップである。
(M)とある匿名の作品解説に、ポアロの好対照として生み出されたミス・マープルの特徴が挙げられている。そのなかに「台所の流し」という言葉が使われていて面白い。
マープルの推理・思考方法をたとえた表現だ。台所の流しはすべての家庭にいちばん必要なものだと説明されている。つまり「生活感覚」と言い換えてもいいかもしれない。その生活感覚でもって、マープルは起こった事件を非常にささいな出来事と比較して素晴らしい結論を導き出す。つまらない無駄話のなかにどれほど真実が隠されているかという思いを持ち、訓練と経験で推理していくという姿勢が明らかにされている。
ロンドンを訪れたことがなく、小さな村でつつましく暮らすミス・マープル。リューマチや関節炎の持病に悩まされながらもレース編みを楽しみ、お茶を飲みながら人びとの話に耳を傾けるやさしい老婦人は、アガサの祖母がモデルだと言われている。その思い入れ強いミス・マープルが、いかにも彼女らしい活躍をする設定が本書だと考えるとき、「お気に入りの自著」の理由がわかった気になる。
傷痍軍人のバートンが美しい妹を伴って、小さな田舎の村に転地療養に訪れる。住人たちに好意をもって迎えられたという印象をもっていたというのに、妹宛てにいやらしい匿名の手紙が舞い込む。ふたりは兄妹ではないのではないか…と。つまらないいたずらだと思って、すぐに手紙を暖炉の火にくべてしまったが、お茶に招かれたり招いたりの社交が始まり、村のうわさをあれこれ耳にするようになると、その種の手紙が他の人の元にも届けられていたことがわかる。
バートンは、村の名士でシミントン弁護士のまま子であるミーガンという少し変わった女性が気になるようになる。20歳になったというのに16歳ぐらいの学生にしか見えず、身なりに構わない不器用なその女性に同情しながらも、彼女のユニークな物の見方に感心する。
ところがある日、ミーガンの母であるシミントン夫人が、受け取った匿名のいたずら手紙の中傷が原因で、青酸化合物を服用して自殺してしまうのである。死者が出たことによって、いたずら手紙の事件は放置しておくことはできない問題になった。そして、続いてシミントン家のお手伝いである女性が惨殺死体となって発見され…。
警察が特定した犯人を、ミス・マープルがひっくり返す。マープルはこの村の友人宅に一時滞在している設定で、その友人の依頼により、人びとの話のなかにひそむ真実をより合わせていくのである。
台所で執筆をするのが一番というアガサの生活感覚が「いかにも」出ている作品だと思う。
投稿元:
レビューを見る
残念ながらマープルはジョイント的な出演。
それよりも主人公の青年の恋路が
楽しめたりします。
肝心の犯人のほうは
おそらく引っ掛けられます。
私もその罠にはまってしまいましたしね。
謎解きそのものは
割と単純です。
恋路を楽しみましょう。
投稿元:
レビューを見る
ミス・マープルシリーズです。
マープルさんが出てくるのが楽しみで、いっきに読んじゃった。
小さな村で起きた、匿名の手紙による嫌がらせ。村に様々な噂が流れる中、悲劇が・・・・。
犯人が分からなくてはらはらしたー^^
ポアロさんもいいけど、マープルさんも出てきてくれるだけでほっとします。
投稿元:
レビューを見る
静養のため田舎に移り住んだバートン兄妹。平和な小村でのんびり過ごすつもりだったが、村では匿名の手紙による中傷や悪意に傷つく人々の不安が高まっていた。バートンも移住早々に手紙を受取り、そこには印字を切り貼りして作られた文章で根も葉もないことが書かれ、表書きはタイプライターで書かれていた。やがて中傷の手紙を受け取った女性が毒をあおって自殺するほど深刻な事態になり、警察は本腰を入れて捜査に乗り出すのだが…。舞台はセント・メアリー・ミードではなく、ミス・マープルは今回は完全にゲスト出演。終始バートン兄の視点で描かれている。いわばよそ者で新参者の彼が、中傷の手紙の言葉に翻弄され、村人同士が疑心暗鬼になるなかだれの発言を信じていいか迷い、しかし彼なりの判断で問題に対処していく。自力では事件の解決には至らないが、そこでようやくミス・マープルの出番となる。中傷メールという陰湿さとは対照的に、バートン兄妹のさばさばとした人柄の良さに好感が持てるため、心地よい読書時間が過ごせる。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】ミステリ的には、マープルが最後にいうように「まったく偏見のない心を持って事件を見れば真相を見抜ける」タイプのもの。煙を払って火に近づけば、確かに真相はありがちでシンプルなものだった。中傷メールを煙幕とした巧妙な手口に村中が翻弄されたのだが、「中傷メール=女性(もしくは変態的な男性)のしわざ」と決めつける様な先入観は、時代を反映している。バートン兄がある女性に突然芽生える恋心と一連の行動にはちょっと唐突な感じがしたものの、疑心にかられたメインストーリー内では甘い香りのするスパイスのようでワクワクした。こうした隠し味もまた面白い。(2010.5.1再読&感想)
投稿元:
レビューを見る
学生時代からいったい何回読んだだろう。
マイフェアレディのようなプリティウーマンのようなストーリーの本筋とはちょっと違うところに楽しみがある。
マープルの思い切りの良さがかっこいい。
そして犯人は本当に最後まで卑劣で嫌な人だった。すごく不幸で傷ついた人がたくさん出た。それは切ない。
投稿元:
レビューを見る
ミスマープルの登場は十章から。あえて登場しなくてもって感じ。美味しいとこだけいただきました的なマープルさんだった。
投稿元:
レビューを見る
※再読。新訳版を読んで記載。
マープルシリーズだが、終盤まで彼女は登場しない。しかし、マープルの登場はとても効果的に作用し、「彼女のシリーズにしなくても・・・」という残念な感情は一切ない。むしろ、一般人であるマープルが何でもかんでも警察から依頼が来たり殺人事件が起きたりする事の方が異質であり、今回の様な関わり方の方が理にかなっている様に思う。また、マープルを軸とすれば、短編の事件であり、短編が起きる過程を上手に描写している様なイメージの作品だ。巻末にはミス•マープルが若い二人の探偵指南役を務めると記載があるが、指南役まで至っておらず、少しニュアンスが違うのではと残念に思った。
ストーリーはジェリーとジョアナのバートン兄妹が療養の為にリムストックの屋敷をレンタルし生活する事になるが、間も無くバートン兄妹含め住人達に匿名の手紙が届く様になる。そして、手紙をきっかけに地域の名士の妻が服毒自殺をしてしまう。
田舎で起こるいやらしい部分はよくクリスティの作品で取り上げられるが、悪意のある嫌な噂話が瞬く間に広がり、女性はこうしなければならないという様な昔からの風習や固定概念が蔓延る。そんな舞台にいやらしい「匿名の手紙」とくれば完璧なる舞台装置として作用する。
今作ではバートン兄妹の人物像や彼らの恋愛なども上手に表現しながら進行していくが、兄目線の描写がベースになる為、妹側の感情の変化や雰囲気の捉え方が少しわかりにくい部分がある。少なからずミステリー好きとしては兄妹をも疑ってかかるため、一時、あれ?と疑問に感じる所もあったが、その辺りは現代との生活様式の違いなのかも知れない。
マープルは牧師夫婦の招待でリムストックを訪れる。牧師婦人曰く、マープルは人間観察の専門家である訳だが、マープルは過去未来も含め、「安楽椅子探偵」の見本の様な人物なのだが、今作は「パディントン発4時50分」の時の様な関わり方では無く、上記作品が「指南役」のイメージだった為、物足りなさもある。但し兄妹では無くミーガンという女性を踏まえると、マープルがミーガンと警察に助言し、事件が解決に至る為、「指南役」のイメージはわかるが、残念な事に兄目線での物語展開の為、マープルとミーガンのやり取り描写はほとんどなく少し勿体無い様な気がした。
動く指のタイトルについて、僕が読んだ版の解説で丁寧に述べられているが、正直ちょっと難しい。ニュアンス的な要素はわかるが、何故そこをピックアップするのか、そして解説でもある様に「煙幕」の方がピンとくる。まあ、タイプライターだったり、マープルの編み物だったり指が関わる物が多い事は理解しているが。