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紙の本
浮気だらけ
2008/06/01 14:32
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
阿修羅(あしゅら)のごとく 向田邦子 文春文庫
わたしは阿修羅像が好きで、年に何回か奈良市にある興福寺宝物館を訪ねます。見学者が多いので、その陰に隠れながらそっと手を合わせて無病息災を祈念します。もともとは悪い仏さまのようですが、わたしはその表情が好きです。苦悶(くもん)の表情は自分の代わりに苦痛をこうむってくれると考えます。苦しそうな女性に見えるその表情はこの物語の内容どおりのものです。
竹沢家の物語です。当主は竹沢恒太郎(70歳)、その妻ふじ、こどもたちは4人姉妹で、三田村綱子(45歳、夫死亡)、里美巻子(41歳、夫、息子17歳、娘15歳)、滝子(30才、独身)、咲子(25歳、未婚)です。
現在は少子高齢社会なのですが、思うに、昔はひとりの女性が出産するこども数が多すぎました。だから今は、反動で少なくなってしまったということでした。物語では、いわゆる「道徳」がありません。人間が快適に生活するためのきめごとからはずれた行動がそこここに散らばっています。だから親族一同を巻き込んだ騒動が勃発(ぼっぱつ)します。思い起こせば、それは希少なものではなく、親族間の付き合いが濃厚だった過去においては、どこの一族でもみられた傾向でした。揉め事に巻き込まれることを嫌う世代や人が増加したことから親戚づきあいとか近所づきあいが必要最低限にと変化してきました。ただ、そんな濃厚な人付き合いも、こどもにとってはしあわせなものでした。にぎやかで、遊んでくれたり、お小遣いをくれる親族が身近にいました。
男女関係とか交際の形態も物語の内容とは変化しています。昔は我慢してでも男女関係を継続しようとしましたが、現代はあっさりと別離します。機械的な感じもします。だからこそ、この物語の中には生きている人間が存在しています。浮気が修羅場を招く。阿修羅の登場です。
昭和の時代には「許しあう文化」がありました。ひどいことをした親族や友人を、たいていは、しょうがないと受け入れていました。そこには、お互いさまとか明日は我が身という戒(いましめ)もありました。現代は、相手を徹底的に叩きつぶすか存在を無視する対応に変化してきています。周囲に大勢の人たちがいても、ヘッドフォンをつけて自分だけの世界に閉じこもる人、携帯電話のメールを打ち続ける人など、ひとりの世界にいることが好きです。
物語の中では、人の死が自然です。お葬式の形態が変わって、たとえばこどもたちが遺体を見ることが少なくなりました。この物語では、人はかくのごとく生きてそのように死んでいくということが語られています。そこに笑いがからんでくることが作品の特徴です。登場人物たちは人生を楽しんでいます。
恒太郎の妻ふじさんがかわいそうです。がまんばかりして死んでいく人生は嫌です。ひとりひとりのそれぞれのしあわせとか、人が老いていく順送りとかについて考えさせられた作品でした。
紙の本
古いけれども古くない
2023/06/10 09:21
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投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
70年代に書かれたドラマの脚本を小説化した作品で、それを知らないと、説明的な文章に若干違和感をもちます。昭和の価値観が随所に見られるところも、若い世代には理解しがたいかもしれません。
ですが、さすが向田邦子さん、家族ならではの愛憎表裏一体が見事に描かれています。人間の狡さ、弱さ、哀しさ、その中にある愛や美しさ…共感できる台詞もたくさんありました。
向田さんの作品を読むと、日本語の豊かさがよく分かる点も好きです。
紙の本
正直な人達
2024/02/29 16:37
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投稿者:ブライアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
人は皆それなりに矛盾や葛藤を抱えながらも日常を生きているものですが、
普段はそれを表にはあまり出さずに暮らしているものです。
登場人物たちがひとつのきっかけからそれぞれの問題を露わにしていく過程が面白かった。
紙の本
まさに阿修羅
2019/10/21 20:13
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
姉妹間の微妙な感情がすごくリアルです。幸せだと妬んでしまうし、不幸になったら堪らないと。3女と4女のやり取りが特に印象的。
紙の本
複雑
2020/06/28 19:53
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投稿者:すーのりさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
勧められて初めて向田邦子の小説を読みました。しかし、読み終えて、消化不良がいくつか。また、人間臭さが多く、不快な気持ちにもなりました。