紙の本
入門書として適切
2011/04/07 23:45
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投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初の 5 つ (または 6 つ) の章はフィールドワークの技法を説明しているが,後半の 7 つの章はそれをまなんだ学生によるマイクロ・エスノグラフィー,つまりフィールドワークの結果をまとめたものだ.
学生が書いたものなので,かならずしも洗練されているとはいえないが,フィールドワークのなかでの経験がにじみでている. おもしろいのは,最後の論文だ. そこでは M 教授のゼミそのものがフィールドワークの題材になっている.
ここに書かれた技法がいつもうまくつかえるわけではないだろうが,出発点としてはよいだろう.
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文化人類学をはじめ、心理学、教育学、社会学などで重要な研究方法である「フィールドワーク」の中でも、特に人間の行動を扱い、それを生きている文脈ごと理解しようとする「マイクロ・エスノグラフィー」。本書は、その技法と実例を扱った入門書です。箕浦先生の語り口が巧妙です☆
フィールドワークの基礎的な技術、フィールドで気をつけるべきことや問いの立てかた、倫理的な問題や陥りやすい誤りについて丁寧に書かれているうえ、フィールドワークの流れを?フィールドサイトの選定、?フィールドの全体像の把握、?問題設定、?焦点観察、?理論枠組みの探索、?選択的観察、? データの分析・解釈、?エスノグラフィー作成の8段階に分け、段階を追った説明がされているので、実際にフィールドワークをする際のイメージがしやすいです。
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研究方法としてのフィールドワークに関しての本。なんで、1年生のときとかに読まなかったんだろーって思う、とっても良い入門書。方法論だけではなくて、指導を受けた実際の研究やフィールドワークの試行錯誤まで、掲載されています。研究計画書を書く上でも助けられました。
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マイクロエスノグラフィーについての入門書。物理学や統計学、(古典的)社会学、政治学、経済学を読んでいると、社会情勢分析や実験などのより客観性を目指す分析は、目の前のちょっとした変化に反応するのが難しい事が多いし、マーケティングなどの実務的にも応用が難しい面もある。
正直、難しいなー。。結局観察眼にかかってくるが、そう簡単によくできないしな。。少しずつ身につけるようにしないと。でも、どうやってすりゃいいんだろ?
<基本>
■何のために観察するのか(検証したい仮説)、を抽象的でいいので決めておくこと。実際に観察する際は、確認のためなのか、気になるポイントを探すのかのどちらかになり得る(仮説生成法の仮説検証法どちらかがあり得る)。
■アプローチ:解釈的アプローチ、実証的アプローチ
<基本的枠組み>
■観察:「見る」という超主観的行為
■面接:リサーチ面接:データ採取
■問いを立てる:問いを考える→観察する→より詳しい・発展した問いをつくる→…という良いスパイラルを創る。
■フィールドでの役割と倫理:観察者の立場:現場にいかに関わるか(ex.幼稚園でフィールドワークをする→子供達と普通に遊ぶべきか?職員との関わり、父母との関わり)。匿名性etc.
<実際の現場で>
フィールドノーツへメモ→観察後にノートへ再現・考察しながら書きとめる→エスノグラフィーへ。。
・いかにノーツから書き起こすか、いかにより良い問いにつなげるか。
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スキルとして
観察
問いを立てる
をあげている。なるほどと思った。
研究倫理についても詳しく述べているのは実際上の課題だと思われる。
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自分が初心者であるため、最初の理論編のあたりは読むのがしんどかった。
でも、それに続く各章が具体例を踏まえてかかれているため少しずつではあるが、理解できた。
まるで授業を受けているかのように読み進められた。
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第1章 フィールドワークと解釈的アプローチ
「人間行動の社会的文脈性を重視する研究の流れをつくった一人であるヴィゴツキーの影響を深く受けたヴァルジネールは、子どもの行為が、常に変動する文脈に拘束され、道具や他者に媒介され短期間のうちに変化する性質であることを指してマイクロジェネティックといい、そうした最小の行為を分析単位として、発達現象を子どもの生きている文脈もろとも研究する視座を提案した(Valsiner,1987,p75)」
「本書では、人と人の行動、もしくは人とその社会および人が創り出した人工物(artifacts)との関係を、人間の営みのコンテキストをなるべく壊さないような手続きで研究する手法をフィールドワークと呼び、現地観察や植物相とか地形が研究対象であるような地理学的なフィールドワークとは区別する。」(p4)
「構造機能主義が文化人類学の支配的な理論枠組みであった時には、エスノグラフィーといえば、親族体系、政治経済体系や労働組織、典型的なライフサイクル、子育てや教育、超自然界との関係や宗教観念などの体系的な記述をさした。その時代のエスノグラフィーは、そこの人々がどのような意味世界に生き、何を喜び、どのような行動をとるのかなどにはあまり注意が向けられていなかった。」(p5)
・フィールドの場のサイズによる分類
・コミュニティ
・施設/機関
・特定の社会行為の行われる場を狭く限定
・許可のいるフィールドと許可のいらないフィールド
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フィールドワークの技法の伝授に特化した本。
フィールドワークの理論的背景を簡単に抑えた後,フィールドワークの技法を説明している。
具体的な説明があるためこの書を参考にしながらフィールドワークをすれば,フィールドワークのイロハを身につけることができる。
ここでいうフィールドワークとは,文化人類学的なフィールドワークではなく,微視的な出来事(マイクロな出来事)に焦点をあてたフィールドワークである。
心理学や教育学,看護学などでフィールドワークをしたい場合に参考になるであろう。
とくに,社会心理学でフィールドワークをしたい場合は村本先生の章(第11章)がオススメ。
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フィールドワークの技法について、スキルや研究ノート、リサーチクエッション、エスノグラフィの作成など丁寧に説明はしているが、step by stepでないので、学部学生向きには少し難しいような気がする。大学院生向けなのかもしれない。