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17世紀、リスボン屈指の美女ルイーザの壮絶な復讐譚・・・・・なのはいいとして。
伯爵がルイーザに向かって「性器は魂の顔なのです」と大真面目に力説していたり、ルイーザに野糞させてみたり、なんなんだろうこの本は・・・。で、最後の衝撃的な結末。壮絶としか言えない本です。著者は実在するフロンテイラ邸のタイル画から、この構想を得たようですが・・・・・・。
短い小説なのに、至る所に歪んだ愛や友情、義だとか野望だとかが渦巻いている!
危書です、危書。
なんで、この本買ったんだ、俺・・・・・・。
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解説にもあったが17世紀のポルトガル版「阿部定物語」。使われる言葉や思い浮かぶ情景がとてつもなく美しくて、官能的物語にありがちな卑猥な下品さなど微塵も感じられず、はっとする程素敵な本だった。対象を真正面から語るのではない、美しさ。この小説にはそれがある。フロンテイラ邸のアズレージョ(彩釉タイル画)に想を得て書き下ろした小説らしいが、そのアズレージョというタイルもまた、美しい。白地のタイルに映える美しい青。
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「だから、この庭にはいたるところに自殺する男や転ぶ踊り手がいるのです。こうしてフロンテイラ侯爵はオエイラス夫人の復讐に復讐したのです。だから、アズレージョに描かれた動物達は人間の顔をしているのです。だから、この壁の角に描かれたフレスコ画の隅には裾をからげて、物陰で排便している人の姿があるのです」
ポルトガルのフロンテイラ侯爵の館を飾るタイル画から着想された小説。
女の復讐と、その復讐への復讐の物語。
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物語としてかなりおもしろい。旨みを凝縮してパネルとして一面に並べたような小説で、キニャールそのものを知った。優しくもありグロテスクでもある。性的でもあり、異端的でもある。外国文学はこのようなものがいいな。
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挿絵が美しい、歴史の虚実を交えた恋愛小説。
初めて読んだときは夢中になり、一気に読み終えてしまった。
2回目に読んでみると、
最初に睾丸を牛に潰される青年(ルイーザの初恋?)は、
のちのルイーザの行動の伏線になっていることに気づかされる。
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ポルトガルにあるバロック時代頃の貴族の館に存在するらしい、説明や写真から察するに不思議な印象を覚えるタイル壁画から着想を得たらしい物語。読み終えてから、口絵やカバーのそれらの写真を見ると、ふと訪れる空虚感。そこに物語が閉じ込められている。
キニャールの(高橋訳の)エロティックな描写って、少ない言葉で短く割と直接的で、むしろエロティックさを感じない言葉面なのに、静かに、しかし激しく熱を帯びた印象を覚える。あの削ぎ落とされている描写は、たとえ表面だけ真似したとしても、似ても似つかない物になるだろう。
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女の情念を生々しくも描いた、古めかしい、復讐の物語。 静謐かつ愛憎うずまく世界観の構成は巧み。リスボンの街並みや邸宅の写実(であろう)は、建築的な観点からも特筆すべきところがあるようにおもう。
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17世紀、王侯貴族でリスボン屈指の美少女ルイーザによる壮絶な復讐劇。一切無駄の無い言葉で淡々と語られる性的で残酷な描写が堪らない。最後の終わり方も素晴らしい。芸術作品として完成度の高い妖しく美しい作品。