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豚の死なない日 みんなのレビュー

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みんなのレビュー29件

みんなの評価4.1

評価内訳

29 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

清楚でつつましやかな家族の生活と仕事、喜びと悲しみを描くモダン・クラシック。

2001/03/27 11:00

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 シェーカー教徒の家に育った男性の少年時代の思い出を描いた静謐な、しかし確かな手ごたえのある1冊である。
 
 労働で神に仕えることを至上の喜びとし禁欲的生活を送るシェーカー教徒は、発祥の地・米国でもほとんどいなくなってしまったが、日本では藤門弘さんが中心となって北海道で集団生活をしている。その様子は『牧場生活』という著書に詳しい。彼のグループの名前「アリス・ファーム」は家具のブランドとして有名で、飾りのない白木のテーブルや椅子は本当に美しい。立花隆氏の机の話が『ぼくはこんな本を読んできた』にも登場する。
 シェーカーと言えば、江国香織さんが訳した『シェイカー通りの人びと』という絵本にも、その質実な生活が描かれている。

 ぺック少年の父は寡黙で穏やかな農夫で、豚を殺してさばくことが仕事。一日が終わっても、彼の体からは何とも言えないくさいにおいがする。少年はそのことを気にしている。
 物語の最後の方で、父が自らそのにおいのことで少年に話をする。ごくさりげない調子で…。
「…一度わしは、母さんにすまないとあやまったことがあった」
「母さんはなんていったの?」
「こういってくれた。誠実な仕事のにおいじゃありませんか。あなたがあやまる必要はないし、わたしも聞きたくありません、とな」
 あるときはユーモアにも富んだ、胸を打つような親子の会話が随所にある。そのひとつひとつが深い意味をもっていて、なるほど生活に息づく思想こそが哲学なのだなという気にさせられる。

 物語の始まりは急転回で面白い。
 学校をさぼったぺック少年が、近所のタナーさんの牝牛に出くわす。変な声を出しているので近づいていくと、まさに子を産み落とそうとしているところで、苦しんでいるのだ。はいていたズボンを脱いで子牛の首にくくりつけた少年は、子牛を取り上げ、母牛のノドに詰まっていた甲状腺腫を取り出してやる。

 このお産で、品評会に出せそうな子牛が2頭生まれたことに喜んだタナーさんは、ぺック少年に子豚をプレゼントしてくれる。子豚にピンキーという名前をつけ、少年は大切に育てる。
 タナーさんの勧めで、例の子牛たちと一緒にピンキーを品評会に連れて行くと、「しつけのいい豚・1等賞」の栄誉に輝く。

 しかし、帰ってきてしばらくすると辛い事実が発覚する。ピンキーは不妊症だったのだ。子を産めないメス豚の運命は決まっている。「ぼくにはできないよ」という少年に「できるできないの問題じゃない。ロバート、やらなければならないんだ」と父は言い、ピンキーにバールを振り下ろす。
 その瞬間、父を憎むものの「よくやった。おまえはもう一人前だ」「これが大人になるということだ。これが、やらなければならないことをやるということだ」と言う父を、少年は許す。
 この時、ぺック少年は13歳。だが、少年にとってはそれ以上の悲しみとなるもう一つの親しい者の死が近づいていた。

 子牛の誕生に始まり、肉親の死に終わる感動的な物語。タイトルは、父が仕事を休む安息の日を示しているが、もう一つの深い意味も隠されているように私には取れた。

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紙の本

何年経っても印象深い一冊(というか二冊)

2019/01/19 00:04

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:こゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る

涙無しには読めない。読後何年も涙の記憶と共によみがえる、印象深い本。辛い話なのだが、それでいて何度も読み返したくなるのが不思議。
質実剛健を体現する小説で、アメリカで人気があるのが分かる気がする。
タイトル豚の死なない日とはどういう日か、判明したとき涙腺崩壊。
続編もまた感動的。

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紙の本

貧しさは不幸と同じではない、とこの小説は教える

2017/10/06 08:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

格差社会といわれる。しかし、昔から富める者もいれば食事にも事欠く人たちもいた。それなのに、どうして今の格差の問題は悲惨さが付きまとうのだろう。
 豚を殺す営みと少しばかりの畑を耕して生きている、この物語の家族を見ていてわかったことが一つある。彼らは貧しかったけれど、決して自分たちを卑下していなかったということだ。

 1972年にアメリカで発表されたこの物語はロバート・ニュートン・ペックの処女作だという。彼は44歳の時にこの作品を書き、たちまち時代の寵児となった。
 この作品はヴァーモンド州の田舎で育った彼の自伝的要素が高い。つまり、時代は世界恐慌の波に襲われていて、主人公のロバートはまだ12歳にもかかわらず、家の手伝いを余儀なくされている。

 豚を殺す生業の父の身体には豚の匂いが染み込み、父はそのことを母にあやまったことさえあるという。
 その時、母は父に「誠実な仕事の匂い」ときっぱり言ったという。
 そんな両親に育てられたロバートだからこそ、貧しさの意味も働く意義もよく理解する少年に育った。

 この物語で父は息子に生きることの大きな意味を何度も教えている。
 そういう父が昔はいたし、そういうことを描く物語も多くあったように思う。
 ある日少年が飼っていた子豚を食べるものが尽きて処分することになる。
 父は少年に教える。「これが大人になるということだ。これが、やらなければならないことをやるということだ」と。
 そうやって少年は何度も苦しみや悲しみと向き合って、成長していく。

 そして、最後にはその父をも亡くしてしまう少年。
 その時、少年は気づくことになる。「父さんは金持ちではなかった。しかし決して貧しくはなかったのだ。(中略)父さんは豊かな人生を送った」のだと。
 こういう物語もまた少なくなっているのも残念だ。

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2004/11/04 22:14

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2005/05/25 11:38

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2007/05/05 03:00

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2007/09/29 16:30

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2009/08/23 13:42

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2010/10/02 07:55

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2012/06/17 18:02

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2012/10/18 17:37

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2012/11/14 23:54

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2014/05/17 08:02

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2014/06/14 19:50

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2014/08/26 23:36

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