紙の本
苦痛のミステリー
2001/03/31 10:34
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投稿者:春を愛する人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クイーン作品を思わせるタイトルと、穏やかだった従来と一変した作風とで、本格原理主義者とも、言うか言われるかしている著者が、ついに本格を書いてくれたのかとジャンルファンとしては期待します。
北村ファンや、特に偏狭でもない本読みにとってこの作品は、とても直視できないような人間の暗部を抉り出す生々しい描写やサスペンス、意外な展開にかなりの衝撃を受けることと思います。痛みや息苦しさに本書を読み進められないという方がいても不思議とは思いません。
しかし私のような期待をもって読む方がいるとすれば、それは失敗するでしょう。本書には本格としてのトリックがなく、そのトリックめいた仕掛けのセンスに困惑を誘われることが間違いないからです。これは同じ「日常の謎派」の方々がお決まりの連作短編集の一編に、男と女を誤認させる叙述トリック(思うに叙述トリックは新しくともその中にあって性別誤認は密室トリックでいえば針と糸の解法です)を使って真面目にサプライズをとりにいくというセンスで、引っ掛かりはしても決して気持ちよくはありません。
作者はトリックを仕掛けると同時に、トリックの人工性とは対極の、殺人を納得させるだけの十分な人物描写を並立させようと試み、結果広範な支持を得るだけの作品と思われますが、少なくとも私一人にはその仕掛けに脱力した途端、登場人物たちはうそ臭くなり、北村に本格は書けないのだと確信して涙が出ました。
紙の本
作風が変わった・・・・・・
2023/02/06 08:25
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投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「私」と円紫さんシリーズで北村薫さんを読み始めた私は、
盤上の駒を読んでびっくりしました。
今までと作風が違う・・・・・・
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『盤上の敵』は内容すっかり勘違いして記憶していたみたいで
ラストにけっこう驚かされた。
それにしても、何度読んでも北村さんはいい。
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チェスの勝負の実況中継を思わせる淡々と運ばれていく。
想像するのもおぞましいような事々だというのに。
怒り狂い打ちひしがれて叫びまわってしかるべきことが
息を呑む音さえも響き渡りそうなほど静かに語られている。
途中一瞬 追ってきた筋を裏切られたような 突然迷子になったような感覚に陥る個所があったが それがまた他の北村作品同様 見事な組み立てによるものだった。さすが。
物語が終わってさえなお いくつもいくつも解決されねばならない問題が立ちはだかっている。
言ってみれば 問題の根本は何ひとつとして解決されてはいない というのも痛々しい。
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表紙からチェスの話かと思ったら、なんと誘拐事件の話。途中まで読んだところで、図書館の締め切りが…!まだ読み終わってないから、その内また借りてきます。
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敵は籠城殺人犯 妻の命を賭けた戦い!
息づまる駆引と、驚倒の結末!
読者をも操る北村マジックの冴え
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我が家に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻・友貴子が人質にされた。警察とワイドショーのカメラに包囲され、「公然の密室」と化したマイホーム!末永純一は妻を無事に救出するため、警察を出し抜き犯人と交渉を始める。はたして純一は犯人に王手をかけることができるのか?誰もが驚く北村マジック。
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北村薫の作品を読むと、人間の優しさ、温かさを感じる。それは同時に、人間の残酷さ、冷酷さがよく描かれている、ということになるのだと思う。
この作品は、まさにその対比が際立っている。
正直言うと、あまりに残酷で無慈悲な悪意が怖くて、もう一度読み返そうとは思えない。それでも作品としての価値は高いと思います。どんでん返しもすごいです。
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これ、怖いよ。短く区切られた章と文章のリズムが、どんどんスピードアップしていくような、焦燥感と。怖い。ほのぼのイメージの北村さんの小説に、性格破綻者が出てくるなんて思いもよらなかった。決して激しく描かれているわけじゃないけど、こんなに背筋が凍る怖い人は初めてかもしれない。ラストの恐ろしいけれど目を見張る展開は、さすが。
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黒のキングと白のキング・クイーンとが軸になって物語が進んでいく。そして、最後に明かされる黒のクイーン。この結末は予想してなかったよ。純粋で濁りのない、真っ直ぐな悪意。表現が淡々としているだけに、怖かったです。私や、私の知っている人たちが一生巡り合うことのないよう、心から祈ります。2008/2/29
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チェスの駒に見立てて、白のキングと白のクイーンの語りが中心で話が進んでいきます。淡々と語られる話が、だんだんと形を現してくる。
なぜ壊そうとするのか。端から見ると理屈のない、純粋な、ただただ憎悪が迫ってくるが気持ち悪い。
今まで読んだ北村さんの作品とは違い、救いが訪れたのかどうかわからないなぁ・・・
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個人的には北村薫さんの作品の中で1番好きです。
何よりも展開の素晴らしさと、並行して描かれる心情、人情の変化を、とても綺麗な言葉で表現されています。
まさに愛読書です。
割と本格ミステリーですが、とっつきにくくも、読みにくくもなく、オススメです。
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北村薫を久し振りに。
いわゆる、ひっくりかえり系、なのかな?
ただ、ラストにいたるまでの展開自体がさほどひきが強いものでなく。
主人公と、妻の回想が交互に繰り返され、意外な事実に向かっていく、というのが大まかな構成なのだけど、
そこに絡んでくる登場人物たちが、あまりにも都合よく配置されすぎている印象。
いわば、道具のような印象をうけてしまって、なんだか物足りない感じ。
特に、犯人がなんだったのか、シメタをはじめとした報道陣はどうなったのか、
そもそも猟銃を奪われた花屋は結局それだけのための存在だったのか。
まあ、奥さんは出てくるけど。
あえて枝葉はそぎ落としたんだろうけど、逆にすかすかな印象。
核の部分だけでねじふせらるほどではなかったかなあ。
ミッキーも、純粋な「悪意」としてしか描かれていないし。
なんかほしかったような。
個人的には。
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北村さんがこんなハードな内容の本を書くなんて、とびっくり
いつもはほんのーりヒンヤリ、程度に収めているのに・・・
主人公の冷静な行動が怖い
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何年も前に読んだ本。
基本的にハードカバーは買わない事にしているが、表紙があまりに好みで、しかも北村薫だったので、思わず買ってしまった記憶が。
北村薫は、大好きな作家。
何作も読んでいるけど、こんなに怖かった話はない。
読み終わったあとも、不安な気持ちが後を引いて・・・。
でも、またきっと読み返すと思う。