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古文書返却の旅 戦後史学史の一齣 みんなのレビュー

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みんなのレビュー18件

みんなの評価3.9

評価内訳

18 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

多重、多層な構造をもつ、旅の本

2002/06/16 18:10

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 多重、多層な構造をもつ、旅の本である。

 東京月島の東海地区水産研究所に、日本各地から集められた膨大な量の江戸時代からの古文書があり、これらは未整理のまま、長年放置されていた。一九五四年には、水産庁にも研究所の委託予算を打ち切られ、百万点を越す借用文書も、各地の研究所へあるいは、研究者個人のもとへと分散する。
 そして一九六七年、一年限りの条件で、水産庁がこれら借用文書の返却用の予算をつけたのをきっかけに、長い年月に渡る「古文書返却の旅」が始まる。
 この旅は網野氏にとって、まず、研究者として、古文書のもつ重要性を再発見する契機となる旅であり、日本各地の、古文書を託した人、家、土地の風景をまじかにみて、認識を新たにする旅でもあり、最後に、二十年近い歳月にわたって変貌していく日本の風景を見詰めるための旅でもある。

 この「古文書返却の旅」が網野氏の研究に与えた影響と、網野氏の研究が日本史に与えた影響は、けっして少ないものではない、と、思う。

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紙の本

忘れてはならない『失敗史』

2001/12/01 03:12

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:軍光一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 筆者の網野善彦氏は、日本史では非常に有名な研究者だ。それにしても、この本を書くのにはかなり勇気が要ったと思う。
 これは『失敗史』である。筆者らが戦後まもなく日本全国を回ってかき集めた史料が、プロジェクトの失敗により返却されることなく放置されたままになってしまった。
 史料とはまず第一にその持ち主のものである。そして国のものであり、地域のものである。それらを何十年も借りっぱなしで放置してあったとは、非難されてもしかたあるまい。
 しかし、それでもなお、その汚れ仕事をかってでた筆者と、それに暖かく応じてくれた所有者の人々には、心動かされる。
 歴史学には史料が必須だが、その史料をいかに扱うか。忘れてはならない『失敗史』であろう。

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紙の本

思いもよらない裏面史があった

2001/03/04 11:42

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 水産庁の旧・東海区水産研究所(現在の中央水産研究所)で,敗戦後間もない頃に計画された漁村史関連古文書の大々的な全国的収集プロジェクトがあったということ自体,私には初耳だった.しかも,その計画に,本書の著者はもちろん,宮本常一ら数多の民俗学者が深く関わっていたというのも驚きである.
 本書は,著者が正直に認めているように,確かに戦後歴史学の【失敗史】である.プロジェクトの挫折によって後に残された膨大な古文書資料を返却するために,40年をかけて全国をまわって歩いた記録が本書だからである.しかし,単なる失敗譚ではない.戦後の混乱期を経て,東海区水研のプロジェクトが解散された後のこと−著者を含む関係者のその後の経歴や日本常民文化研究所が流転の末に神奈川大学に落ち着いたこと−など,当事者のみが知り得る事情がつづられている.
 それにしても,数十年という長い年月を隔てたことによる,津々浦々の漁村・海村の変貌ぶりはどうしたことだろうか.本書は,単に個人的な回想録にとどまらず,それ自体が民俗学的な記録になっている.

【目次】
まえがき
第1章 挫折した壮大な夢
第2章 朝鮮半島の近さと遠さ:対馬
第3章 海夫と湖の世界:霞ヶ浦・北浦
第4章 海の領主:二神家と二神島
第5章 奥能登と時国家の調査
第6章 奥能登と時国家から学び得たこと
第7章 阪神大震災で消えた小山家文書:紀州
第8章 陸前への旅:気仙沼・唐桑
第9章 阿部善雄氏の足跡
第10章 佐渡と若狭の海村文書
第11章 禍が転じて福に:備中真鍋島
第12章 返却の旅の終わり:出雲・徳島・中央水産研究所
あとがき

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紙の本

古文書返却の旅

2021/06/03 17:00

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦前において縛られていた歴史学研究が、戦後になって活発化するに当たり、各地で借りてきた古文書が返却できないまま、一部は大学の保管庫に、一部は研究者の自宅に保管されている事が分かり、かつて収集に当たった著者たちがその返却に奔走するという趣旨。役所の予算打ち切りによるプロジェクト終了、そして関与した研究者の転職などにより、古文書の行方はわからなくなったり、一部はめちゃくちゃルーズな研究者の自宅に保管されたりしていたという。
しかし驚いたのは、その古文書を返されたときの持ち主がほとんど叱責しないことだった。さらに借りていったときにはなかった新しい資料を教えてくれたり、返しに行ったはずが改めて寄贈したりと、ものすごく寛容な持ち主だと感じた。この返却の旅が単なる返却に終わらず、新たな発見につながるなど、著者の成長が感じられるといっては生意気だが、とても面白かった。
また、著者が調査に関わった人の名前を詳細に書き記しており、そこに知っている人もいたりして、それも面白かった。

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紙の本

文字通り、リアルに網野善彦の「足跡」を辿る

2002/03/09 10:36

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:本門寺四十郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 網野善彦といえば、対馬や能登、瀬戸内の海民を中心に新たな中世の見方を開発/紹介してきた人だが、一般にはその発見の結果しか知られていなかった。ところが、なぜそうした発見に到ったのか、なぜそうした資料を読み続けなければいけなかったのかが、この本の中で語られる。

 話は敗戦間もない1949年に始まる。当時「漁業制度改革を内実あらしめるため」「全国各地の漁村の古文書を」「蒐集、整理、刊行する仕事を推進し、本格的な資料館、文書館を設立」するために、全国の漁村に古文書蒐集のために人員が送られた。その中のひとりに網野善彦があったのだが、この企ては5年あまりで頓挫し、全国から集められた古文書は返却されることも研究されるなく、ただただ死蔵されて続けていた。

 30年あまり経って、ようやく神奈川大学で常民文化研究所を立ち上げ、それなりに自分の力を振るえるようになって、この古文書の返却が始まる。あちこちに頭を下げに行き、それを急ぎ研究しては返却するということを繰り返す。そのたびに、古文書から新しい発見があり、それが網野史観の支柱となっていったことがわかる。特に能登の時国家の項では、新たな発見がどれほどの興奮を生んだかがリアルに伝わってきて、実に面白かった。

 文中には「災い転じて福となす」というセリフがたびたび出てくるが、まさに網野善彦の実感であったろうと感じられる。

 正直、戦後の混乱した時期の民俗学・歴史学の裏面史としては広くアピールするようなものではないと思うが、網野史観の本を数冊読んでいれば、「ああ、アレはこれのことか」と楽しく読むことが出来、通り一遍の記述の背後にこういうリアルな動きがあったのか、と肉付けでき、これまで読んだ歴史が血の通ったものとなるに違いない。

 網野ファンには必読の、だがそうでない人にはさほど役に立ちそうにない一冊だ。

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2010/08/27 22:03

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2011/08/05 20:19

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2011/04/03 14:57

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2012/06/14 19:02

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2012/11/13 18:30

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2017/05/27 15:42

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2018/02/08 08:09

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2019/01/05 15:20

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2020/05/09 21:58

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2021/11/27 22:36

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