紙の本
ゲイカルチャーの先駆け
2016/02/08 12:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今だったら、マイノリティ扱いはされるけれどももうちょっと、生きやすかったかもしれない。
少なくとも、ゲイを理由に投獄される事はない。
容易ではないがカミングアウトも可能だし、レインボーカラーのパレードに参加する事もできる。
そして、改めて書いておこう。
BL短編小説集ではない。(期待してたなら、在るにはあるので他を当たってください。)
オスカー・ワイルド作品候補に「ドリアン・グレイの肖像」もあったそうだが、こちらは持っているのでホッとした。
短編集というのであればやはり、「W・H氏の肖像」がアタリだと思う。
とても面白かったし、ワイルドの「シェイクスピア熱」までがよく伝わってくる。
ごく近代に流行った手法だが、最後まで読んだ時にタイトルの意味がストンと落ちる、
というのを採用していて、耽美な世界観も相まって泣けた。
「幸福の王子」はあらすじは知っていたのですが、なんと児童向けのものの脚色のナンセンスなことか!!
生きていたら絶対ワイルド黙ってない! と思いました。
それぐらい原作は洗練されたもので、改めて読む価値あり。
まだまだ「ゲイ」「レズ」と聞くだけで、間違った妄想を抱く人は現代にも多々いる。
そういう偏見者の知的指数というのは、彼らよりうんと低く、
ストレートだが、マイノリティを知ろうとする者よりもまた、劣っていると私は感じる。
間違った自分の偏見を信じているのだから。
たとえば、「男なら誰でも標的に…!」と勘違いしている男性諸君にはこう言いたい。
「選ぶ権利は、誰にでもあり、それは平等です。」
現代のゲイカルチャーを支える人物として、ミュージシャン、脚本家、モデルと
私の好きな文化人はゲイ告白者が割と多い。
共通して言えるのは、勤勉で、自らの理想の具現化のために自己に厳しい。
苦労してきた経験から、他人を見る目も養われている。
頑張る人には下心のない、適切な評価が出来る人が多い。
それだけに、不貞ゴシップがないのも特徴といえるかもしれない。
時代の差別者に隠蔽されてしまいそうな、飛びぬけた才能群だ。
稀有な才能の数々をこうして素晴らしい編纂で世に出してくれた方々に感謝!
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思わず借りて読んでしまいました(笑)
ワイルドとかロレンスとかモームとかもいるのでけっこう知的な…匂わせる書き方が多かったです。
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タイトルどうにかなんねえかなあ!W・H氏の肖像のテンポが大好きです。どの話も、読み終わったらなんだか「あーあ、なんでかなぁ」的な虚な気分になります。ヨサノ的にやっぱりオスカーワイルド秀逸。
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読みかけ。翻訳小説を読みなれていないので、魅力を十分に理解できていないところはあるが
「幸福の王子」が収録されていて驚いた。彫像の王子とツバメの童話。
他の収録に「これはゲイ小説なのか?」と疑問を持つものもあったけれど(作者がゲイということか?)
「幸福の王子」のふたり(王子とツバメ)が本当は「愛し合っていた」のだと知れただけでもとても有意義。
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何買ってるの?といわれそう。だって棚に入らなかった…!入らなかったから買ってきた。
だってこれ、ワイルドさん入ってたよ。つばめらぶ。やっぱり訳者で変わる。
あと英米文学だから。
まだ全部読んでません。
途中の多過ぎる…
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ストレートフィクションとゲイフィクションとの境界について解説で触れられているが、男性中心社会の言語で書かれてきた文学の多くがおそらくゲイ的解釈が可能。思想を語る人物はたいてい男性で、男性同士の結び付きで進行していく話は多い。書き手が女性だとしても、言論の自由に参加するには男性言語が必要。
そのような観点でいうなら、これは特別にゲイ的なフィクションの短編集というわけではない。ストレート作品とされているものをゲイ的に読み替えるための良い練習にもなる。見慣れた価値観を半歩ずらしながら読んでみると興味深い。
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「W・H氏の肖像」「幸福な王子」「密林の野獣」「ゲイブリル-アーネスト」「プロシア士官」「手」「永遠の生命」「ルイーズ」「まさかの時の友」
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密林の野獣、あまりにもなにも起こらなさすぎてこわい。セジウィックの、クローゼットの認識論を続けて読む。
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『永遠の生命』が恐ろしいほどにいい。個人的に。
ワイルドに関しては盲目なので省略。サキには驚いた。解説に感謝。
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タイトルに引き寄せられるようにして読んだ本。こういう読書も私にとっては珍しい事だが。
サマセット・モームやオスカー・ワイルドなど、有名な作家たちの描く全ての短編が、今のBL小説とは全然違った感じがした。勿論そういう物の原点となりうるのだろうが、もっと精神的なつながりだとか、哲学に生きるとか、女性を嫌うとか色々なアプローチで自分をカムアウトしたり、ゲイの世界を描いたりすると言う点で、素直に面白かったと思う。
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タイトルに英米文学って入ってないのになんで英語圏の小説ばっかりなんだ!と最初こそいらだったけど一通り読んで一応納得。
個人的にはワインズバーグオハイオが一番気に入ったけれど、どれもいい作品でしかも訳も読みやすいです。
ジャンルで集めた短編集は数あれど、読み方から入るというのは新鮮な体験です。ただ逆にそれにこちらの読み方もどうしても寄ってしまうので、いろいろ考えさせられます。
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ゲイではないな、というツッコミは置いておいて。待望の復刊、嬉しかった。ゲイというよりは、なにか精神性のようなものに支配されている人間関係を描いた、とても印象深い短編が多い。
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ゲイ小説…と言っても、正にゲイ小説っていうのもあれば、グレーゾーンなものもある。
ワイルドの『幸福な王子』の王子とツバメまでゲイにされちゃうと…なんだかなぁ。好きな話だけに「ちょっとやめてほしい」って気になる。
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どれも名作揃いのセレクトなだけにゲイという枠に括ってしまうのはちょっと勿体なかったかなあ、という印象。でも多様な読み方ができて、誰もが自分に引き寄せた読みができる、それでいて力を失わないというのが名作の名作足る所以なのかも。そういう意味ではやはりヘンリー・ジェイムズの「密林の野獣」が一番色々な読み方ができそうで一番面白かったかな。
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キリスト教に根ざした英米ゲイ小説は破滅的としか言いようがないんだけど『幸福な王子』は好きです。添い遂げてるから。
『プロシア士官』の将校→従卒の描写はエロくて良かった。
舐めるような視線と突き上げるような欲情を感じるのに、その一切を否定しようとして結果暴力と死を迎えるのたまらんね。やはり破滅的。