紙の本
短編に込められた作者の情熱と力量
2001/01/18 20:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:げんとび - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ブラック・ジャック」は一つ一つの物語の短い、短編からなっている。せいぜい20ページほどのボリュームしかないのだが、その中で鮮やかなストーリーが繰り広げられる。本当に手塚治虫という人物の偉大さには敬服させられる。まさに「ブラック・ジャック」は手塚作品の真骨頂といえる。
本書だけでも「ブラック・ジャック」の完成度の高さを実感できると思う。何しろ一つ一つの話が、「どこからこんなアイディアがわいてくるのだろう?」と思うほどに一つの世界を形成している。「ブラック・ジャック」は長年にわたって書かれたので、たくさんの話を生み出したが、その中に似通った話はほとんどないのだ。本書で言えば、大自然の美しさ、吸血鬼、教育、体内時計など物語のテーマはバラエティに富んでいる。
さて、「ブラック・ジャック」はシリアスな話が多いのだが、中にはコメディ・タッチの愉快な話もある。「コレラさわぎ」もその一つだ。ひょんなことから起こった大騒動は、ピノコの活躍(?)もあいまって、思わぬ方向へ。普段はかっこいいブラック・ジャックもトイレの中から叫ぶ始末。
「音楽のある風景」に登場するチン・キ博士の一言が忘れられない。「のう、先生…人間のすばらしい文化はだれにもさずかる権利があると思うのです。」 すばらしい文化である「ブラック・ジャック」を読み、楽しむことができることに感謝したい。
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『宝島』『スター誕生』『コレラさわぎ』などが収められています。
わたしのお気に入りといぅか、BJの中で一番強烈だったエピソードが『木の芽』。小学生の時に古本屋でコレを読んでから、BJの世界に足を踏み入れるコトに…;
BJが母校の解剖実習室で昔手術をした死刑囚の遺体と対面する『死者との対話』もイイし、親に見離され家出し山奥で遭難した娘をBJが助けに行く『霧』もイイお話し♪
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僕の好きな作品。「ときには真珠のように」、「めぐり会い」、「六等星」、「アリの足」、「二つの愛」、「おばあちゃん」、「三者三様」、「友よいずこ」、「助け合い」、「勘当息子」、「ある女の場合」、「執念」、「奇妙な関係」、「虚像」、「ゴーストタウンの流れ者」、「山手線の哲」、「落としもの」、「焼け焦げた人形」、「もらい水」、「終電車」、「古和医院」、「土砂降り」、「老人と木」、「サギ師志願」、「ふたりのピノコ」、「おとうと」、「上と下」、「曇りのち晴れ」、「ハリケーン」、「発作」、「誤診」、「発作」、「再会」、「死への一時間」、「ある教師と生徒」、「目撃者」、「約束」、「二人三脚」、「銃創」、「やり残しの家」、「骨肉」、「盗難」、「灰とダイヤモンド」、「身の代金」、「人形と警官」、「お医者さんごっこ」、「がめつい同士」、「話し合い」、「青い恐怖」、「人生という名のSL」、「信号」、「デベソの達」、「二人目がいた」、「帰ってきたあいつ」、「笑い上戸」、「水とあくたれ」、「小うるさい自殺者」、「後遺症」、「気が弱いシラノ」、「幸運な男」、「かりそめの愛を」、「浦島太郎」、「鯨にのまれた男」、「スター誕生」、「死者との対話」、「霧」、「夜明けのできごと」、「20年目の暗示」、「ミユキとベン」、「浮世風呂」、「過ぎ去りし一瞬」、「純華飯店」、「おとずれた思い出」…。
全編を通して、珠玉の名作集の趣があります。
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「木の芽」の話は不思議でもあり怖くもある。
人の命を大事にするブラック・ジャックらしい話がつまっています。
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冒頭の話(宝島)で驚きました。
今までブラックジャックは、善人を生かす為に悪人を見捨てることはあったけど、基本的には命の前に平等で接してると思っていたので、「自然の美しさをわからん者は生きる値打ちがない」って、命の優劣を自己の基準ではっきりつけたところにびっくり。
最初からの価値観だったのか、段々と変節したのかどっちだろう。
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数年おきに読んでいるので、あらすじは分かっているのだが、何度読み返しても面白い。名作。夜中に読むとちょっと恐い。
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「木の芽」、西 炯子の初期作品に体から葉っぱが生えて来て植物になってしまう少年の話があった。やっぱり脈々と手塚治虫の血は漫画家の中に流れている。「霧」は舞台劇の様でもあり、映画の様でもある。「20年目の暗示」はサイコミステリとして読める。
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『死者との対話』難病の死刑囚が本が読みたくて手術を頼む。術後は読書三昧の充実した拘置所暮らし。二重に死を意識して生の喜びを知る。そして、執行後は献体を希望する。死体は皆平等。貧乏も金持ちも権力者も死刑囚も。それが医師を育てる事になる。自分は臓器移植の意思表示はしているが、献体までは考えた事がなかった。献体の啓蒙活動も必要だろう。
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「死者との対話」。
医療の発展のために、自らの体を提供してくれた人に感謝できる話。
公害問題に、思想問題と深い話は読み応えあり。
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お金をもらえなくても患者を助けたり、整形をした人に手術前のほうが奇麗だったといったり、信念をもってブラックジャックは仕事をしているんだなと思ったが、あまりにも綺麗すぎるのではないかという気もしなくはない。
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亀甲墓 子宮 ハブ つくられたマネキン オプンチアというサボテンの一種 Rh−型 解剖実習の死体たち 谷川岳 一ノ倉沢 緊張病 精神分裂症の一種 そのまま人事不省に陥って モーツァルトの鎮魂曲レクイエム 生物時計 松本零士のかく女そっくり 腸捻転 生け花 スペインの闘牛 死んでいく花より野にはえて生きる花のほうがどんなにいいかわからん コレラの潜伏期間 後催眠暗示 春本を盗み読みする年代 罪と罰 包含する 巨大なタペストリーの縦糸横糸にあたる脇役達 無数の「閃光の人生」をその「クライマックス直前に幕をあげ」て読者に提供した タナトロジー死生観 一生命体としての限界を超越しておられたのか
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【再読】
「死ね! この空と海と大自然の美しさのわからんやつは────生きる値打ちなどない!!」
再読もついに15巻までやって来ました。ここまで来ると、内容を覚えている話もちらほら出てきますね。特に最初の『宝島』でブラックジャックが放った「死ね」という言葉に対する衝撃は、今でも思い出すことができます。今まで彼がたくさんの人の命を救ってきたからこそ、重くのしかかる言葉です。
今巻を通して感想を述べると、不思議な話が多めでしたね。テーマとしては「生きがい」かなと。ある一つのものに執着し、身も心も挺して戦う人達。それはもちろんブラックジャックも例外ではなくて、「私はな 、切るだけが人生の男なんだ」と語る所からも分かります。何はともあれ、私はブラックジャックを含め、この作品に登場する人達を、褪せることなく、ずっと尊敬しているのです。
(特に好きな話3つ)
『宝島』
『死者との対話』
『霧』
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やっぱり美容整形テーマってネタが尽きないんだな…すげえ…
あとこれが全身から葉っぱが生えてきちゃう男の子の話か…やっと読めた…