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豊潤なイメージ、というよりは潤沢なイメージの奔流と言いたい。山尾悠子にはさんずいの形容詞がよく似合う。どの話も流れるような液体のイメージ。
私のお気に入りは「夢の棲む街」「ムーンゲイト」「遠近法」「黒金」「破壊王」
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ぼちぼち読んでいることは読んでいるんですが、何せ、ず〜っと同じトーンのものを読んでいると食傷気味になるっちゃぁなる。
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ずっしりと重い。ただそれだけのことで涙が出そうになる。なぜなら山尾悠子の作品集だからだ。ファンとしては、寡作であることは確かに心寂しい。しかし実際に作品を読むと納得せざるを得ない。「これだけの水準のものを、ホイホイ書けるわきゃあないよなぁ」そう思うと、「集成」のこの重みに感動してしまう。勿体なくて一気に読めるわけがない。ひとつひとつのイマージュを、じっくりと味わって読みたい。「夢の棲む街」だって何度も読み返したことがあるけれど、もう一度、ゆっくりと読んでみたい。「読む」ことの快楽、「読む」ことが受動でなく、「読む」ことによってアタマの中になにものかが生まれてくる。山尾悠子の作品は、「etwasを棲まわせる書物」だ。
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二十年の眠りから目覚める幻の傑作群。
“伝説の作家”山尾悠子が残した幻想文学の極北ともいうべき32篇の小説を一巻に集大成。
ずっと読んでみたかった《夢の棲む街》
硬くて軟らかく、そして深い幻想的な世界を描ける日本人作家は多くはないと思う。脆くも優しくもあるけれど、不思議なベールに包まれた硬さのある軟らかさというのはこういう文を言うんじゃないだろうか、と思ってしまった。そしてそれに加えて思ったことは、文章の持つ力の凄さというのはここにあるのではないかと思う。イメージを言葉に。そしてその言葉をイメージに。繰り返して読むほどに鮮明に、そしてその言葉により近付いて行くあの感触。
現実の存在を揺るがしてしまえるほどの言葉の力をあたしは今まで知らなかったし、山尾悠子という作家に出会わなければ出会うことさえもなかったのだろう、と思う。
重たい。集成という重みがじっくりとこちらへ語りかけているように思う。
ああ、にしても、
川上弘美が書評で「私などこの半分も書けない」と書いていたことがとても衝撃でした。
読む人それぞれに色々な思いがあるけれど、じっくりと一つ一つを噛み締めて読んで行きたいな、と思いました。
(2009.01.23)
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二十年の眠りから目覚める幻の傑作群。“伝説の作家”山尾悠子が残した幻想文学の極北ともいうべき32篇の小説を一巻に集大成。
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幻想文学の極北。伝説の作家の傑作群。佐藤亜紀がとんでもない褒め方をしている「パラス・アテネ」も素晴らしい。その文体の余りの煌びやかさ、リズム、映像的な視点移動など恍惚としてしまう。しかし、なんといっても生涯最高の短編「遠近法」。その創造力に打ちのめされました。その1作の衝撃だけで、大ファンになり、サイン会のためだけに関西から東京まで赴いてしまったよ。★6
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幻想に到る病と毒林檎の果てに山尾は何を見るのだろうか?
いつまでも咲き続けるオーロラと巨人の狭間で何を感じるのか。
それともゴーレムの生成には処女の生贄が必要なのか。
いいや、腸詰宇宙には終わりも始まりも無く太陽すらないのだ。
本格幻想作品は一種のノワールであって博愛主義ではない。
いっそのこと――トロンプルイユに溺れて死んでみたいけれど、
流星群の蠢くシークエンスはサイレンとともに点滅する・・・。
呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛祝福呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛。
永久機関が止まった日に純度の高いエリクシールが手に入るんだ。
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作者の20代のころの短編集。
一つ一つの物語がとても緻密な描写で描かれている。どれも違う世界で起きる話しなのに、過去にあったか、今にもどこかで同じことが起こっているかもしれないと思わせるような文章。たしかに幻想的という言葉がふさわしい。ただその分一つ一つの物語を読むのにとても体力がいる。好みの話しじゃないときは目が滑って大変だった。絵画や版画などに構想を得ることがあった作者なので、それらの元ネタを知らないで調べたことも。あと、読めない漢字が多く出てきて読むのに辞書、広辞苑は手放せなかった。それでも読んでいる間はその手間が気にならないくらい夢中だった。もともとSFとかファンタジーが好きだったので夢見るような話は嫌いではなかったのもあるかもしれない。
「ムーンゲイト」「月蝕」「童話・支那風小夜曲集」「シメールの領地」「ゴーレム」あたりが好き。
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夢で織られた分厚いバームクーヘンを食べるようにして愉しんだ。
無人島に持っていく本はこれでもいいかも。
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なんというか、すごいものを読んでしまった。
すべての話が目の前に映像が浮かぶような視覚的な文章で書かれていて、幻惑される。ひとつひとつ文体を変えて書いているとのことだけれど、根底に山尾節といっていいのか、一貫したものが流れていて、作者を知らずに読んでも、これは山尾さんの話だとわかるような気がする。
作品世界は頽廃的なものが多く、透明でふわふわしたものではなく、鉱物的なごつごつとした肌触り。なめらかな絹や天鵞絨だと思っていたら、乾いた血でごわついている部分を見つけてしまったような不安を感じたりもする。
好きなのは『遠近法』『パラス・アテネ』『ゴーレム』。
他にも好きなのはあるけれど、とても書ききれない。
ホント、すごい話に、すごい作家に出会ってしまったと思います。
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「夢の棲む街」を読んだ時に、閉塞感漂う荒涼とした架空の大地がバロの絵と重なった。舞台が架空の土地でも現代のとある町でも、格調高い文体で綴られる物語は目眩がしそうに幻想的。言葉で描かれる幻想絵のようだが、読みながら物語に沿った旋律が生まれるほどに刺激される。見ているだけでは飽きたらず、いつまでも世界に入って遊んでしまう。
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執拗な情景描写に圧倒されるが、その分物語の筋は希薄に感じる。頭に浮かんだイメージをそのまま描きたかったのだろうと思うが、そのために読ませるための工夫がおざなりとなっている感が否めない。他者が見た夢の話を聞くのは退屈だ。
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凄すぎる以外に言葉が出ない。
「夢の棲む街」
「遠近法」
この2作をよんだだけでももうそれでよい。
凄すぎてなんかもうそれで良い。