紙の本
モンゴメリの悲しい人生
2002/07/24 04:53
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗斗実 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、「赤毛のアン」の時代背景や自然について書かれている。
「赤毛のアン」は、決して子ども向けの少女小説ではなく、政治や宗教的知識をも組み込まれた、れっきとした大人向けの小説なのだ、ということが、よくわかる。
モンゴメリの生涯についても解説され、「赤毛のアン」以下のアンシリーズが書かれた経緯なども、彼女の日記等を手がかりに、述べられている。
その後のシリーズは、自分の書きたいイメージと出版社の要望との板ばさみで、決して喜んで書いたわけではないことが、少し悲しい。
この本を読んだ後、「赤毛のアン」シリーズを再読したところ、時代背景や情景がよくわかり、いままで以上にすんなりとアンのことがわかるようになった。
紙の本
赤毛のアンの背景
2020/12/24 20:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
「赤毛のアンに隠されたシェイクスピア」もとても面白かったのでこちらも。当時の社会背景など考えずに読んでいたので、知ってから読み返すとまた深みが増すと思います。モンゴメリの人生についても色々と考えさせられました。
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赤毛のアン好きには中々興味深い本です。何気ないシェークスピアの引用の中にも深い意味があったり
アンの時代を深く読み解いています。
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知られざる赤毛のアン。時代背景に即した鋭いデータが見られて面白い!アンがステイシー先生の授業で読んでいた『ベン・ハー』は発売したばかりだった、とか、マリラが講演を聴きに言ったカナダの大統領はだれそれだとか、それはアンが当時アメリカで発売されたことに作者が気を遣ったんだとか。
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「赤毛のアン」の翻訳者、松本侑子さんが、翻訳にあたって調べたカナダ、プリンスエドワード島の歴史や、そこをめぐる旅、モンゴメリ自身のことなどをまとめたもの。それまで少女小説だと思っていたが、翻訳するのに初めて原文を読むと、知性とユーモアのある大人の観察者の視点で描かれていることに驚いたという。
翻訳するのには背景を知り、実際にその地に足を運ぶと訳出がしっかりするという。確かにそうだ。背景を本にしてくれたので、改めて「赤毛のアン」の世界が、なるほど、と現実感を持ってきた。またモンゴメリの実人生も紹介し、その地に行った旅行記もあるので、アンの世界に託したモンゴメリの心情なども垣間見られた。
プリンスエドワード島の歴史がなかなかにおもしろく、モンゴメリの先祖の入植や、アンでの描写もそれを背景にしているのがわかる。
第1章:「赤毛のアン」の時代背景
・・アンに描かれている島の政治大会や女性参政権運動、パフスリーブの流行、カナダの銀行倒産などから、時代設定は1880年代すぎから90年代だろうという。1880年が明治13年なので、日本だと近代黎明期なのだ。またモンゴメリは1874年生まれなので、アンと自分の少女期を重ねているのがわかる。
またプリンスエドワード島には1663年頃フランス人が毛皮貿易などをしていたが1710年ころ対岸のノヴァスコシア州から農民が入植したが、フランスにとってのカナダは毛皮や貿易による富の供給地なので、アメリカの西部のような先住民殺戮は起きなかった。
だが、七年戦争でフランスがイギリス、プロイセンに負けると、1763年のパリ講和条約でカナダとアメリカはイギリスのものになった。するとプリンスエドワード島のフランス人はカナダ本土やアメリカ(ルイジアナ州)に渡った。残ったフランス人はイギリス人入植者の雇人になった。・・本だとアンの家に雇い人の少年がいてそれはフランス人で信用できない人物として描かれている。ドラマではそういう背景は分からなかった。
第2章:「赤毛のアン」の植物園~出てくる植物紹介
第3章:モンゴメリ、知られざる人生~アンとかぶる人生。かなわぬ願いをアンに託した部分もあるような気がする。
第4章:モンゴメリの生涯をたずねるカナダ紀行
新完訳「赤毛のアン」集英社 (単行本1993年4月20日発売)
2000.6.30第1刷 図書館