紙の本
ホンモノの宗教の見分け方を教える実用書
2002/04/05 22:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
宗教とは畢竟、このうえもなく恐ろしいものなのだ。資本主義とデモクラシーと近代国際法を生み出したキリスト教。予定説(キリスト教)と因果律(仏教)の対比。キリスト教のキーワードは予定説、仏教は「空」、イスラム教は「コーラン」、儒教は「官僚制度」。日本にあるのは「労働共同体」だけだ。『豊饒の海』で唯識の法相宗を徹底的に解明し魂の輪廻転生を否定した三島由紀夫は、生まれ変わって復活するものは何かという宿題を読者に残した。──以上、印象に残った断片(結局、仏教を論じた章がいちばん面白かった)。
以前著者の『資本主義原論』を走り読みして経済学が解ったような気になったのだが、本書を概読して、これは実用書(ホンモノの宗教の見分け方)だと納得した。
紙の本
この著者のいうことが正しいかどうかは分らない。だけど・分ろう・とする気持ちになれる(笑/恥/呆/大汗)。
2003/07/14 08:13
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投稿者:jian - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ひきよせて むすべば柴の 庵にて とくればもとの 野はらなり」……仏教のクダリで“色即是空 空即是色”を理解するためのアンチョコとして紹介されてたんだけど、なぜかココが一番印象に残ってるんだよね。
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小室直樹による宗教解体。
簡潔でわかり易い文体で、キーワードを反芻しながら進めてくれるのでかなりの収穫を得られる。
宗教ってなんだろー?と考えてる人には電撃が走ると思います!
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日本人は宗教を理解していないと言われるがこの本を読んで納得した。
また宗教がない国に生まれてよかったとも思う。強力な宗教が生まれる地域は環境が厳しく、救いとして宗教が生まれたと思うからである。
日本も宗教はあるがそれは外の世界において宗教とは違うものである。そして科学は宗教が深く関わっている。よって日本はその宗教がないので科学は無いとも言える。科学の精神が無いと思っていたがやはりと思った次第である。
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宗教音痴のための啓蒙書。碩学の小室が、いたって判りやすく、宗教を対比して述べているので、さらに易しく、宗教の齎す社会構成の違いから恐ろしさまでもが活写されている。■読み終えると、何故、ユダヤ教のイスラエルという国が存在し、アラブのイスラム教徒と対立するのかが、宗教の側面からも見えてくる。また、昨今のイスラム過激派とプロテスタントの米英の国家との戦闘の宗教的背景も判るような気になってくる、から不思議だ。それだけ、手際よくまとめられており、また、理解した体系から推測することが出来るという意味で、有意義な著作となっている。小室の諸著作は、そうした読者自らの判断を可能にさせるという意味で、好著が多い。
■主としてキリスト教、イスラム教、仏教、儒教、が取り上げられる。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、啓典宗教。啓典は、ユダヤ教の場合、旧約聖書。キリスト教は新約聖書となる。ユダヤ教は、集団救済。イスラム教とキリスト教は個人救済。仏教は、魂の除去による「悟り」のための修行が、必要となる。キリスト教、イスラム教は神の存在を信じなければならない。神の利用は神を冒涜するものである。よってそのような行いは、厳しく排除される。何らかのご利益を求め信仰は、キリスト教、イスラム教の信仰形態ではなく教義から排除される。イスラム教では、アッラーの神が唯一神であり、宿命的予定論のコーランには人間が守るべき戒律が、具体的に述べられており、それを守ることが絶対的に要請される。喜捨なども具体的に決められている。よって、世俗の生活も、その戒律によって行わなければならない。■キリスト教では、端折っていえば、神が光臨したというイエスが、唯一神である。戒律はなく、予定説に立つ新約聖書を信じることのみが要請された。信仰のみで成立する宗教である。戒律を設けたのは、後世の教会であり、また、その禁欲的行動を要請することになり、カトリックの堕落に繋がった。例えば、僧侶の妻帯である。
■キリスト教は、異教徒は人間ではないから鏖(皆殺し)にしても構わないという教義さえ演繹される。よって、十字軍のイスラム教徒に対する暴虐、宗教革命以後のキリスト教は、ラテンアメリカの住民を殺害しつし、米国の建国では先住民のインディアンの皆殺しも、この思想によって実行された。
■宗教は、救済でもあるが、他の宗派に対しては非寛容でもあり、「死」をも賭して省みない殺戮世界さえ現出させる恐ろしい原理である。それと同時に、宗教の「内部」理解に疎いければ、発生した事件での行動原理を間違って解釈し、間違った方策を立てしまうことにつながり、紛争をさらに過激なものに導くことになる。宗教を侮ってはいけないのだ。
■本作で、仏教の精髄である輪廻転生を語る作品として、三島由紀夫の「豊穣の海」を、小室は指摘していた。三島由紀夫が好きな筆者としては、「豊饒の海」をいずれ再読してみたくなった。
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3大宗教(キリスト、仏、イスラム)の本質を極めて明快に教えてくれる。極楽、地獄の概念があるのはイスラムだけなどはじめて知った。自分が知っている宗教の概念はかなり捻じ曲げられたものみたいだ。銃・病原菌・鉄と読み比べると、環境要因だけでなく宗教の違いも格差発生のメカニズムに寄与していることが読み取れておもしろい。(2006/5/20読了)
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キリスト教ユダヤ教イスラム教ヒンズー教仏教。どれがどう繋がってて、どれがどう特殊か。ちゃんと知っておくと、ちょっと見晴らしが良くなる、かな。
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世界三大宗教と呼ばれる、イスラム教、キリスト教、仏教について。ユダヤ教、ヒンズー教なども少し。
「宗教って何?関係ない」と思ってる人は読んでみるとおもしろいと思う。
本質的な概念について説明。
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本書は、まず宗教とは何たるものなのか、そして、それがいかに恐ろしいものであるかを論じた後、キリスト教、仏教、イスラームのそれぞれについて、彼らが信じるものは何かを「客観的かつ正確に」解明していく。この「宗教を正確に知る」ことは極めて大事だ。なぜなら、「行動様式」である宗教は、文字通りそれを信じる人々の行為に対する動機となるからだ。日本人が理解できない外国人の行動様式は、「宗教」で説明できることも多いだろう。おそらく、「英語」と並んで「宗教」の知識は国際常識のような気がする。
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世界の人々はこの世は苦しいから来世はいいところへ行きたい
日本人はこの世が一番来世なんかない
仏教・・実在論を否定。人間の心の外に実在するものは何もない。
religion繰り返し読む
マックスヴェーバー
宗教・・エトス・・行動様式
存在論オントロジー
人間が生きるために神を利用する・・・×
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とにかくわかりやすい。日本人は宗教に疎いが、人類の歴史あるいは現代社会を見る上で宗教は欠かせない。宗教に関して興味があるなら、先ずこの本を読んで、その上で高度な専門書を勉強することをおススメする。
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宗教というものを学ぶ上では多大な書物や歴史を学ばないと本質部分には辿り着けないと思う。
しかし、小室直樹による本書は一冊の内容で各宗教の本義、世界観、歴史背景、本質部分をあますことなく見事に論じている。
これだけの内容であれば、小難しい記述になるのが常だが記述面に関しても大変わかりやすい内容であり、内容も決して阻害されていない。
宗教をきちんと知る上では絶対に外せない一書だろう。
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多少、宗教のことはわかっているつもりでしたが、実は全然わかっていなかった、ということが認識できました。
宗教とはこの上なく恐ろしいもの、しかし、社会にとっては欠かせないもということも理解できました。
個人的には仏教の「空」を始めてわかったような気にさせてもらえました。
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第4章「仏教」は近代科学の先駆けだった が興味深かった。
仏教の目的は、悟り、すなわち諸々の煩悩をなくして、
解脱して涅槃に入ること。
その煩悩が生じるというのも、「われが存す」という迷妄が
根底に存するから。
ゆえに、「われが存す」という迷妄を断ずれば、涅槃に直行
できる。
空(くう)とは有無を超越し、相互依存と同義。
同時因果関係
経済学の例でいえば、ケインズモデルがこれに当たる。
消費関数
Y(国民生産)→C(消費)
←
有効需要の原理
縁起
因縁 因=主原因、縁=補助原因
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個人的に覚えておきたいことを雑多に。
<全体>
・宗教=行動様式(ヴェーバー)。神や仏の有無は関係ない
<キリスト教>
・「イエスは主であると口で言い表し、神はイエスを死から甦らせたもうたと心で信ずる」(117)だけでよい。行動規範はない
・パウロによって信仰(内面)と行動(外面)が切り離される
→予定説によって神に選ばれたと信ずる人々が新法を設立していく
→資本主義の精神が醸成されていく
・隣人愛を説くが異教徒に対してはこの限りではない
・ファンダメンタリストはキリスト教にのみ存在する
∵聖典を徹底的に信じ、かつその信仰のみを問うこと、だから
∴「イスラム原理主義」は存在しない
<イスラム教>
・コーランを全面的に信じイスラム法を遵守して初めて教徒に
・イスラム教国ではコーランと法律が一致する
・ジハードによる戦死は自動的に天国行き
<仏教>
・仏は存在しない。絶対的なものは法(ダルマ)のみ
・煩悩をなくし解脱して涅槃に入ることが目的
日本は本当にアノミーに陥っているのだろうか。学校や就職活動など、「連帯」を常に求められる場でこれまでの人生の多くの時間を費やしてきたおかげで、その「外側」が見えていないのかもしれない。
その疑問について考える例として、先日の震災が挙げられると思う。「がんばろう日本」「自粛ムード」「節電」などといった言葉が、日本人全体の連帯感を引き出しつつあるように見える。しかしこの連帯感はどこか表層的ではないだろうか。アノミーを解消するほどの「宗教」たりうるのか。不祥事を起こした者に対する、即座に辞任せよ、との大合唱からは、日本の将来に対する思考停止が透けて見え、結局はその場しのぎの群れ合いという感がある。このことはアノミーの証拠と言い得るのではないか。