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紙の本
哄笑と寂寥の右翼みみづく
2002/06/13 03:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々宝砂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
十七編を収録する短編集。この本、装丁がえらく洒落ている。クラサカ氏の本の中で最もうつくしい本かもしれぬ。夜と月の匂いがするイラストがすてき。しかしカバーをとると、真っ赤な生地に白い髑髏がデンとあって、やっぱり怪奇なのである。お洒落なだけではつまんないもんね。
異形コレクションに掲載された短編を中心に編まれているが、かなり玉石混淆な気がする。短いくせに効果的な入れ子構造を持つ「墓碑銘」のような傑作もあれば、どうかなーと首をひねるほかない「おじいさんの失敗」みたいな作品もある。初心者向き、ではないかもしれない。
しかし、私は力入れてこの本をすすめたい。なんでかって、この本には倉阪鬼一郎の最高傑作短編(と私が勝手に思ってる)「みみづく」が掲載されている! いきなりやってきて「みみづく新聞である! づはすにてんてんではなく、つにてんてんと表記する」とのたまうみみづくは、なぜか右に偏った思想の持ち主で(左ではつまらん)、大いぱりで新聞の勧誘をする。どういう話だそりゃとお思いになったら、ぜひ読んでいただきたい。わずかに10ページしかないこの物語は、寂寥と、笑いと、幻想と、残酷さと、それから「救い」としか言いようのないものを読者にもたらすのである。
これこそ、私の好きなクラサカなのです。ああ好きだわあ。……って、ラブレターじゃねえんだ、これは書評なんだった。あわてて付け加えておくと、他にも面白い小説載ってます。おすすめは「白い呪いの館」、「事件(ことくだん)」、恐ろしくも美味な「ラストディナーは私と」。
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