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紙の本
あまりに分厚く、重く、読みにくいが、「単行本未収録作品」が入っている
2000/10/05 00:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『田村隆一全詩集』はずいぶん昔、思潮社から出た。その時も当然箱入りだったが、中は四分冊になっていた。ところが今回は全一冊、1494頁!もある。これはあんまりだ。あまりに分厚く、重く、読みにくいからだ! しかしこの『全詩集』には「単行本未収録作品」が入っている。内容は「戦前」(1939〜42)が24篇(34頁)、「戦後I」(1946〜69)が25篇(52頁)、「戦後II」(1983〜98)が54篇(82頁)と計103 篇、168 頁もある。まだすべて読んでいないので何とも言えないが、これらはみずから単行本に入れなかったものなのだろうか。詩人論は他の媒体で書く予定なので、ここではもう少しデータにこだわって紹介しておこう。「著作目録」を改めて見ると「詩集」が案外少ないことにまず驚く。処女詩集『四千の日と夜』(1956年、東京創元社)や『言葉のない世界』(62年、昭森社)は誰でも知っている。それ以後、『帰ってきた旅人』(98年、朝日新聞社)までの42年間でわずかに23冊、つまり1年に2冊は出していないのだ。「いやいや、『詩集』をそのペースで出したのは、現代詩人では彼だけだろう」との声が聞こえてきそうだが、なるほど言われてみれば、世界的に見てもそんなものなのかもしれない。ついでに書いておくと、エッセイと対談集は37冊、ミステリーの翻訳は23冊、絵本の翻訳は31冊、計91冊もある。年に約2冊以上のペースである。文庫化されたミステリーや他の本は、重複も含めると43冊である。ここまで仕事をした詩人、もし吉本隆明が詩人だとすれば、彼に次ぐ量かもしれない。田村隆一の詩集で思い出すのは、この23冊の内、『5分前』(『海』連載、82年)、『ぼくの航海日誌』(『マリ・クレール』連載、91年)の2冊の詩集、ぼく自身が世に出したことだ。いずれもぼくの企画だが、『海』は鎌倉在住の女性スタッフ、『マリ・クレール』の時は、彼のファンという若いフリーの女性編集者に原稿取りを頼んだ。出不精人間のぼくにとって鎌倉は遠過ぎ、行けば酒になり、一日仕事になるだろうとの予測があったからだ。いつも書いていることだが、田村隆一を最後に『荒地』の詩人はすべて逝き、昨今の詩人で、出れば必ず買う人は、せいぜい2、3人しかいない。こうした『全詩集』、個人では買いにくい。全国の図書館は、ただちに仕入れて欲しい!
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