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紙の本
西武コミュニティ・カレッジの講師でもある著者が、音楽ライタ−になるためのAtoZを懇切丁寧に指導する
2000/11/09 00:15
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投稿者:杉田宏樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカで最も歴史と権威がある音楽賞として、毎年選考結果が話題になるグラミー賞は、音楽ファンなら知らぬ者はいないと思う。しかしその中で、音楽評論家に対して与えられる「ベスト・アルバム・ノーツ」という部門賞の存在を知る人は、意外に少ないのではないだろうか。何故こんな話をするかというと、米国では音楽評論家という仕事が正当に評価されているが、その点に関して日本の状況はまだまだ遅れていることを指摘したいからなのだ。本書の著者は内外のロック、ポップスを中心に執筆、コミュニティ・カレッジで『音楽ライター養成講座』の講師を務める音楽評論家である。同講座を受講し、プロの音楽ライターや編集者になった人もいるというから、『養成講座』の書名は決して大げさでもない。レコード・レヴューやコンサート・レヴューの課題に対する受講生の文章を実例として挙げ、著者が講評を加える「紙上実戦講座」は、文字通り実戦的な書き方/考え方を学ぶことができる。自分が得意とするジャンルについての文章を書くことは、誰にでも可能だが、プロとしてのクオリティを伴ったもの、となると当然いくつかの条件をクリアしなければならないわけで、そこがプロとアマチュアとを分ける決定的な差なのだ。著者はもともとサラリーマンのかたわら、ミニコミ誌を主宰し、会社を辞めてフリー・ライター業に進んだ人物。と聞くと夢を叶えた幸せ者にも見えるわけだが、実際はライターになりたいという強い思いがあったのでも、本格的な修業をしたのでもない。実は音楽評論家が本業のぼくも似たような経歴があって、著者の発言には共感を覚えるくだりがいくつもあった。音楽ファンが高じて、知人関係のつながりから雑誌に原稿を書き始め、やがてそれが生業となるケースは案外多いのだと思える。ぼく自身について言えば、ある程度の文章能力があったとは思うが、プロのライターとしてのノウハウは、誰かに教えられるのでなく、実際の仕事の積み重ねから習得したのが本当のところだ。著者もおそらくそのような経験から導き出した。ライターにとって必要な知識と技術の体系化が本書だと言ってもいい。サエキけんぞう、『レコード・コレクターズ』編集長、ベテラン評論家の北中正和氏との対談は、音楽ライターとしてやっていく上での心構えを教えられ、プロ志願者ばかりでなく、音楽評論家のぼくにも刺激的だった。1日中好きな音楽が聴けて、お金がもらえる音楽ライターはオイシイ仕事、だから目指したいという不心得者も、本書を読めばこの世界の現実を知るに違いない。時間と必要経費がかかる割りに実入りが少ないという、ビジネスには不向きなこの職種にそれでも憧れるロック/ポップス・ファンへ一言。本書を押えておけば、誰でもライターになれるなどと無責任な保証はしません。しかし少なくともプロはここで紹介されている事柄を踏まえているのは確か。それでもあなたは音楽ライターをやりますか? (bk1ブックナビゲーター:杉田宏樹/音楽評論家 2000.11.09)
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