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紙の本
三部作完結品にはピッタリ
2001/10/17 19:36
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投稿者:One - この投稿者のレビュー一覧を見る
『スキップ』『ターン』とも、それぞれの世界観があって、とても良かった。北村ワールドらしい、明るい女の子が主役となる物語は、読んでいて、退屈を感じさせないです。
その完結編の『リセット』は、期待以上でした。戦争が舞台となった時代背景はあまりにも切なく、さらに、その頃の幸せが淡々と語られていく様が、悲しさを増幅させ、胸がつまれる想いがしました。『秋の花』で、人間の死に対する尊厳を、優しく、且つ厳しく説いた北村先生の想いが、この本で、さらに深みを増し、一冊全体に染み渡っていると思います。
生と死の、嬉しさと儚さが、交互から押し寄せ、やがて本を閉じた時には、何かしら優しい気持ちになると思います。
紙の本
時を越えてめぐり逢う魂の物語
2001/04/06 17:40
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投稿者:吉野桃花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
<時と人>三部作の三作目。締めくくりのこの作品は、すんごくロマンチックである。
戦中に、女学生だった真澄と、ほんの数回すれ違うようにして会っただけの修一は、互いにひかれあう。二人の間に何が起こったというわけでもないが、相手がなんとなく自分のことを好きだというのはわかるものである。しかし、空襲という、どうにもならない時代の産物に二人は引き裂かれてしまう。
相手を想う気持ちは時間を超え、その魂がまたこの世に生まれてくる(話の大すじは「海のオーロラ」(里中満知子)みたいな感じ。あんなに何回も生まれ変わらないけどね。)。
もし、これが現在の話だとすれば陳腐に感じてしまっていたかもしれない。でも!戦中に青春期を過ごした少年少女の心残りというのは、なるほど生まれ変わってしまうほど強いだろう、と納得できる。そこがうまいな、と思う。
亡くなった人も、生き残れた人も、大いなる心残りがあるはずだ。いや、生き残れた人の方が、その後の時代を見、戦中を俯瞰できるようになったことで、余計に苦しいかもしれない。
「おばあちゃんもこんな娘時代を過ごしたのかな。そして戦後の混乱を生き抜いた。今は、ああして笑っている。人生を振り返ってみたとき、幸せだったというだろうか。」と祖母のことを思い、切なくなった。
せめて戦前、楽しい子供時代があり、胸に残る思い出があればいい、と思う。が、それを聞くのはなんだか恐くて、ずっと聞けずにいる。戦争のことを思い出させて辛い気持ちにさせるのが嫌なのだ。
もう祖母も80歳になった。祖母に会えなくなる前に、昔のことを聞いておきたい。楽しかったこと、悔しかったこと、いろいろ。
そういうタイミングと時間が訪れてくれることを願う。読み終えて、そういうシンとした気持ちになった。心のなかに、じんわりとしみこんでくる上品な物語だ。
紙の本
後半の盛り上がりは秀逸
2001/01/27 14:39
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投稿者:かれん - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学生だった真澄は、優子さんの家で修一に出会います。それが淡い初恋のは始まり。第一部の時代設定は、第二次世界大戦前後。いくらお金持ちの集まる学校へ通っていても この時代では勉強などできません。学校は軍事工場に変わり、そこで毎日、働かされます。想いを伝えたくても伝えられない、そして会うことすら簡単に許されない悲しい時代です。
そして、第二部は現代。病院に入院しているお父さん(村上和彦)は、我が子のために、日記を言葉で残しておこうとします。テープに録音しながら、小学5年生からの回想が始ります。その日記に登場してくる、自宅で小学生に本を貸していた女性、その女性こそ真澄さんです。
でも、この二人は、親子にしても恋人にしても ちょっと不釣り合いな年齢です。
一気に読んだ前作の「スキップ」「ターン」に比べ、前評判がよかった割には、ちょっと物足りない気がしましたが、この二人が、時を越えてリンクする第2部の第4章あたりからの盛り上がりは、素晴らしいです。前半はゆっくり攻めて、後半一気に… さすが、北村薫さん!
「想いは、時を越えるー希いはきっと、かなえられる…」
この意味が分かった時、いつの時代でも人を想う気持ちは変わらない… とても切ない気持ちになりました。もし、私が、お父さん(村上和彦)の立場でも、後世にこの素晴らしい出会いは伝えたいと願うでしょう。素敵なラブストーリーです。
前回のしし座流星群は、南九州はあいにくの曇り空で見ることはできませんでした。あの星には、33年前、66年前、99年前… の人たちの沢山の願いが込められているのかもしれませんね。次のしし座流星群が見える頃には、生きているかどうか分かりませんが、私も願いを込めて見てみたいです。
紙の本
「時と人」シリーズ完結作
2001/01/22 09:33
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投稿者:remi - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに本を読んで泣いてしまいました。
『スキップ』と『ターン』に続く第3作にして完結編の本書は、『リセット』というタイトルです。
本書は、二人の人間の回想録のような感じで物語が進んで行きます。第2次世界大戦中の真澄と昭和30年代の小学生和彦。そんなふたりがどのように交叉するのか。予想もつかない展開で物語は進みます。
とてもせつないけれども、それでいて生きる強さを教えてくれる、そんな作品です。
『スキップ』と『ターン』とあわせて読んでも楽しいですし、本書だけを読んでも十分楽しむことができると思います。