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失敗学のすすめ みんなのレビュー
- 畑村 洋太郎 (著)
- 税込価格:1,760円(16pt)
- 出版社:講談社
- 発売日:2000/11/01
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紙の本
失敗情報をきちんと管理して、「知識化」していれば大きな事故は防げる
2001/03/28 22:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「失敗学は創造学」といってよい。失敗は成功の母。自らの失敗だけでなく、知識化された他社の経験に学ぶことによって、成功への道は拓かれる。「失敗学は危機管理学」でもある。
1つの事故の背後には29のクレームがあり、その背後には300のまずいと思った体験がある、というハインリヒの法則が紹介されているが、失敗情報をきちんと管理して、「知識化」していれば大きな事故は防げるのである。これは技術の世界だけでなく、経営にも一般的にあてはまることだ。「知識化」がきちんとなされている状況になってはじめて、知恵の伝承もなされる。
「体感」することの重要性。何も自分が「体験」しなくてもいいのである。知識化された失敗情報を自分の身に引きよせて「体感」すればいい。『社長失格』の著者である板倉雄一郎氏の失敗体験も、知識化されたことによって、日本語をよめるわれわれの共有財産となっているのである。
紙の本
仕事との繋がり
2003/08/24 01:37
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投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
VECに携わっている者にとって教訓を与えられた著作であった。「部分差異的全体最悪」ということである。製品の黎明期には、技術者が全般に精通しているが、成熟するにつれて全般に精通した技術者が減ってくる。そこで、部分的に合理化を施しても、それが全体から見れば最悪ということに成り兼ねないということである。
失敗に対する日本と欧米の対処の仕方の違いも述べていた。日本はそれを隠そうとするのに対し、欧米ではその分析を行い、次のステップに活かすというのである。日本の会社も我社も含めて事故対策は充分に行っていると思う。しかし、日本の場合、次に活かす内容に成って居ないというのである。我社の場合、不良事例は、動機的原因まで追求し、システムとしては整っていると思うが、その内容はどうなのか、私の体験では疑問が残る。良く考えると、私は、この不良事例を何回かしか書いていない。それだけ失敗していないという事だが、それだけ重要な仕事をしていないということも言えると思う。日立の「落穂拾い」は、非能率的と考える人もいると思うが、失敗を活かすという意味で良い伝統だと思う。
HIRISという不良事例の検索システムがあるが、これは本書でも言っていたように、役に立たない失敗事例集だろう。知りたい情報が全く無く。ただ、事例を集めただけというものだからである
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「失敗学」に出会ってしまいましたね?
2003/08/16 08:51
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投稿者:aguni - この投稿者のレビュー一覧を見る
畑村洋太郎氏による「失敗学」。その考え方を説明してくれる一冊。入門書として最適。
「失敗学」とは、失敗から学び、次の失敗を防いだり、新しいものを創造したり、成功へとつなげたりするための基礎的な考え方である。経営者が泣きながら謝ったり、政治家が責任を取って自宅謹慎したりと、失敗の処理が単に責任問題のみに終始してしまい、ともするとドラマとして語られたりしてしまう風潮に対して著者は、失敗をきちんと認め、分析することを体系づけようとする。
例えば、著者は、失敗の原因について、「無知」「不注意」「手順の不順守」「誤判断」「調査・検討の不足」「制約条件の変化」「企画不良」「価値観不良」「組織運営不良」「未知」の10項目を挙げている。(P60-P64)
章立てには「失敗情報は伝わりにくく、時間が経つと減衰する」「失敗は単純化したがる」「失敗は隠れたがる」など、失敗についての性質が紹介されており、失敗を調査・分析する際に気をつけなければならない心構えについて教えてくれる。
日本の社会は失敗を許さない、再挑戦を許さない、と言われる。しかし失敗を恐れるあまり、それを隠蔽したり、そもそもチャレンジすることを止めていては、いつまで経っても成功へはたどり着けない。失敗はリスクとして存在することをまず認めてしまい、小さな失敗をきちんと分析・検証する。対応策を取る。小さな失敗を重ね、その原因を追及することによって、大きな失敗を防ぎ、大きな成功につなげる。そんな考え方こそが求められている。
こうした考え方は仕事だけではなく、人間関係にも適用できるだろう。プロジェクト管理者でなくとも全ての人に失敗学を。最初の一冊として、読みやすいオススメの一冊となっている。
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失敗してはいけないというプレッシャーからの解放
2001/02/25 21:58
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投稿者:畑古 明宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本社会には、「失敗はダメなことで、恥ずかしいこと」という認識があり、学校教育では、失敗しないことを教えている。結果として、みんなと同じ事をし、突飛なことを避ける心理が育ってしまっていると感じます。だから、失敗すれば隠そうとし、明るみに出ると、不可抗力であったと言い訳をします。
著者も「負のイメージでしか語られない失敗は情報伝達されるときは小さく扱われ、人は「聞きたくないもの」は「聞こえにくい」し、「見たくないもの」は「見えなくなる」もの」と書いています。だから、失敗のナレッジは蓄積されず、同じ失敗やより大きな失敗が起こると述べられています。
そんな失敗のイメージを払拭し、失敗を直視すれば、失敗の構造が明るみになり、失敗の件数もダメージも激減するとの主張は感銘を受けます。さらに、失敗の種類と特徴、伝え方、考え方を理解すれば、失敗が減るだけでなく「創造」を生んでいく事例を知ることができます。
今まで、失敗を恐れ、直視してこなかった人にはお勧めです。
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創造の時代だからこそ失敗が重要
2001/01/25 12:17
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投稿者:dakara - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代は創造性が重要な時代だといわれています(創造性が重要ではない時代というのはありえないと思いますが)が、そのような時代こそ、筆者は「失敗から学ぶこと」が重要であると説きます。筆者は東大で設計学を教える教授です。彼が自らの経験から強く感じているのは、成功ではなく失敗からより多くを学ぶべきだということです。
確かに、企業経営の例を考えてみても、「ベスト・プラクティス」や「ベンチマーキング」といった経営手法のように、業界にこだわらず成功手法の模倣をすべきという考え方は、広く浸透していました。しかし、失敗はやはり避けるべきものという感が強かったように思われます。
失敗は避けることのできないもの。そこから何を学ぶかが重要なのだという筆者の主張は明快です。
「失敗学」というタイトルにあるように、失敗をかなり総合的かつ体系的に論じています。議論がやや大雑把なところは、気になりますが、学ぶところの多い本です。
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一種のリスクマネジメント
2001/08/16 23:22
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投稿者:onomono - この投稿者のレビュー一覧を見る
失敗学という概念について考えてみると、リスクマネジメントと似ている。本書では失敗の定義を「人間が関わっている」「望ましくない結果」としており、リスクマネジメントの場合は人災だけでなく天災も含まれるため、狭義のリスクマネジメントとも言える。例えば潜在失敗を会計処理に含む考え方を本書では示しているが、実際には管理会計上は経済的付加価値の様な資本コストの考え方、まさにリスクマネジメントの考え方は既に取り入れられている。
前半部は失敗についての説明がなされているが、後半部はイノベーションとか部分最適とかの考え方に見られるように、経営戦略に近い話になっている。
「仮想演習」という言葉も、元々は「トライ・アンド・エラー」がそういう意味で使われていると思うが、ここに出てくるエラーという言葉が改めて考えてみると失敗学を意味しているようで面白い。また、いわゆるいま流行のロジカル・シンキングはイノベーティブな思考には向かないというのもなるほどと思わせる。
単に失敗事例のデータベースを作るのではなく、類似事例を集約することが重要だというのも参考になった。失敗データベースを作ったとして、いったい誰が(よっぽど暇な人?)、わざわざ失敗する前にデータベースを検索するのか。せいぜい失敗事例が発生した時に、過去に同様な事例があったかどうかに使われる程度であって、失敗を事前に防止するのに役立てるには一工夫する必要がある。
「こうすればうまくいく」ではなく「こうすればまずくなる」を考える、とか「致命的なエラーをなくす」などは、いわゆる「勝つと思うな思えば負けよ」の精神であり、失敗学に限らず、戦略論、戦争論、あらゆる勝負事の基本中の基本である。
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失敗学のすすめ
2002/07/20 19:00
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投稿者:Jyun - この投稿者のレビュー一覧を見る
失敗談義は、愛嬌のあるレベルであれば笑って済ませられようが、こと莫大な損害を伴い、信用を著しく失落しては、その重大責任を負わなければならない。
著者は、企業活動で、失敗と上手に付き合う実利の伴うメリットまで高めることができる、とみる。
人マネでは通用しなくなった昨今、創造力が問われ、それを身につけるには失敗の体験こそが源であるという。そして大切なのは、体験の記録、その知識化である。失敗の原因究明、処置法に留まらず、さらに一歩踏み込み、失敗情報を知識化する能力こそが失敗を予測し、予防できる。失敗体験が、改善、成功への起点になる。振り返ってみると、失敗体験が随分ムダになっていることに我々は愕然とする。
仕事での失敗、事故、クレーム病いなどこれまでマイナス体験とみなしたものの中に成功、改善、信用回復のヒントがあることを、例題をもって読者に説く好著である。
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日経ベンチャー2001/05/01
2001/05/09 12:18
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投稿者:野口均 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、日本社会には、失敗を恐れ、失敗を恥じ、失敗を隠そうとし、失敗に学ばないという欠点があると主張している。その原因は、明治以来、欧米のマネをすることで失敗を避け、効率よくキャッチアップしてきたために、失敗を真摯に見つめ謙虚に学ぶ文化やシステムが生まれなかったことにあるという。
著者は、東大で機械工学を教えているが、こうした問題意識があるため、最初はあえて学生に手本を示さずに課題を与え、挫折を経験させる。すると学生の勉学に対する態度が変わり、習得した知識の応用も利くようになるという。
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