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紙の本
単に体力だけで出来る仕事ではないことをヒシヒシと感じる
2001/04/26 22:27
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投稿者:吉野桃花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マグロ漁船へ乗り込み、3度の航海を経験した著者によるノン・フィクション。まぐろ土佐船。どういうイメージがわく?私は、ド演歌の世界を想像した。「気が荒く粗雑で下品だけど、心は純粋な男の中の男。波を割って走る、命がけの男たち。」ところがどっこい、この本の内容は、そういうイメージとは全然違う。
命がけ、ということがドラマなんかじゃなく、厳しい現実であることを思い知らさせる。でかい借金してしまった人に、取り立て屋が「腎臓1個売れ」だの「マグロ漁船に乗れ」だの言うシーンが、小説やドラマにはあるけど、そこらへんの人間ができる仕事じゃない。仕事のできない人間を乗せるほど、マグロ漁船は甘くないのだ。著者はマグロ漁船に乗ろうと室戸を訪れる。しかし、乗せてくれる船はなかなか見つからない。その著者に、長年の経験者、安田甲板長はこう言う。
「素人は分からんがよ。ちょうど三十ぐらいの人間が分からんが」
「世の中の酸いも甘いも知っちゅうき、途中で嫌になってポイと降りても、どうってことないと考えるがよ。おまんには悪いけんど、余所者で歳もいっちゅうし、経験ないときてるろうが。わしらから見て、おまんはどこちゃあ取り柄がないがや」
(余談だけど、この土佐弁の心地良さ!好きだ。高知には行ったこともないのに、何故かひかれる土佐弁。)
一緒に船に乗った人間が、いい加減なやつだったら、自分の命にも関わってくるのだ。気楽に、ほないこか、って訳にはいかない。
私の父は、サラリーマン生活を終えて、今は漁師になっている。もともと祖父が漁師だったので、小型船舶の免許も持っているし、未経験というわけではなかったのだ。沿岸ではあるけど、夜明け前(午前3時とか4時)に船を出し、すべての始末を終えて家に帰るのが夜9時、10時、という長い労働である。
海に落ちる、ということが何より恐い。網を巻き上げる機械に巻き込まれてケガをした人の話もよく聞く。父はあまり大変だとか言わないんだけど、この本を読んで、背中合わせにある危険をひしひしと感じた。
「やっぱり、体力だけありゃあいいっていうような単純なことじゃないんだ。」という実感。目の前にいる父を見るより、本を読んでそういうふうに感じるのもおかしな話なんだけど…。
でも父は絶対「辛い」とか「死ぬかと思った」とか言わないので(多分漁師もやめて時間がたったら酒飲み話のネタになるだろうが)、このノン・フィクションを通して、海を船を感じられたことは良かったな、と思う。
紙の本
20010122
2001/01/25 12:16
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投稿者:日経ビジネス - この投稿者のレビュー一覧を見る
居酒屋店主である著者が遠洋マグロ漁船に乗り込み、マグロと戦う過酷な漁師の世界を描いた。
マグロは日本人に人気の魚だが、国際条約で捕獲規制されているにもかかわらず、現在は供給過剰なのだという。密漁船から大量に流入しているからだ。かつては一獲千金を夢見ることもできたが、今はそれもままならない。
しかし、それでも危険を顧みずマグロ船に乗りたいという若者が後を絶たない。その理由を著者は、命を落としかねない緊張感と大海原を駆け巡る爽快感は現代の生活では味わえないもので、何ものにも代え難いからだと言う。
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